第2話 クリエイタースキル

意識を取り戻した俺が居たのは、うっそうとした森の中だった。


「森の中で目覚めるってのはテンプレ通りだな。なら、ステータスオープン」


唱えて10秒程待ってみたがステータスボードは現れなかった。俺は顔が熱くなっていくのを感じる。他の人が見れば赤くなっているだろう。



「ステータスは見れないのか・・・。俺はダンジョンマスターらしいし、それもそうか」


俺は1人ごち、納得したような気になる。そして右ポケットに何やら球体が入っていることに気付いた。取り出してみるとビー玉くらいの真球が出てきた。



「これがダンジョンコアか。思ったより、かなり小さいな」


確認も終わったところでポケットに戻そうとしたときに手を滑らせてしまい、ダンジョンコアは傍にあった穴に吸い込まれるように落ちていった。


急いで回収しようと穴へ手を突っ込んだ時に脳内に声が響く。



「ダンジョンコアが設置されました。ダンジョンサポートが使用可能になりました」



その声が聞こえた後、俺は真っ暗な場所へと転移していた。隣には先ほど落としたダンジョンコアが小さく光っている。その光を頼りに周りを見渡してみると四畳半程度の空間にいた。


「ダンジョンとマスターの位置が離れていたため転移を行いました。以後このエリアは拡張可能ですが、ダンジョン最奥からマスターは移動することはできません」



その声を聞いて、俺は四畳半の空間の外、ダンジョンコアを落としたと思われる穴に手を伸ばしてみた。すると透明な壁があるかのようにその先に進むことができなかった。



「この四畳半で俺は生きていくのか・・・」


そうつぶやくと、また脳内に声が響く。



「ダンジョンコアの設置が完了したため、スキルの獲得が可能です。獲得可能スキルを一覧を表示します」


その一覧の中には、魔法付与や魔獣召喚などダンジョンのモンスターをサポートするようなスキルが目立つ。その中で俺が目を引かれたのはクリエイターというスキルだ。


「このスキルが俺の予想通りだとするとチートだな」


そう思いながらもこの世界に落とされる前に話していたことが脳内に何度もリピートされる。


「強力なスキル程、より強大な代償が必要なことを覚えておくことだな」



「まあ代償といっても死ぬことはないだろ。駒として戦ってほしいみたいだし」


そう楽観的に考えたところで俺は、クリエイタースキルを取得することにした。


「クリエイタースキルを取得しました。Lv1の能力は【ぼかし】です」



「ん?【ぼかし】?って編集能力じゃねーか」


俺は前世で動画編集をして、小金を稼いでいた。一般的には創作家や作家のことを呼ぶが、編集者もクリエイターの職業として認められつつあった。


てっきり、創造したものを現実に生み出せる能力だと思っていたのだが、使い方によっては同じようなことができるのでは?と楽観的に考えることにしたのであった。

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