お笑い芸人ランキング 特別編

採点!!なんでもランキング!!

お笑い芸人ランキング 特別編 M-1王者ランキング

今回のお笑い芸人ランキングは特別編ということで、歴代M-1王者の『漫才力』をランク付けしたいと思う。


非常に定義が曖昧なこの『漫才力』だが、今回のランキングではM-1で披露した漫才だけではなく、他の舞台で披露した漫才を含めた総合的な観点から、筆者の感じた『面白さ』『革新性』を基準としてM-1王者のランクを決めさせて頂いた(M-1のみを判断基準とすると、初期の中川家などは割を食ってしまうため)。


無論、M-1王者に下手なコンビなど一組もいないし、本来笑いに点数など付けられないのだが、そのような見方もあるかとDランクなみの軽い気持ちで楽しんで頂ければ幸いである。


それではまず歴代の王者だが、以下の通りとなる。


【2001年 中川家】


【2002年 ますだおかだ】


【2003年 フットボールアワー】


【2004年 アンタッチャブル】


【2005年 ブラックマヨネーズ】


【2006年 チュートリアル】


【2007年 サンドウィッチマン】


【2008年 NON STYLE】


【2009年 パンクブーブー】


【2010年 笑い飯】


【2015年 トレンディエンジェル】


【2016年 銀シャリ】


【2017年 とろサーモン】


言わずと知れた実力者揃いである。

この中からどのようにランク付けしていくかだが、まず上位、中位、下位の三つのグループに分けてみよう。


【上位グループ】


アンタッチャブル


ブラックマヨネーズ


チュートリアル


笑い飯


【中位グループ】


中川家


フットボールアワー


サンドウィッチマン


パンクブーブー


銀シャリ


【下位グループ】


ますだおかだ


NON STYLE


トレンディエンジェル


とろサーモン


(グループ内の順番は年代順)


それでは、各コンビのランクと、その結論に至った理由を解説していこう。まずは上位グループから。


【アンタッチャブル】 95 Sランク


コント漫才であり、いわゆる正統派の漫才師ではないが、それでも笑いの爆発力という点に於いては、全M-1王者の中でもトップクラス。二人の掛け合いを今はもう観られないのが、お笑いファンとしては哀しすぎる。コント漫才であることを差し引いたとしても、Sランク評価に疑いの余地はない。


【ブラックマヨネーズ】 99 Sランク


M-1決勝に進めたのは結局2005年の一回だけだったが、その2005年の漫才が神懸かっていた。チュートリアル徳井も2005年の漫才を振り返って、「2位ですね、僕の中では」とコメントしていたが、筆者の中でも2位である。チュートリアルの2005年のバーベキューのネタは、M-1史上でも屈指の面白さを誇るが、ブラックマヨネーズの漫才はそれを更に上回る面白さだった。これだけ時代が過ぎたというのに、今観ても無茶苦茶笑えるというのは物凄いことである。文句なしのトップクラス。


【チュートリアル】 100 Sランク+


M-1最終決戦で見せた『チリンチリン』の面白さが群を抜いていたため、この評価となった。チュートリアルの漫才は、その面白さもさることながら、徳井の変態性を活かしたあの漫才の『型』を発明したところに価値がある。こういった『新しい笑いの方程式』を発明したコンビには、筆者の感動を含めて評価に加味している(漫才の『型』に関しては、機会があれば別にまとめてみたい)。


【笑い飯】 98 Sランク


ちょっとしたボタンの掛け違えからか、M-1では2002年決勝に初登場してから、2010年に優勝するまで、実に9年もの間優勝できなかった笑い飯だが、その実力は掛け値無しの本物。チュートリアルの解説で語ったように、これまでの漫才になかった『ダブルボケ、ダブルツッコミ』という独自の手法を発明した功績は、あまりにも大きい。

M-1の歴史とはある意味笑い飯の歴史であり、Sランクは必然。感動点も加味してこの評価となった。


続いて中位グループ。


【中川家】 90 Sランク


M-1単体のネタだけで評価した場合、さすがに年代が古いためかなり苦しい面も見受けられ、Aランク相当が妥当となるが、これは中川家の本来の実力を出し切ったものとは到底言えないため、他の舞台で披露した漫才を含め、総合的な観点からSランクとなった。

