4-2話 聖女の素質 辺境伯



「ティファニー。今日は、辺境伯様に、貴女の素質のことをお話しますよ」


 辺境伯家で、孫娘のティファニーとお茶会です。



「貴女に光属性の素質があることを、おじい様にお話して、聖女見習いとなることを推奨する事で、よろしいですね」


 彼女と、よく話し合った結果、彼女は聖女になる道を選択しました。



 辺境伯がいらっしゃいました。


「辺境伯様、ご足労頂きありがとうございます」

「今日は大事なお話があります」


「孫娘のティファニー嬢には、光魔法の素質があります」


 辺境伯は驚きます。これが何を意味するのか、解っていらっしゃるようです。


「彼女は、聖女になる道を選択しました」

「聖女見習いとなることを推奨します」


 辺境伯は考え込みます。


「フラン嬢、貴女はそれでよろしいのですか」

「その話は、この子が、貴女のライバルになるという事ですよ」


 聖女としてのライバル、そして、王子との恋のライバルということですね。


 空を見上げます。青空に白い雲が浮かんでいます。



「大丈夫です。私の将来は、たぶん聖女ではありません、そんな気がします」


 明確な根拠はありませんが、私の勘がそう言っています。



「では、フラン嬢に頼みがある」

 え?


「孫娘ティファニーの先生になって欲しい」


 孫娘が、目をキラキラ輝かせて、私を見つめます。これは断ることはできません。


「わかりました、誠心誠意、努めさせて頂きます」



「交渉成立だ、孫娘が聖女への道を歩むことを認めよう」


「ありがとうございます、おじい様」

 ティファニーは喜んでいます。良かった。



 辺境伯が、私に、右手を差し出してきました。

 私も差し出し、ガッチリと握手をします。


 大きな力強い手です。父親の手って、こんな感じなのでしょうか。


 私にも家族が欲しいです。



「フラン嬢、手から昔懐かしい感触が伝わってくるが、貴女は何者だ?」


 辺境伯が、私から何かを感じたようで、変な質問をしてきました。



「私は、幼い頃の記憶がありませんので、出生は分かりません」


「隣国のクーデターに巻き込まれた戦争孤児の扱いとなっています」



「その綺麗な銀髪は昔からか? 以前は栗毛ではなかったか?」


 辺境伯の質問は、意図が読めません。


「はい、私は昔から、銀髪、青紫の瞳で、容姿は変わっていません」



「話したくない事まで聞いてしまい、すまなかった」

 辺境伯は納得していないようです。




「話は変わるが、例の刺客女官は王宮から追放された」


 私とお見合いした子爵令息の浮気相手の、あの女官ですね。


 女官は、辺境伯と対立する伯爵の刺客として動いていました。



「数々の貴族をたぶらかしていた罪だ」


 刺客とはいえ、魅力的な女性は、ずいぶんとモテるのですね。


「第二王子も狙ったため、セレーナ嬢の怒りを買ったらしい」


 あらら、それは事件ですね。

 手駒の刺客が、自分の養女の恋人を狙ったのですね。

 

「ロペス伯爵は、刺客女官の実家である男爵家を取り潰した」


 飼い犬に手を嚙まれて、相当怒ったのでしょうね。



「その刺客女官の髪は、栗毛でしょうか?」


「いや、金髪だが」

 辺境伯の目つきが変わりました。


「金髪なら、第二王子は落とせなかったでしょうね」

 第二王子は栗毛の令嬢にしか興味を示しませんから。



「フラン嬢、私と貴女とは、いい関係を築けそうだ」

 辺境伯が不敵な笑みを浮かべています。




(次回予告)

 辺境伯と手を組んだフラン。次回は、困っているおじさんを助けます。

 ケガしたおばさんも助けます。二人はだれなの?


 恋のライバルが、伯爵家の養女になります。

 


あとがき

 読んでいただきありがとうございました。

 18話で完結しますが、現状を、星などで評価していただけると嬉しいです。

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