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お昼休憩、今日もお弁当を食べた後にスマホで動画を見ていく。

そして時計を確認してから動画を停止させた。




立ち上がり向かった先は洗面所。

洗面所を使わせてもらうことは了承を得ている。

洗面所の鏡を見ながら歯を磨いていく。

ルイボスティーは他のお茶よりも、歯が茶色く色付きやすいように思う。




でも・・・このルイボスティーを飲み始めてからお通じの調子が良くて。

味は独特な味をしているけれどもう慣れた。




ソバカスが広がっている自分の顔を眺めながら歯を磨き終え、丁寧に口をゆすいだ。




そして・・・




さっき掃除を済ませたお風呂場をチラリと見てみる・・・。




そこには、あった・・・。




あった・・・。




メイク落としが、あった・・・。




シャンプーやトリートメントのボトルも2本ずつある・・・。




そして・・・




洗面所に視線を移すとピンク色のヘアオイルのボトルが置いてある・・・。




さらに・・・




コップには青色の歯ブラシとピンク色の歯ブラシが2本立ててある・・・。




「勘違い・・・。

絶対に、勘違い・・・。

それで卒業式の時も告白なんてことをしてしまったから・・・。

今回も絶対に勘違い・・・。」




彼女がいる・・・。

あの人には彼女がいる・・・。




初日の仕事の日、滅茶苦茶に散らかっていたこの部屋を片付ける時・・・




“これは彼女の物なので捨てないでください”




と、あの人が必死な顔で大切そうに抱えていた・・・。




その時のことを思い出しながら、広くて綺麗な洗面所に置かれた化粧水と美容液、そしてオイルを眺める・・・。




「彼氏がいる・・・。

私には・・・彼氏がいる・・・。」




別れ話を何度もしようとして、それでも言えなくて・・・。




付き合っている状態がズルズルと続いている彼氏がいる・・・。




去年の11月に付き合ったばかりの彼氏・・・。




私のことを大好きでいてくれる彼氏・・・。




私のことが大好きで・・・




きっと、大好きで・・・




きっと、大好きで・・・




そんな風に見えていた彼氏が、私にはいる・・・。




「あれも・・・勘違いなのかな・・・。」




分からない・・・。




私には分からない・・・。




コミュ障の私には分からない・・・。




大学に進学しても就職も出来なかった私には分からない・・・。




大学卒業後、働いてこなった私には分からない・・・。




身内以外と話してこなかった私には分からない・・・。




「恋愛は破壊力抜群・・・。」




現実世界で生きようと頑張る私にとって、恋愛はそんな私を破壊させようとしてくる攻撃のように感じた・・・。




洗面所でしばらく呆然としていた時、リビングから私のスマホの着信が鳴った。

滅多に鳴らない電話の着信に少し驚きながらダイニングテーブルに戻ると・・・

派遣元の会社からだった。




「もしもし・・・。」




『昼休憩取らずに働いてるんじゃねーだろうな!?』




声と口調、言っている内容で葛西さんからだとすぐに分かった。

葛西さんの声を聞いて自然と笑顔になっていると、葛西さんが珍しく小さく溜め息を吐いた。




『的場さんからさっき連絡があった。』




「お客様から・・・?」




的場様のことを考えていた時にそんなことを言われ、心臓が止まるかと思った。




今度は何を言ったのかと緊張していると・・・




『家に忘れた書類を会社まで届けて欲しいらしい。』




そう、言った・・・。




「はい、分かりました・・・。」




そんなことかと思っていると、葛西さんが少しだけ無言になった。




『事前に言われてたら対応することもあるけどな。

基本的には宅配なんかも勝手に対応しないことになってる。

事前に言われた場合だけは受け取ることも出来るってな。』




「そういえば・・・そうでした・・・。」




『まあでも、今回はどうしても会社を抜けられないらしくて。

13時半までにどうしても必要らしい。

近くで営業掛けてるうちの社員を向かわせるよう提案したら即却下された。

お前のことを信頼してるからまり姉にお願いしたいだとよ。

お前さ・・・』




葛西さんが言葉を切った後、また少しだけ無言になった。




そして・・・




『的場さんと元々知り合いなんだろ?』




そう、聞いてきた・・・。

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