光の届く先に

陽控優亜

プロローグ

暗闇の中、必死で走っていた。

誰もいない。

力尽きてしゃがみこんで。

言葉のナイフから心を守るために。

暗闇の中にいたはずなのに。

いつの間にか、暗いくらい海の底にいて。

上手く呼吸できない。

息が、できない。苦しい。

息が外に出れば、私はもう息を吸えない。

助けて、助けて。

そう思って、目を閉じれば誰かに強く上に引っ張られる。

目を開ければ男の人の後ろ姿。

私の方を見てにこりと微笑み。

『独りじゃないよ』

そういわれた。

目から何かが出た。

あぁ、私は……。

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