本当に大丈夫?
桜月旬也
第1話 電気製品の安全性の話①
~~~ 安全性が確保されているかどうかわからない電気製品の話
第1話 リチウムイオン電池編① ~~~
昨今と言う程新しい話ではないが、この20年程の間に所謂激安家電と呼ばれる家電製品の台頭が激しい様な気がする。
別にそれだけの話で済むのであれば、同じ様な物がより安く買えるのだから、実に結構な話だと言う事で話はお終いになる訳だが、ここに大きな落とし穴があるから今回のネタとして取り上げる気になった訳だ。
日本人にとって、国内で売られている電気製品が基本的に安全である、と言う事が常識の様になってどの位経つのだろうか?
製品の安全性と言う問題に関しては、電気製品に限らず、ユーザーの命や財産の保全に直結する問題として、もう少し真剣に捉えられるべき問題ではないかと思う事もしばしばあるのだが、何故かあまり真剣に捉えられる事が多くない様な気がする。
令和4年版の消防白書によると、所謂火事(白書では出火と表現)はこの10年程の間減少傾向にあって、平成23年(10年前)と比べると、約3割減(35222vs50006件)、死者数で2割減(1766vs1417人)と減少傾向にあるのだが、どう言う訳か損害額は、ここ平成28年以降上昇傾向にあって、全体としても8.6%減(112835vs104213百万円)と振るわない状況にあるそうだ。
ただし、全体としては件数や死者数等の数字は減少傾向にあるそうなのだが、そんな世間の風潮?の中にあって、製品に起因する(事が疑われる事案を含む)火事火災が増えているそうだ。
令和4年5月 31 日時点で判明している電気製品に起因する(事が疑われる事案を含む)火事火災案件は、平成29年の405件に対して、年々増加する傾向にあって、令和3年時点で69%増の687件(ほぼ電気製品が原因と特定された事案は133件)にも及ぶそうだ。
この内、ほぼ電気製品が原因と特定された事案133件について、消防庁作成総務省名義の報道資料(平成4年8月25日付資料【令和3年1月から令和3年12月までに発生した製品火災に関する調査結果】(https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/220825_yobou_1.pdf))の中で情報公開を行っているが、その内容を精査すると、20件以上でリチウムイオン充電池が使われている互換電池が原因の火災事故が報告されており、リチウムイオン充電池などを内蔵する製品での発火事故事案を含めると1/3以上の事案で関わっている可能性が見えてくる。
色々と調べてみると、この互換電池や内蔵電池と言うのが曲者で、内蔵電池はそもそも法的な規制が無い可能性があり、互換電池は規制はあるがまともに守られていないものが売られていると言う状況が見えてくる。
確かに、リチウムイオン充電池は高い、純正電池を買うと1個5~6000円するのはざらだ。1万円前後するものもある。
対して、さほど違いがあるの様に見えない互換電池なら、半額~安ければ1/4以下で買えてしまう事もある。
安全性に大差が無いのであれば、安い方がアリガタイ、と言うのが消費者の正直な気持ちだろう。
実を言ってしまえば、私も消費者の立場として、それが悪い事だとは思わない。
だが、それが原因で火事が起きてしまう可能性が高い、と言うのならどうだろう。
悪い1例になるが、先ほどの報道資料で記載されている、(有)すみとも商店の輸入販売したリチウム電池については、【独立行政法人製品評価技術基盤機構】(NITE)が、経産省のWebページで『充放電していない保管状態であっても、基盤上の部品が発熱・発火する可能性があることが、本日(10月29日)付で確認できており、大変危険な製品です。そのため、直ちに使用を中止し、充放電は絶対に行わないで下さい。また、廃棄方法等が決定するまでの間、万が一発火した場合に拡大被害を防ぐため、鍋や空き缶のような金属性の容器等に入れて保管し、可燃物のそばに置かないようお願いいたします。』(原文まま)と言う警告を発している。
実を言ってしまえば、リチウムイオン充電池と言う物は、きちんと作っていなければ、かなり危ないものなのだ。
そもそもリチウムイオン充電池と言うのは、小型化可能で、大容量であり、繰り返し充放電出来て、ニッカド電池の様なメモリー効果も殆ど無い、夢の様な電池だ。
処が、大容量であるが故の問題もある、製造上で何か不具合が生じたりすると、何かのはずみで、発火して焦がしたり、発熱して周囲のものを溶かしたりする事がある。
そこで国は、日本で単品で売るリチウムイオン充電池(モバイルバッテリーの様に電源として販売するものの一部を含む)に一定の規制を行っている。
本来、この規制に基づいて作った物でなければ日本国内で売る事は許されていないのだ。
所が、この規制(法)の強制力が緩いので、ネット通販などを介してかなりいい加減に売られているから問題になる。(どこぞの大陸国家の様に捕まると出る事の期待出来ない牢屋に入れらりたりする事は基本的に無い。)
最近よく聞くのは、売り逃げ事案だろうか…
安く仕入れた怪しい製品を売るだけ売って逃げる。問題出る頃には会社すら解散していて、別のものを売っていると言う、詐欺のまがいと言うか詐欺を前提にした様な商売だ。
そこで、互換バッテリー等を購入する際に、最低限押さえておきたいチェックポイントを考えてみようと思う。
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次回、【互換バッテリーの最低限押さえておきたいチェックポイントについて】です。
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