第6話 転売ヤーとPKプレイヤーと謎の仮面


新キャラが登場します!


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夕飯にするまで、ずっとLv上げに夢中で『ビギナー』の草原で、クエストを熟しながらエネミーを狩っていた。

そのおかげでLv11まで上昇した。

目標であるエリアエネミーは、Lv9の固定なので、レベル差が開けばソロでも勝てるだろう。


エリアエネミーを倒せば、次のエリアに繋がる道が解放される。

それを各フィードにあるエリアを全て攻略すれば、最奥にいるフィールドエネミーと戦える。

『ビギナー』のエリアは計3つあり、その内フィールドエネミーがいるエリアが含まれるので、エリアエネミーを2体倒せば攻略となる。


俺はSNSや動画サイトを見ながら、夕飯の支度をしていた。

SNSのトレンドや動画サイトのランキングはほとんど幻想世界の関連を見て、自然と笑みを浮かべてしまう。

国内問わずぶっちぎりで話題になっている。

そして、VR機器が買えないという声も多くあった。


「まじかよ……。 4年前からVR機器を増産してたと聞いてたけど、もう枯渇かよ」


VR機器の枯渇の記事を見てたら、フリマサイトが地獄というコメントが見えたので、

フリマサイトやオークションサイトを見たら、予想通り転売ヤーが続々とVR機器とソフトがセットで売られている。


「これ、ゲームしてる暇なくね……。すぐに対処しなきゃいけない案件じゃん……」


転売対策として、予め販売元はVR機器の外箱開けとソフト包装シュリンクとか外しをしたり、決済はカード決済のみとかしている。

ただソフト関してはそこまで不安はない。

豪華特典セットとか無ければ、VR機器からダウンロード版を買えばいいのだから。

ただ幻想世界をテーマにコラボデザインのVR機器も転売対象になっているため、こちら側にも関係がある。


「やっぱり受注生産しかないみたいだな」


とりあえず、休暇後はこの対応しないといけないみたいだ。

定時は過ぎているが営業部の方にメールを送信する。

その内容は、VR機器の会社に休暇後の水曜日にVR機器への対応についての会談するようアポイントを取るように伝えた。


折角、有給取ってゲーム三昧だったのに、気が滅入る。

仕方がない脳内スイッチを切り替えて遊ばないと集中ができない。


夕食を済ませてから、風呂に入りすぐに寝れるよう準備を行う。

その後、ベッドに潜りゲームを起動する。









始まりの街にある噴水前に画面が切り替わる。

街歩くプレイヤーがさらに増えていた。

そして、徐々に初期装備から防具を着ている方が多くなってきた。


「装備の方は鎧が5割、ローブが3割、軽装が2割って感じで物理攻撃型が流行っているのかな?」


歩きながら見渡し推測する。

防具を身に着けているプレイヤーを見ていると、武器も更新している者が多い。

それを見ると、自分も武具を更新しなくてはと、駆り立てた。


『ビギナー』に行く前に、対エリアエネミー様に準備をするために鍛冶屋と魔法ギルドに向かう。

鍛冶屋の店内に入ると、部屋中に金属音が一定のリズムで鳴り響く。

部屋に飾られている様々な武器を見ていると、奥から女性の声が聞こえてきた。

書学生並の背丈をした女性のドワーフだ。


「おや、お客さん? 気に入った武器はあるかね? オーダーメイドも頼めるよ」

「金属製の杖はある? 」

「あるよ!」


一度、店内の奥に戻りすぐに杖を抱えて戻って来た。

その杖に軽く触れると、ウィンドウが表示された。


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鉄製の杖アイアンロッド


INT+7、VIT+2


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「今あるのは、これくらいさ。 それともオーダーメイドにするかい?」


