第5話『シエラの好感度が(超大幅に)アップした!』
「おお勇者よ! 死んでしまうとは情けない」
オレは、よみがえった!
どうやらここは教会のようだ。
そう。
シエラの一本背負いのダメージで、カイは死んでしまったのだった。
確かに強烈な一撃だったが……アレで死ぬか―……。
「ご、ごめんなさい……ゆうしゃさま……」
シエラがしゅんとしている。
オレは所持金の半分を失ったが、シエラが持っていた自分のお金を補填してくれたのでプラマイゼロだ。
「あれ? シエラ、髪を切ったんだ?」
カイが言って、オレは気づいた。
シエラはいつの間にか前髪を切っていた。オレを教会に運んだ後、復活するまで時間があったようだ。
勇者は教会で生き返らせてもらえる。しかし、他の仲間、いや他の人々は生き返ることができない。勇者とは、一体……。
「あ、あの、は、はい。ゆうしゃさまが、キレイって言ってくれたから……も、もう、顔を隠さなくても……大丈夫です」
もごもごと、シエラは言う。心なしか、前よりもはっきりとその声が聞こえる。
「うん……こっちの方がずっといいね。ほんとうに、キレイだ……シエラ」
カイが口走る。おめぇ、懲りないヤツだな!
シエラの顔がまたしても真っ赤になった。
ほんと、やめておけよカイ。この展開はまずいし、危険だ。取り返しのつかないことになるぞ。
しかし、オレの警告はカイには理解できないものだった。
カイは意識的に褒めているんじゃない。自分に惚れてもらうように言っているんじゃない。ただ、思ったことをただそのまま口にしているだけのようだ。だが、相手はそうは受け止めないだろう。
カイの容姿は、勇者設定なのか端麗だ。幼馴染からも、町の女性からも、モテていた。単なるハーレム系勇者ならいいが、ヤンデレ量産マシーンだったらこの先エライことになるぞ。
せっかくだから、シエラの装備(服)を新調しようとカイが提案してきた。何がせっかくだからなのかよくわからないけれど、まぁぼろっちい服のままなのもアレなので、防具屋で魔法使いのローブを購入することにした。ちょっとにおいもアレなので、あとは宿屋の風呂でこざっぱりしてもらうとしよう。
なんでもシエラは見てくれがアレだからか、宿屋に警戒されて泊めさせてもらえないこともしばしばあったようで、いつも野宿していたのだと言う。
今は勇者の仲間であることと、髪を切ったおかげか、宿屋も快く対応してくれた。
シエラは宿屋代がもったいないから部屋は一緒でいいと言ったが、さすがに何だかヤバそうなので部屋は別々にした。
そんなこんなで。
明日、オレたちは次の町を目指し、旅立つ。
つづく!
名前 :カイ
職業 :ゆうしゃ
種族 :人間
レベル:4
所持金:100G
装備 :ショートソード
:皮の服
スキル:強撃
アイテム:薬草
次のレベルまでの
経験値:9,170ポイント
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