犬の骨 36

埼玉県H町に「F公園」という名の公園がある。


交通量の多い国道と住宅街を結ぶ道の中ほどにある小さなその公園は、一年中鬱蒼とした木々に覆われ昼間でも薄暗い。また遊具から柵にいたるまで損傷が激しく、まともに利用できる状態ではない。


H町の管理が杜撰なのかと疑われるが、町内の他の公園は全て綺麗に管理されている。F公園のみ一切管理されておらず、また町の発行する育児支援の冊子等につくような公園マップにもF公園は載っていない。

一方で公園そのものを解体するといった事も行われない。

F公園やその土地に悪い噂や曰くがある、という話も無い。


ただ、そのような環境なら夏場などは虫捕りの穴場になりそうな公園だが、

夏真っ盛りの時期でもF公園にはセミの一匹もいないという。

「F公園に入ると寿命が縮み、虫などは一瞬で死んでしまうからだ」

と近所の小学生は噂している。

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