そこにあるは5000Cと序盤ではそこそこ安い。

それ以外の装備は、キャラレベルによって売られる武器が更新されるため売っていない。

オーダーメイドの場合は、基本的に金属素材が必要なため、まだドロップしていないため頼むことができない。


とりあえず、『鉄製の杖アイアンロッド』を5000Cを支払って購入してすぐに身に着けた。

次に向かうのは魔法ギルドだ。

魔法ギルドで買うのは、"ライトボール"よりも威力の高い、"ライトジャベリン"という槍状に形成された魔力を放つ魔法だ。

"ライトボール"よりも威力が高くクリティカル発生率が少し補正が上昇するが、着弾が少し遅く消費MPも高い。

その魔法のレシピを5000Cで購入してすぐに技術力アーツを更新させる。

こういった魔法は小説やアニメで有名なので、序盤で使われる魔法だとユーザーが扱いやすいだろう。


これで、エリアエネミーを倒すのに十分だろう。

その後、冒険者ギルドに立ち寄り、クエストを受ける。

もちろん、エリアエネミー討伐クエストも受けた。


準備が出来たので、さっそく『ビギナー』の第一エリア草原に向かう。










エリアエネミーが出現する場所に向かっていると、道中で3人のプレイヤーに道を塞がれた。


「おーっと、ソロプレイヤーはっけーん」

「しかも、魔法使い」

「いい鴨じゃん」


まさか、こいつらは……。


「あの退いてくれませんか? これからエリアエネミーに挑戦するつもりなんですけど」

「そうなんだ。だけど、ダメだ」

「お前はここで一旦キルされて、デスペナをくらうんだからよ」

「初心者を狙っても、旨味なんてありませんよ?」

「そんなことはどうでもいい」

「これは俺達が楽しむプレイスタイルだからな、ギャハハ」


まさか、プレイヤーキラーに遭遇するとは。

このゲームは別にPKプレイヤーキル行為は禁止じゃない。

実際にPVP用イベントを企画しようと思っているし。

PK行為によって、死んだ場合に持っている所持金1割、経験値1%と装備またはアイテムを落とすことがある。

ただし、課金アイテムや課金装備、イベント入手アイテム、装備またはオーダメイド装備や自作レシピはドロップ不可が付いているため、どんなにPKしても落ちない。


PKには利点もあるが、デメリットとしてPK側は手配書として冒険者ギルドに発行される。

手配書は、これまでPKして手に入ったお金コインの1.3倍の懸賞金の値が付けられて、PKすればするほど更新されいく。

PKプレイヤーにとってはステータスにもなるし、PKKプレイヤーキルキラーは多額のお金が入手できる。


そして、目の前にいる奴らはPKプレイヤーでよくいる、快楽目的でPKをする。

いくら叩き潰しても沸いて出てくる。

まぁそんな奴を狩るのも楽しそうだけど。


今、目の前にいる3人はLv9前後の戦士系で、属性がそれぞれ、火、風、無となって相性は等倍で不利ではない。

もし戦闘になった場合、アクティブスキル<飛行>を使って攻撃が届かない空中で一方的に魔法を放つ方がいいだろう。



「さっさと始めようぜ、おまえらー!」

「「おうー!」」


そんな戦術を考えていると、奴らを剣を抜き出しこちらに駆け出す。


「目に物を見せてやる、スキル――「そこまでだ、悪党どもっ! 技術力アーツ"拡散矢ディフュージョンアロー"」」


突如、後ろから矢が飛び出し途中で分裂して、それぞれに命中する。


後ろにいたのは、頭と腰以外は初期防具の軽装で武器は『鉄製の長弓アイアンロングボウ』を持つプレイヤーだった。

頭には、顔全体を覆っている黒い仮面に目の部分には緑色のレンズがあり、まるで虫を訪仏している。


「クソッ、何なんだテメェは!」

「俺は通りすがりの仮面ソルジャーだ、覚え無くていい」


仮面ソルジャーと名乗ったプレイヤーは、それがプレイヤー名だった。

彼は手に持っていた長弓を一瞬で一枚のカードに変換する。


「技術力"攻撃態勢アタックスタイル"」


