第28話

さて、何はともあれ数字をコンピュータに打ち込まざるを得ない。


私は、報酬である1,000万円の一部を使って、自宅にミニオフィスを作っていた。開発環境で使用するパソコンやモニター、複合機なども用意していた。


この複合機には、OCR(光学式文字認識)機能が備わっている。まずは、大量の用紙を読み込ませて、加工しやすい形に変換する。


全てOCRで処理しても良いのだが、思い立って、私は自分でも、一部を手入力してみることにした。別に特別な意味はない。なんとなく、手を動かすことで見えてくるものがあるような気がしたからだ。


私は無心に手を動かす。部屋にキーボートを打つ音だけが響く。やがて、手が止まる。私の目はある数字で釘付けになった。


S40


また訳の分からない数字が出てきた。今度は、S40だ。


しかし、これだけで済まないのは容易に想像できる。


一枚、二枚、三枚。私は次々と紙をめくりながら、目を皿にして探す。しかし、お目当ての数字は、中々見つからない。諦めかけたその瞬間-


(あった!)


予想通り、見つかった。P40である。


どうやら、数列は35が最大値ではないらしい。なぜ、クゼとの電話の段階でそれを見落としていたのかと言えば、単純に見落としていた。しかし、それも無理もない。


私はOCRで読み取った数列をエクセルに落とし、各数値の登場頻度を確認した。やはり、S40とP40の登場確率は、かなり低かった。全体の2~3%程度に過ぎない。これでは、サラッと確認した程度で見逃すのも当然だ。


しかし、40が登場したところで、皆目分からないのが、なぜ40なのか、という点である。


例えば、身の回りのもので考える。アナログ時計であれば、秒針および分針は60秒および60分で一周する。一方で、時針は12時間で一周だ。


40がマックスでミニマムが0。加えて、SとPの方向性を持つもの。ダメだ。さっぱり分からない。


何なんだ、これは?

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