俺をボッチなんて呼ぶんじゃねえよ

苦労万感世士常

第1話 俺の回

 俺の名前は姫島千博、千の博識とかいてチヒロと呼ぶ。両親は賢い子供に育つことを願って名前をつけてくれたらしい。だが、俺は賢いか?と言われるとそこそこ成績のいいひねくれた豆知識を持って、中学の頃は喧嘩三昧と千博と言う名前にはちょっと、いや結構ほど遠い名前だと思うんだ。俺の両親は両方公務員、いわゆる公務員2馬力である。地方都市じゃそこそこの収入世帯。家も持ち家一軒家ローンも既に完済、俺には兄妹もいなく一人っ子で三人暮らしなのにデカいステーションワゴンとSUVの軽自動車を持っている。親父はどうやら趣味の釣りと車中泊にどハマりしてるおかげででかいステーションワゴンを買ったらしい、ちなみに俺と母親は車中泊なんかについて行ったことなんかない。オヤジはすこし寂しそうだったけどね。母親は海外旅行が趣味、ツアーで行くんじゃなくて自分でチケット手配して、ホテル予約して行くんだよ。大学の頃、交換留学でアメリカで一年間すごしたせいか英語がペラペラなんだよ。だから、俺たちが家族旅行で海外行く時は通訳要らずでめちゃくちゃ便利なんだ。

 お前は何が得意なんだって?強いて言うなら喧嘩が強いくらいだった。親父が公務員って言ったが、警察官なんだよ。警察官だからなんでって?よく分からないが俺が幼少期の頃から、道場に入門せずに空手、柔道、捕縛術を学ばさせられたんだ。お陰でぶたれ強い子供になったよ。思い返すとこれは虐待だと思ったね。しかも、おれが小学校や中学校でこっちが喧嘩売ったわけでもないのに喧嘩して相手をボコったときなんて、親父はいつもブチギレて「そんなためにおまえを鍛えたんじゃない!!」としごきという名の稽古が始まるんだ。おかげで喧嘩の時より顔を腫らすハメになっちまうんだよ。俺は喧嘩を繰り返す決してこっちから売ってるわけじゃない買ってるだけなんだけど、人が寄り付かなくなってきたんだよ。人によってはボッチていうかもしれないが俺は決してぼっちなんかじゃねえんだからそう呼ぶんじゃねーよ。

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