彼は、インベントリから別のカードを取り出し腰の方に持っていき、技術力を唱える。

すると、カードが霧のように消えて手には剣が装備されていた。


彼が奴らの元に走りだし、剣を振る。

一人は諸にダメージが入り、続けて二人目に剣を振ったが剣で止められた。

三人目が彼に切りかかろうとした時、


「俺を忘れては困る。 技術力"ライトボール"」


俺は、魔法を唱え三人目を攻撃を行う。

三人目は魔法防御力が低いのか、一発でHPが9割減ったので、続けて魔法を繰り出しPKプレイヤーをキルする。


「助かった。 ふんっ!」


彼はがら空きになっている箇所に蹴りを入れて、ノックバックにより少し距離を稼ぎ、再び駆け出す。

その間に俺は一人目のPKプレイヤーを"ライトジャベリン"で一撃でキルする。

そして、彼は走りながら持っていた剣をカードに変換して、走る勢いをそのままジャンプ力に変える。


「技術力"彗星蹴り"!」


そのまま空中で技術力を唱え、蹴りの体勢をしながら足に青白いエフェクトは発現する。

その蹴りは彗星のごとくエフェクトが斜めに軌道を描き、着弾すると、三人目のPKプレイヤーが吹っ飛ばされて、そのままHPがなくなりキルされたことで災難が過ぎた。

その後PKプレイヤーをキルしたことにより、ドロップとして下級ポーションが二つずつ落とされ、懸賞金が入った。

一人250Cという少額だった。


「さっきは助かった。 ありがとう。 改めて紹介する俺は仮面ソルジャーだよろしく」

「こちらこそ、1対3にならずに済みました。 自分はナッラーです」


お互いに握手して、何かの運命なのかフレンド登録を済ませる。

フレンド登録すると、そのプレイヤー現在地、オンラインでプレイ中を確認できて、チャット機能を使い会話ができる。


「さっきのスキル?技術力?凄いですね! まるで特撮ヒーローみたいでカッコ良かったです!」

「それはどうもありがとうございます。 自分はヒーローに憧れていて、いつか成りたくてこうして、ロールプレイをするため始めたんです。 先ほど始まりの街で初心者がPKされたと耳に挟んだので、そこに向かったところ丁度PKプレイヤーに遭遇した感じです」

「何かいい感じに楽しんでいますね」

「はいっ! キャラビルドの時にヒーローになれそうなスキルがあったので、つい」


彼は、話を聞いてもらえて嬉しいのか淡々と自分のことを語りだす。

どうやら、彼はクラウドファンディングの高額投資者だったらしくスキル選択チケットを使い、アクティブスキル<カード化Ⅰ>を入手して、初期スキルはアクティブスキル<高速装着Ⅰ>とパッシブスキル<格闘術Ⅰ>を入手したらしい。

アクティブスキル<カード化Ⅰ>は、スキルを取得した同時に専用の技術力である"カード化"と"解放"リリースを獲得した。

専用の技術力はレシピにすることは出来ない。


技術力"カード化"は手に持っているアイテム、装備をこのスキル専用アイテムのカードに変換にする。

カード化限度枚数はスキルレベルが1につき、5枚まで変換できる。

変換されたカードは重量が0となるため、インベントリの容量が節約となる。


技術力"解放リリース"は、カードを元のアイテムとして具現化される能力。


彼はその技術力とスキル<高速装着>を使い、自作の技術力を作り出したのだ。

それが、"攻撃態勢アタックスタイル"なのだ。


「まさか、もう自作で技術力を作るなんて凄いですね」

「そんなことはありませんよ。ゲーム開始時に『無地のレシピ』がありましたし、単純な工程だったのですぐに完成しましたよ」


和気藹々と話したことで、この人ともう少し遊びたいと思い、エリアエネミーの討伐に誘う。


「自分はこれからエリアエネミーを討伐するのですが、ソルジャーさんも一緒にどうですか?」

「おっ、いいですね。 自分もまだだったので助かります」


こうして、俺たちはパーティー登録をしてエリアエネミーの元へ向かうのだった。

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