第30話 幸田さんとゾーイさん
体は治った。この医療室に居るのは、検査・研究の為であり、軟禁されている状態だ。何か
「いやー、おはよう!良く寝れた?」
相変わらず、いつも元気な人だ。
「あっ
「それでね」としゃべりたい事があるのか、急いで隣に置いてあった椅子に座った。この人はとにかくしゃべる事、人とコミュニケーションをとる事が好きなんだと改めて感じた。
「聞いてる?」
また考え事をしてしまった。自分が若い時、仕事に集中していると周りの視野が狭くなり、注意された事があった。この世界に来てから、若い時の感覚に近くなっている気がする。「すみません」と
「それでね、今日は
魔法を使った時、中庭に出たぐらいで、外の風景は見ていない。部屋には窓がついていたが、中庭しか見えていなかった。おそらく、あまり周りを見せたくない隔離した空間なんだろう。
「ありがとうございます、宜しくお願い致します。・・・すみません、
「なになに?自分が出来る事なら、何でも言って!」
「隣の国なんですが、世話になった人に安否の連絡を取りたいのですが・・・」
あんなにおしゃべりな
「・・・ここから、正直に話してもらいたい。君は、隣国でどう過ごしたか。」
もう話しを切り出した手前、正直に今まであった事を全部話してしまおう。村が転移した事、息子や村の人が拉致された事、自分は助けられた事、助けた人達が他種族軍だった事、活動家軍の基地に向かう途中、敵に遭遇してしまった事、逃げれなくなり、亡命した事、ただ、妻の事は話さない方が良さそうだ。
少し考え「よし」そう言って、椅子から立ち上がる
「今日の予定は、町の案内と、教会に行くだけだったけど、予定を変更しよう。夜になったら、食事会に参加して欲しい。メンバーは私と妻、それと、
やはり、自分の話しは上に通さないといけない事になった様だ。不安が募るが、
しばらく経ち、「おはようございます。」と女性の声が聞こえた。来た人は、欧米系の顔立ちをしており、どうやら外国の方で、巻き込まれて転移した様だった。名前は
1999年、ゾーイさんは、街の小学校で臨時の英語教員として働いていたという。その日も小学校に向かう途中、転移したそうだ。その後は自分の時と同じ様に、拉致・誘拐されそうになり、ゾーイさんは逃げた。その時、一緒に逃げたのが
オーガ族が出てきたが、心優しい種族なのだと改めて思った。ただ、今の話しだとオーガ達はリンデンを知っている様な感じだったな。
「話し長くなっちゃいましたね、それでは町に行ってみましょうか。」
ゾーイさんと一緒に町へ行く。
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