25.幼馴染ちゃん大ピンチ♡
でこぼこな道を、左右の木々の生い茂っている所を確認しながら走る。
暗いから……もしかしたら、どこかで怖くてしゃがみ込んでしまっていたのかもしれないし。
俺が……俺が見つけるんだ。
同じグループになったのに、先に行くのを許してしまった俺が。
それに……俺の後ろには多分もう人は居なかったハズだから、次に来るペアが見つけてくれる可能性なんてのには頼れないし。
「はぁ……っ……」
夏でもある程度は涼しい山奥だし、夜だから暑苦しくは無いけれど……息切れしてるのも無視してたくさん走っているのと嫌な予感に焦っているので、冷や汗か分からない汗がさっきから止まる気配が無い。
……まぁ、そんなんだから、
「ぅおっ!!」
転んでしまうのは当然と言うべきか、必然と言うべきか……な訳で。
「いっつ……」
多分膝は出血してるだろうなーなんて思いつつ、嫌に冷静な頭で足元を確認してみると、大きめの根っこに足をひっかけてしまったらしい事だけが分かった。
「……」
が……それでついに何かが切れてしまったのか、はたまた徹夜テンションの限界が来たのか、その場でかなり強く寝てしまいたい衝動に駆られる。
……というか、瞼が重すぎる。
このまま睡魔に身を任せてしまうのはかなりマズいとは思いつつも、このまま探して
「……!」
偶然……偶然、茂みの向こうに見えたチェックの柄に、俺は見覚えがあったんだ。
あれは……そう。
可愛いと人気の、うちの高校の制服の……スカートのチェックだ。
あんまり見ない色合いだから覚えていたのだけれど、それが茂みの向こうにあるって事はつまり……。
「っ……!」
それで一気に目が覚めた……と言うと嘘にはなるけれど、俺はその確かな違和感を確かめない訳には行かず、なけなしの力を振り絞って立ち上がり、ズキズキと痛む頬と膝の感覚を利用して何とか頭を回しつつ茂みの中に立ち入ると、
「あれって……」
そこには、見覚えのある影が二つあった。
しゃがみ込んで見上げているのが上城。
そして……胸ぐらを掴んで、それを見下ろしているのが……
「……
……そう。
確かにその影は、忘れるハズも無い……宮地のものだったから。
「……も忘れた……なんて居なかった様に…………して……」
ただ、宮地とは思えないくらい弱々しい声で話しているので、どうにも聞き取れない。
仕方がないので何とか見つからない様にとゆっくり足を進めていると、
「お前も!……お前もあいつの事なんて、無かった事にするのかよ!!」
「!」
……ビックリした。
と同時に、確かに感じ取ったのは……上城が危ないという、事実。
「は……
「辞めろ!……上城に手を上げるな!」
俺は咄嗟に宮地に飛びかかり、二人して倒れ込んだ。
「っ……何なんだよ!!」
「ぐっ……!」
「しんちゃん……っ!!」
が、徹夜ブーストの切れた俺は平衡感覚さえままならないので、呆気なく押し飛ばされてフラフラとしてから派手に後ろにコケてしまい、それに上城が悲鳴の様な声で俺を呼ぶ。
助けに入ったにしては全くダサい状況だけれど、それでも俺は抵抗せざるを得なかった。
だって……宮地が手まで上げる奴だと分かった今、放っておくことなんてどだい無理な話なのだから。
「よっ……と……痛ってぇ……」
「っ……ちょっと、何で……」
俺が熱血漫画の主人公さながらに立ち上がると、上城がつい心配する様な声を上げる。
「大丈夫か、上城。ケガは?」
「無い、けど……」
「……そうか。良かった」
何か言いたげな上城に背を向けて、俺は宮地に向かい合う。
俺は基本的には平和主義だけど……やっぱりこう、男だから……こういう展開には燃えるというか……!
「……あら」
……と、そんな感じで俺が徹夜のテンションを取り戻しつつある中に居た時、聞き覚えのある声が背後から聞こえた。
「……どうしたんですか、
そう。
現れたのは……
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