守れなかった者

かいとも

守れなかった者

<今日は人間と魔人が殺し合わない約束をする日。

 昔から約束はされていなかったが、人間と魔人は殺し合わずにすごしていた。

 だが数年前に1人の王が率いる魔人軍があった。

 その魔人軍は人を殺していた。

 だけどその魔人軍に入っている者は殺した>


 はぁ…今日が約束される日か。

 あの時の出来事で人は殺されまくった。

 もうあの時のようにならないでほしい。


「よ!ザエル」

「あれ?もう来ていたの?ガイラン」


<ギルラン·ザエル

 年齢18歳

 性別男

 ギルラン国の王女の夫

 世界で1番最強の男>


<ガルガン·ガイラン

 年齢18歳

 性別男

 ガルガン国の王子>


「ああ…俺の父のせいだからな。

人間を殺しまくったんだから」


<そう。

 ガイランの父がガルガン国の王であり、人間を殺した魔人軍を率いた王である>


「そうだったな。

だが暗くなるな!ガイランがやった事ではないんだ」

「そうだな、すまなかった」

「謝らなくていいんだぜ?

じゃあ、部屋案内するからついてきてくれ」

「了解!」


<神同士の教会にはテレポートができる場所がある。

 そこからガイランは、ガルガン国の教会でテレポートさせてもらい、ギルラン国の教会に来た>


「ギルラン様、ザエルです。

ガルガン国の王、ガイラン様が来ました」

「入ってよし」

「失礼します」

「失礼します」


<ザエルは扉を開いた。

その部屋にはギルラン、ガルガン、ミエラが居た>


「ギルラン様ミエラ王女こんにちは。

ガイランです」

「ガイランこんにちは」

「ガイラン王子こんにちは」

「ガルガン様こんにちは。

ザエルです」

「ザエルこんにちは」


<ギルラン·ミエラ

 年齢18歳

 性別女

 ギルラン国の王女

 ザエルの妻>


<ギルラン

 年齢不明

 性別男

 ギルラン国のハーフ(神と魔神の血がある)>


<ガルガン

 年齢不明

 性別男

 ガルガン国の魔神>


「ザエル。

会話を聞いていていいから部屋にいてくれ」

「かしこまりました」


 人間と魔人の約束。

 殺し合わずに仲良く生活する約束。

 これで殺し合わないと思うんだけど…

 まあ刑が死刑という重い刑だからな…魔人は人間を殺さないはず。

 人間も一緒だ。

 人間よりも魔人が強い。

 強い者を殺そうとは思わないはず。


<鐘の音が鳴り響いた。

 そして、ギルランの影から1人の男が出てきた>


「主!」

「どうしたんだギル。

この鐘の音はどういう意味だ」


<ギル

 ギルランの眷属の1人>


「魔人が大勢来ていた為、神の目で確認したところ敵意をだしています」

「なんだと!人数は何人だ!」

「500人ぐらいだと思われます」

「報告ありがとう。

今すぐ他の眷属と国民を避難させろ!」

「かしこまりました!」

「ガイラン、ミエラの事を頼めるか?」

「ザエルどういう事?」

「俺は攻めてきた魔人を殺す」

「私もついていくわよ!私はこの国の王女よ?国民を守る義務があるの!」

「今はその義務を捨てろ!

王女が死ねば魔人全員を国民が殺そうとするかもしれない!

だから来るな!それに俺は死なない!」

「そうだとしても無理よ!あなたの手をもっと赤黒く染めたくないの!」

「それは俺だって一緒だ!ミエラの手をもっと赤黒く染めたくない!」

「俺もザエルについていくつもりだぜ!」

「ガイランまで…」


 これ以上話していると国民が危険だ…連れていくしかない。


「あー!もう!分かったよ!ついてこい!

絶対に死ぬなよ?お前ら!」

「了解」

「了解」

「すまないな…また手を赤黒く染めてしまって」

「すまないな…また手を赤黒く染めてしまって」

「大丈夫ですよ。

自分の正義の為なら、手を赤黒く染めますよ」

「大丈夫ですよ。

私はギルラン国の王女なんですから!国民を守る為なんです!」

「大丈夫ですよ。

俺はガイラン国の王子なんですから!国民を守る為なんです!」


<そして3人は部屋を出た。

 そして外に出たら森が炎の海になっていた>


「これは酷いな…国に入らせないようにするぞ!