中川家が凄いのは、まだあまり笑いのレベルが高くなかった昔、周りの漫才師がクソつまらん古臭い漫才をやっている中、一組だけ遥か先を行った高次元の漫才を繰り広げていたところだ。昔の映像を見るとよく分かるが、一組だけ完全にレベルの違う、突出した漫才をしている。

コントに頼らない正統派のしゃべくり漫才である点も非常に評価が高く、Sランク評価が妥当である。


【フットボールアワー】 91 Sランク


笑いの安定感という面に於いては、全M-1王者の中でもトップクラスの実力を有している。安心して笑える、笑いどころを外さないというのは、ボケ、ツッコミ共に優れたセンスの証明である。その反面、とても基本に忠実な漫才師であるため、『新しい笑いのスタイル』『独自の笑いの型』という部分には欠ける点があり、評価は伸び悩んだ。

が、漫才の達者さ、ボケとツッコミの掛け合いの巧さは中川家とも遜色なく、実力は間違いなく上位クラスである。


【サンドウィッチマン】 93 Sランク


当初もっと順位が低かったのだが、思い直してどんどん順位が繰り上がってきたコンビ。

笑いの基礎体力が高い上に、ミート感覚、長打力にも優れているため、アベレージを残しながらホームランも打てるという、非常に理想的なお笑いバッティングができる。

サンドで笑えなかったというのはあまり記憶になく、個人的にも大好きなコンビなのだが、やはり惜しいのはコント漫才である点。

漫才として見た場合は、コントの流用であるとしか思えず、必然評価は辛めとなった(逆に辛めでもこの高評価という点に、サンドの凄さは凝縮されているのだが)。

むしろサンドはコントが本職のようなところがあり、漫才としてはこの評価に落ち着くこととなった。


【パンクブーブー】 92 Sランク


全お笑い芸人の中で唯一の、『THE MANZAI』との二冠が示す通り、実力は折り紙付きのコンビ。優勝した2009年の漫才はコント漫才だったが、2010年ではパンクブーブーならではの、『新しい笑いのスタイル』を示してくれた。

基本的にはコント漫才が多いが、正統派のしゃべくり漫才もこなし、その実力は極めて高い。

順位的には中位となったが、それは比べる相手が悪すぎるからであり、実力的には充分に上位クラスである。


【銀シャリ】 90 Sランク


近年のM-1で唯一中位グループに選出。ツッコミのワードにセンスが溢れており、笑いの量を大幅に増幅させている。

ボケを受けてツッコミで笑いを増幅させるという、ある意味しゃべくり漫才の理想形のような漫才であり、まったくコントに頼らずこの面白さはかなり凄い(コント漫才に逃げると楽なのだが、このコンビは徹底してしゃべくり漫才を極めようとしているところに、非常に好感が持てる)。

その実力はSランクに相応しいものであり、同じく正統派のしゃべくり漫才ということで、中川家と同等の評価とした。


最後に下位グループ(ここからはかなり辛辣な評価も混じるかもしれない)。


【ますだおかだ】 79 Bランク


悪いとは言わない。けして悪いとは言わないが、この実力者揃いのメンツの中にあっては、ますだおかだが最下位ということになるのかなぁ……という感じである。

増田のボケに岡田がスベりながらツッコむ、昔ながらのますだおかだらしいスタイルは悪くはない、けして悪くはないのだが、それが果たして腹を抱えて爆発的に笑えるかと言うと、疑問符がつくかと思われる。ますだおかだの笑いは子供からお年寄りまで、家族みんなが茶の間で安心して笑うにはとても良い漫才だと思うが、『新しい笑い』『笑いの開拓精神』という意味では厳しい評価をせざるを得ない。

ますだおかだの漫才はある意味『古典芸能』であり、本人達もそれを目指してやってきたのだろうから、しっかり狙ったことをやれているのだが、伝統を重んじてそこを出ないことを高く評価する人と、伝統を尊重しながらも新しいものに挑戦する気概を高く評価する人がおり、筆者は完全に後者だった。

