第44話:クラス決め
「大吉……私ですね」
意外にも大人しくお神籤を見せ合った暦の六家。
その中で大吉は水無月家の静さんだけであり、この結果的に俺は水無月雫がいる肆のクラスに配属されることになった。
「そうだ皆、このお神籤には貴方達の子供の運勢も占いで出しておいたの。だから内容を見ると面白いわよ。本来なら運勢の順倍はなくしているのだけど、今日は特別」
つまりこのクラス決めのお神籤は、子供の運勢で決まるって事か?
……で、これは原作知識があるから言える事なんだけどさ、九曜様のお神籤ってやばいのだ。何がヤバいって預言(ガチ)なのがやばい。
大体が未来予知レベルであり、書かれてることは全部気を付けた方がいいレベルになっている。
「……凶なんだが?」
それでの結果なのだが、逢魔さんが凶。
如月家の当主である由衣さんが、中吉で葉月家の当主の茉莉さんも同じ。極月家のマッチョの人は小吉であり、皐月周さんは吉だそう。
各々九曜様の事を知っている故か、お神籤に書かれてる子供達の運勢に頭を痛めているようだ。
「……私の運勢は凶なのね。『待ち人』は来ない、『走人』はあり、『恋愛』は離ればなれになるそうよ……『縁談』が逃がすな? どういう意味かしら……」
で、逢魔さんが凶を引いたって事はそれは龍華に当てはまるって事で、結果でかなり項垂れていた。
「九曜様、俺も引いていいか?」
……龍華が引いたからって訳じゃないし、純粋に九曜様のお神籤というのは原作でも描かれてたしで、自分でも体験してみたい――と、そう思った瞬間の事だった。
『私のじゃ駄目かしら?』
……ステイ神綺ステイ。
貴女のおみくじはやばいの知ってるんだよ。お告げ(呪)だから受け取れない。
『……悲しいわ大吉を沢山用意してるのに』
それ当たりしかないじゃん。
まぁそれなら今度引くから今は九曜様の引かせてくれ。
『…………いいわよ、その代わり夜会いましょうね』
了解……とだけ告げて、神綺との会話を終えた俺は九曜様にお神籤を引かせて貰えないかと頼んでみた。
「いいわよ? そうね、それなら昴も引きなさい? 剣って子は連れてきてないでしょうし、せっかくだからね」
「……まぁ刃が引くなら引いてみるか」
それで引いてみたのだが、俺のは大吉だった。
内容としては『待ち人』凄い勢いで来ます……『願望』と『恋愛』がなんか文字化けしててぇ、『縁談』が……諦めしょう。なんだろう、このお神籤?
本当に大吉か? これ凶とかじゃないよな……というああまりにもツッコみ所が多すぎて、見せた龍華が引いてたし。
「父さん、剣のはどうだった?」
「龍華ちゃんと殆ど同じ感じだったな、でも細部は違うみたいで願いは叶うらしい」
妹の剣の結果は凶だったようで、内容は今言われたとおり龍華と同じ感じだったらしい。見せて貰えば、『願望』以外はやはり同じ結果でこれからの剣の恋愛が心配だなぁって思ったくらいだ。
「そうだ昴、剣だったわよね刃の妹は」
「そうだがどうしたんだ九曜様?」
「同じ凶なら龍華のクラスに入れるのはどうかしら? 今視た限り相性も良いでしょうし、同じクラスにするのありだと思うの」
「そうか? ……龍華ちゃんは良いのか?」
「えぇいいわよ将来の妹にする予定だもの。今のうちに交流深めるのは悪くないと思うわ」
「…………そうか、なら頼む。剣をどうか守ってやってくれ」
そんなこんなで剣のクラスも決まり、奇しくも原作と同じように二人は一緒のクラスになったようだ。本来なら高校で一緒になるのだがこれが修正力という奴なのだろうか?
「じゃあ今日の会議はこれで終わりでいいかしら? 気になる事があったらあとで私に聞いてくれると良いわ」
会議はそれで終了。
俺達はその部屋から退出し父さんに挨拶したあとで帰ろうとしたのだが、その前に水無月静さんに声をかけられた。
「……やはり髪は姉様譲りですか、昴の面影は殆どないですし素晴らしいです」
「あ、はい。それでどうしましたか?」
今のは彼女なりの褒め言葉だろう。
だから一応受け取っておいて、とりあえず話を聞くことにした。
「いえ……ただ娘をよろしくお願いしますと頼みに来ただけです。同じクラスになりましたし……」
「そうですね、こちらこそよろしくお願いします――でも大丈夫ですか? あの日別れの挨拶の時とかめっちゃ避けられてましたが……」
「ああえっと……それは気にしないでください、あの子はあまり他人になれてないだけなので」
そうだっけ?
いや、最初登場したときはそんな感じだったな。
確かにそれなら怪我はないかどうかを結構ぐいぐい聞いたのは不味かったよな。
「まあでも……貴方の事は嫌ってないようですので関わってあげてください。あの子は私に依存気味なので、外を見た方がいいでしょう」
「了解です」
なんか印象変わるな。俺の知識では剣に対する態度かなり酷かったし冷たかったのに……あと、純粋に初対面での父さんの反応もあったからもあるんだけど、思ったより穏やかな人だ。
「では、この辺りで……改めて娘をよろしく頼みます」
そこで会話が終わったので、俺はそのまま卯月家に帰ることにした。
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