ミエラ!ガイラン!」

「ええ!」

「おう!」


<3人は別々の場所に飛んでいった。

 そして1時間が経過した>


 はあはあ。

 何人だ俺は何人を殺したんだ。

 俺がいる場所には魔人の気配がしない。

 速くミエラとガイランの所に向かわないと。


<ザエルが向かおうとしたら、ある言葉が聞こえた>


「世界で1番最強のザエルの妻を殺したぞ!

この死体を見せればザエルは精神がえぐられるはずだ!

王子の所にいる魔人達も来い!ザエルを殺すぞ!」


 嘘だ…嘘…だよな…ミエラが…死んだ…


<ザエルの所に魔人達は飛んで来た。

 ミエラの姿は剣に突き刺さっていた>


 あ…ミエラ…本当に…死んだ…

 俺が…連れてきたから…無理矢理にでも…止めていれば…

 ミエラは…死ななかった…俺の…せいだ…

 あ…あは…あはは…アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。

 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!

 魔人どもお前らお1人も残らず殺してやるー!


<ザエルは愛する妻を殺され。

 怒り。

 憎み。

 魔力暴走を起こした。

 だが、普通の魔力暴走ではなかった。

 魔力が全て憎しみになっている。

 魔人と魔神はザエルの殺意が伝わった。

 それは恐怖と言うには優しすぎる殺意だった>


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」


<ザエルの周りにいた魔人達は恐怖で逃げていった。

 だがそれを逃がすほどザエルは甘くなかった。

 人間を殺そうとしていた魔人達は、逃げることも出来ず死んでいった>


「ザエル?」

「魔人殺す!魔人が俺の名は言うなー!」


<親友ガイランの事も殺そうとしている>


「ガイラン下がれ!」

「ガルガン様!」


<ガルガンとギルランが2人の場所に来た>


「結界」

「ガルガン様!?いったい何してるんですか!」

「ザエルを憎みに飲まれた者を今から封印する」

「封印!?元に戻す事は出来ないんですか?」

「無理だ…」

「なら殺す事は?封印は可哀想です!」

「無理だ…世界で1番最強な男だ。

魔人と魔神による憎みでもっと強くなった。

俺ら神でも倒せないんだ…だから封印するしかない」

「そんな…」

「ガル」

「主、なんでしょうか」

「ガイランを連れていけ」

「御意」


<ガル

 ガルガンの眷属の1人>


<ガルとガイランはこの場から消えた>


 俺の声は聞こえていないのか…

 俺はどうしたらいいんだ…

 この憎しみ。

 この恨み。

 消える事は一生無い…

 もういいんだ…封印されても…

 でも…ギルラン様…貴方に…最後に言いたい事があった…

 それも言えないなんて…


「ギルラン準備しろ!封印の準備お!」

「嫌だ…やっぱり…ザエルお…ザエルお封印したくない…」

「ギル…ラン…様…ギルラン様…」

「ザエル!ザエルなのか?」

「はい…なんか喋れちゃってます…」

「俺は…どうしたらいいんだ…」

「ギルラン様…いや…父さん。

俺をここまで育ててくれてありがとう。

大好きだよ、父さん。

俺は…もう喋れない…封印してね?

さようなら…父さん」


<一時的に体を制御できたザエル。

 だが、もう制御は出来ずに、憎しみに飲まれたザエルに変わった>


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

「ギルラン!準備をしろ!

封印をしなくてはザエルは悲しむぞ!」

「分かっている!

ザエル…ごめん…こんな父親で…」

「憎しみに飲まれし者よ。

その憎しみと一緒に封印をする」

「憎しみに飲まれし者よ。

その憎しみと一緒に封印をする」


<封印されたザエルは、天に向かって行った>

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守れなかった者 かいとも @kaitomo

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