やはり、現状に満足して立ち止まるのではなく、例え失敗したとしても常に新しいものに挑戦するからこそ、文化というものは発展していくのだし、そういう気概のある漫才師を、筆者は高く評価したいと思う。

よってこの評価となったのだが、ますだおかだの漫才はけして悪い訳ではなく、むしろ同系統の漫才では相当に高いレベルにあることを断っておきたい。


【NON STYLE】 80 Aランク


問題児NON STYLE。テンポや間の良さなどは全M-1王者の中でも屈指の実力を誇っており、豊富な練習量と笑いに関してストイックな性格が窺える。

問題はネタのクオリティであり、テンポが非常に良いためつい笑ってしまうのだが、振り返ってよくよく考えてみると、『あれ?さっきのネタ、実はそんなに面白くないよな?』と、疑問符がつくような内容である。

そんなネタのクオリティで笑えるのだから、逆にそれ以外の部分はかなりのハイレベルにあると言えるだろう。

最近では女子高生に非常に人気があり、その時点で評価は言わずもがな、女子高生やお子様にウケる漫才もそれはそれで良いのだが、そこで満足していては『漫才師』としては先細りしていく一方だろう。

現状のままでも仕事はあるのだろうが、筆者としては今現在NON STYLEの漫才は全て早送りで飛ばしているため、もっと新しい笑いに取り組む気概が欲しいところである。

あと、NON STYLEは過去に井上が当て逃げをしたため、点数を下げることも考えたが、漫才の面白さとは何ら関係がないため自重した(下げれば一時の笑いにはなったと思うが)。


【トレンディエンジェル】 87 Aランク


非常にくだらない(褒め言葉)ネタの連発だが、これも間とテンポが良いと笑ってしまう典型的な例である。

ネタのクオリティはともかく、苦労してきただけあり、漫才の実力は確かなものがあると言えるだろう。

ハゲを全面に押し出した漫才であり、これはトレンディにしかできない新しい笑いの『型』だと言えなくもない。

『ハゲに始まりハゲに終わる』トレンディの漫才はそう形容するしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。

ただ一つだけ確実に言えることは、ジャルジャルの使い回しの劣化ネタより、こちらのくだらないネタの方が遥かに笑えたということである。

上位との比較によりSまでは行かないため、Aランクが妥当と思われる。


【とろサーモン】 86 Aランク


ますだおかだ、NON STYLEよりは上の評価としたが、トレンディとの比較は非常に悩ましいところである。

それぞれ似ているようでまったく違うもの、例えば『うどん』と『そば』を比較しているようなものなので、それも当然の話だが、M-1最終決戦で見せた漫才の差から、とろサーモンを一点低く付けさせて頂いた。

以前は『スカシ漫才』などの新しいスタイルを模索しており、それはそれで筆者としては高く評価している。

悲願のM-1優勝を果たした今、以前のように新しいスタイルを模索することはもうないのかもしれないが、新しい笑いを生み出したいというその大切な気持ちだけは、忘れずにずっと持っていて頂きたいと思う。


さて、以上で解説は終了となるが、上記の全てを踏まえたランキングは次のようになった。


1位 チュートリアル 100 Sランク+

2位 ブラックマヨネーズ 99 Sランク

3位 笑い飯 98 Sランク

4位 アンタッチャブル 95 Sランク 

5位 サンドウィッチマン 93 Sランク

6位 パンクブーブー 92 Sランク 

7位 フットボールアワー 91 Sランク

8位 中川家 90 Sランク

8位 銀シャリ 90 Sランク

10位 トレンディエンジェル 87 Aランク

11位 とろサーモン 86 Aランク

12位 NON STYLE 80 Aランク

13位 ますだおかだ 79 Bランク


異論も多々あるかと思うが、個人的には良いランキングを作れたと満足している。


が、現状に満足していてはいけない。


読者の皆様に面白いと思って頂けるものが書けるように、今後も精進していきたい。

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