第4話 魔物化

この世界に転生してから1週間が経った。


今はダンジョンコアの仕様も少し分かり、ダンジョンの敷地を少しづつ増やしているところだ。


最初にダンジョンコアを落とした穴はどうやら野兎の巣だったらしいが、今では立派な角が生えている。一度出産も行っており、ダンジョン内にホーンラビットが4匹護衛として残っている状態だ。



他のホーンラビットは巣穴から旅立っていった。だがダンジョン内で魔物化した生物の居場所はダンジョンコアを介して分かるようになっていた。



「あっ!。ホーンラビット1体の反応が消えたな。あそこは人の領土か?それとも肉食の何かがいるのか?」



そんなことを1人でぼやきつつ、そちらに向けてダンジョンを広げていく。ダンジョンは魔素と呼ばれる生命エネルギーをダンジョンコアが取り込むことで成長させることができる。



つまりは、ダンジョン内で弱肉強食の循環を促せば自然とダンジョンコアの性能が上がっていくのだ。このことを調べるのに1週間の時間がかかった。


力を蓄えつつ、ダンジョンの敷地を広げている最中だ。そんな時に拠点としている洞窟の近くで話し声が聞こえた。


「このあたりに兎の巣穴があったはずなんだがな。目印をつけておくべきだったか?」


「そんなことしたら人の匂いで兎が逃げちゃうんじゃないの?」


「それもそうか。それはそれとしてこの霧はいつ晴れるんだ?」


「最近は毎日出ているらしいよ。あまり近寄らない方がいいんじゃないの。見通しが悪いと危険だし」


「巣穴も見つからないし、今日は帰るか」



そう言って人の気配は遠のいていった。そう遠くないところに人里があるようだが、ホーンラビットを斥候役として送り出すのはやめておいた。


まずは地盤を固めるためにゴブリンなどの食用にもならない魔物を取り込むのを優先したかったためだ。それはゴブリン単体は弱いがその繁殖力とダンジョンコアの力で上位種を作り出すのが目的だ。


そう思いながらもホーンラビットの消えた方向へダンジョンの敷地を伸ばしているとゴブリンの巣穴らしき反応があった。


俺はすぐさま、その巣穴全体をダンジョン内に取り込んだ。

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