身籠る

片眼の兎

第1話

地蔵さま

わしらは確かに子を望みました

夫婦になって四年

どうしても子が欲しかった

この手にややを抱きたかった

毎日

毎日

地蔵さまに子を授けてくれるよう二人で手を合わせました


地蔵さま

こんな酷いことをなさらんでもよいでは無いですか

子が地蔵だなんて

女房は腹の重さに耐えきれず

腹が破れはらわたを垂れ流しながら死にました

血と臓物に塗れた地蔵さまを抱くことも無く


でも

地蔵さまには感謝もしております

親になる希望を与えてくださって

身籠っている間

わしらは本当に幸せでした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

身籠る 片眼の兎 @katameno-usagi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