卑弥呼伝説

星月夜

第1話 邪馬台国の女王とその使者 

 1700年前、邪馬台国を率いる卑弥呼の使者として、ミコとサコという二人が存在した。

 卑弥呼は、霊的で目に見えない力を持っていた。

 邪馬台国には、卑弥呼以外にも多くの不思議な力を持つ人々がいた。その中でも、サジは薬草や整体を使うなど、卑弥呼ほどではないにしろ、力を備え、現代で言えば、医者のような存在だった。


 卑弥呼が最も信頼していたのは、ミコ、サコ、そしてサジだった。

 また、ミコやサコを手助けしていた人々も、それぞれ7人ずついたのである。


 山の神を敬い、風や草、さらには土や木々などを操り、不思議な力を神のように使う人々は、卑弥呼を崇め奉っていた。

 一方、海の神を敬い、魚や貝、海藻や海塩、そして波までを神のように使う人々は、イワトカミを崇め奉っていた。

 その使いの下で、チグとアグという人物もミコやサコと同様の立場にあった。


 水源を求めた戦いは、山の民と海の民の間で行われていた。

 卑弥呼は、ミコやサコの力を信じて戦いを見守っていたのだが、苦戦を強いられていることを知り、雷を操ることを決心した。

 長い棒を持ち、その上に磁場じばを含んだとがった石をつけて、海の民が攻めいる戦いの広場へと突き進んだ。

 卑弥呼は、サコとミコを大事な湖の守りに向かわせた。

 そして広場の真ん中に立ち、手に持っていた棒を突き立てた。

 敵の群衆がなだれ込んできたが、卑弥呼は素早く馬のタロタにまたがり、たまたまその場にいたサジとともに立ち去った。

 卑弥呼は、天に向かって祈りを捧げた。両手を上げ、心から祈りを込めた。

すると、突然、天空が雲におおわれた。

 その時、空気は荷電かでんし、静寂せいじゃくが破られる轟音ごうおんが響き渡った。その瞬間、真ん中に突き刺さった棒に稲妻が走り、轟音と共に雷が落ちたのだった。


有利に戦っていた海の民たちは倒れ、気を失っていた。一方、山の民たちはわずかに勝利し、大事な湖を守り抜いた。

 

 しかし、戦いはこれだけで終わりではなかった。

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