第35話 リンデン国について
コーム領主様は、リンデンについて色々と話してくれた。
リンデンという国は、魔導士リンデンが立ち上げた国で魔導士リンデンはエルフだった。元々、魔導士リンデンはその当時の族長の弟で、シュミール人を奴隷にしていたエルフ達を反対していた。人が人を縛り付ける奴隷制度のやり方自体に拒否感があったらしい。そして、多数のシュミール人や他の種族の里で希望者を募り、作った国がリンデン。この事で、エルフの族長と魔導士リンデンの仲は悪くなった訳ではなく、お互いを認める関係だった。
ここまでが、インストールされた常識でも分かるようになっていて、知られていない事は、建国時、オーガ達も尽力して事だった。後世において、何処かの国に偏らない様、秘密にして欲しいと言い残していったそうだ。
次の話しは、リンデンと隣国との関わりであり、ここからはリンデンでも一部の者しか知らない事だった。シュミール人の台頭により、エルフとシュミール人の立場が変わっていく事は、リンデンでも話題になっていた。その頃には、魔導士リンデンは亡くなっていたが、将来、そういう事が起きるのではと危惧していたという。その革命もあり、リンデンから熱に当てられた一部のシュミール人は、隣国に行った。リンデン国としても、方針を決めないと行けない時期に来た時、隣国でエルフとシュミール人とで戦争が起こった。リンデン国は、エルフ側に支援すると決まったが、エルフ側は拒否をする。「自分達の国の事は自分達でする」各種族を集め、他種族の連合で戦う事になった。リンデン国は、何か協力出来ればと思い、ひそかにオーガ族へ協力をお願いしたが、リンデンが動かないのであれば、自分達も動かないと拒否をされた。その後は、こっそりと食料や武器の支援などを行っていたが、ほぼ隣国を傍観しているという感じだった。
ここまでが、シュミール人台頭から戦争が起こるまで、リンデン国の動きだった。
次は、隣国の戦争終了から活動家軍までのリンデン国の動きだ。
隣国の戦争は終わった。ただ、戦時中にあった伝染病の影響はリンデンにも届いていた。事前の予防対策が功をそうしたか、シュミール人の一割ほどの感染に留まった。その後、感染の大きいシュミール人はそのまま人口増加できず、このままひっそりと埋もれると思われていた。その事態を変えたのが、日本人の転移だった。勢いを再び取り戻し始めたシュミール人に、リンデン国は警戒した。今度こそ、隣国がシュミール国になり、リンデン国と戦争になると。ただ、シュミール人の中で、日本人の奴隷を解放しようという、人物が現れた。
魔導士リンデンと同じ志を持った人物だと感じ、リンデン国は活動家軍を支援する事になった。次にリンデン国は、活動家軍と泥沼の戦いをしている他種族連合軍を引き合わせ、活動家軍へ支援する形で他種族連合軍にも支援出来る形を作った。また、逃走した日本人を保護する形も作り、オーガ族も保護だけならと協力してもらえた。戦いに参加したい人間には、活動家軍・他種族連合軍へ、保護を求めている人間はリンデン国で匿う様に対応した。
シュミール国は、活動家軍に裏が居る事は分かっていたが、支援先について分かっていなかった。対外的には、魔導士リンデンが亡くなった時、エルフ族との関係は切れたとなっていたからだ。今も支援をしているのが、リンデン国だとは気づかれていない様だが、シュミール人からの密偵がリンデン国に続々と入り込んでいるという話しだ。なので、現在も国境付近を警戒している。それで、重要な会話をする時は、この様に密談の形を使っている。
「ふう、ひとまず休憩しよう」
コーム領主様はそう言い、執事に声をかけ、お茶を持ってこさせる。自分もお茶を飲みながら、一息つく。中々に濃い内容であり、慣れない頭の中での会話は、疲れる。思わず、目が疲れたわけではないのに、目頭を押さえる。ふと周りを見ると、コーム領主様も
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます