第4話 空の指輪

「やって来ました!ファンタジーオブニューワールド2日目!そして私は見つけてしまった!空の指輪という神アイテムを!」


空の指輪はショップで1000Gで売られている為、それを購入する為にユニは森の入り口辺りで薬草を集めまくっていた。


「にしても空を自由に飛び回れる指輪か〜。何で他の人達は空飛ばないのかな?」


そういえばゲームを始めてからまだ一度も空を飛んでいるプレイヤーを見ていなかったユニは、少し疑問を持ちながらも、空を飛ぶ事へのワクワクがそれを上回った為、特にその疑問を解消しようとは思わなかった。


「それはそうとして、本当にこの変な紋様どうしよっかな〜。あの後ちょっと調べたけどやっぱりこれ取れないっぽいし……」


そう言ってユニは謎の黒い紋様が刻み込まれた自分の右腕をさすった。


「と言うかこの変な紋様を取るためにはあの化け物を倒さないといけないってどう言う事?それにLV285って何?絶対私じゃ勝てないじゃん!」


そんなこんな文句をぶつぶつ言いながらもユニは薬草を拾い集めながら、道中発見したスライムも討伐して進んだ。


「と言うか今更何だけどこの満腹度ってどんな効果あるんだろう?私死んでから満腹度0%のままなんだけど、特にこれといったデメリットを感じ無いんだけど?」


ちなみに満腹度が0%の状態だとステータスには表示されないが、HPとMPを除いたステータスの数値が半分になるのだが、初心者のユニのステータスが元々低いのと、まだプレイして2日目だった為元のステータスがどんな感じだったのか覚えてない事もあり、ユニはそのデメリットには気が付いていなかった。


「よしっ!これだけ回収できたら大丈夫かな?一旦ギルドに戻ろっと!」


そうしてギルドに戻ったユニは薬草を納品して、その他要らない素材などを換金した結果、ユニの所持金は372Gから1052 Gまで増やす事に成功した。


「やった!これで空の指輪が買える!」


そう喜んだユニは早速例のマッチョな職員から空の指輪を購入して、装備欄にあるアクセサリー欄に空の指輪をセットした。


《空の指輪》

分類:アクセサリー

レア度:2

効果:これをアクセサリー欄に装備すると、MPを消費して空を自由自在に飛ぶ事が可能


空の指輪を装備したユニは始まりの街を出て、始まりの森がある方とは逆方向にある平原にやって来た。


――始まりの平原――


「よしっ!ここら辺なら大丈夫かな?それじゃあ早速だけど飛んでみようかな!」


そうしてユニが空の指輪はを起動させたと同時にユニは勢いよく空中へと一直線で浮かび上がった。


「わぁ!すごーい!私本当に飛んでる!凄い凄い!」


そう喜んだのも束の間ユニは直ぐにその違和感に気がついた。


「……あれ?これってどうやって操作するの?」


空中へと放り出されたユニは、空中でどうにか移動しようと色々なポーズを取ってみたりしてみるが、残念な事にその事如くが失敗に終わり、地面へと降りる方法も分からないユニは、そのまま自分のMPが切れるまで空中でふわふわと浮かんだ状態で何も出来ず、最終的にはMPが切れたのと同時にユニは落下ダメージで死亡した。


だがユニは諦めなかった。


その後も何度も何度も平原で空の指輪を使っては死んで、使っては死んでを繰り返していった。

その途中で、確か僧侶だったかな?その人に途中MPポーションを差し入れとして貰ったりもした。


《MPポーション》

分類:消費アイテム

レア度:1

品質:3

効果:使用するとMPを105(+75)回復する


その結果


「変なポーズだけど一応飛べた!」


ユニは空中で大の字になって横方向にホバリングする事には成功した。


正直使ってみた感じ本当の意味で空中を自由自在に飛び回るにはもっと練習が必要だと思うし、何より長時間飛ぶには今のMP量では全く足りず、その点も含めて空の指輪に関しては、今後の課題にしようと思った。


そうして一旦練習を終えたユニは結局どんな効果があるか分からないままだが、何かデメリットがあるだろうと考え、取り敢えず満腹度を回復させる為にキノコを口にしながら、始まりの街をぶらぶら散策した。


今まではほとんどギルドぐらいしか行って無かったが、始まりの街にも色々な店があり満腹度やバフを貰える料理を売っている露店や、少し値段ははるがより高スペックな武器や防具を売っている武器やに、びっくりするほど高いが魔法を覚えるために必要なスクロールを売っている店などもあった。


色んなお店があるんだな〜と、あっさい感想を持ちながら周りをぶらぶらと歩いていると、NPCの少女が道の端っこで泣いているのを発見した。


「どうしたの?何かあったのかな?」


ユニは泣いている少女に近づき、少女の目線まで腰を下ろして質問した。

すると泣いていた少女は顔を上げてユニに涙を流しならながら話し始めた。


「あのね、実はね……お母さんが病気でね、それでね、お母さんを治すには《白百合草》ってのが必要何だけど、白百合草が生えてるのが始まりの洞窟って所なんだけど……始まりの洞窟には恐ろしい魔物が出るらしくて、子供だけでいっちゃダメな場所なんだ……」

「なるほどね……ならその白百合草って私が取ってきてあげようか?」

「本当お姉ちゃん!」

「本当本当お姉さんに任せなさい!」


・泣いている子供のお母さんを助けよう

内容 始まりの洞窟に群生している《白百合草》を1つ泣いている子供に届けよう

報酬 1500G


泣いている少女と話しているとクエストが開始した。


「へーこんな感じで始まるクエストとかあるんだ」

「クエスト?」

「あ、ごめんね何でもないよ!それじゃあ私は今から白百合草を取ってくるね!」

「頑張ってねお姉ちゃん!」


そうしてユニは泣いている少女と別れ、クエストの目的地である始まりの洞窟へと向かった。


始まりの洞窟は始まりの森の中にあり、全3階層別かれているダンジョンで、出てくるモンスターは主に始まりの森でも出てくるスライムやキラーラビットに、洞窟特有のモンスターでスケルトンなんかもポップするらしい。


今回ユニがゲットしなければいけない白百合草は1階層の最深部にあるボスの部屋の奥にあり、白百合草を入手するにはそのボスを討伐しなければならない。

だが実はまだファンタジーオブニューワールドを始めたばかりのユニは知らなかったが、ダンジョンにはクリアする為に必要な推定レベルというものがあり、ユニが今から行く始まりの洞窟はボス攻略を含めると、その推定レベルはパーティーを組むならLV5、ソロで攻略するならばLV7は必要となっている。

つまり今現在LV2なユニがソロで始まりの洞窟をクリアしようとするのは、ほぼ無謀と言ってもいいものだった。


だがもちろんそんな事を知らないユニは、白銀の例外を除いて思っていたよりも簡単に敵を討伐できてきたことから、今回も簡単にクリア出来ると思いるんるん気分で始まりの洞窟へと向かった。

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