好奇心は俺をも泣かす 1

「な、なんとか逃げ切ったな……」

「そうみたいだね」


ドラゴンから逃げ切った俺たちは

岩に寄りかかって休んでいた。とんでも

無い奴が火を吹きまくったせいでこの

フロアはもうめちゃくちゃだ。スライムも

みーんな逃げちまった。他のプレイヤーだ?

知るか


「で、あとログアウトまでどれぐらい?」

「そうだな……あと」


俺はデバイスで今の時間を確認する。えっと

さっきの時間から計算すると


「二時間だな」

「え〜」


美子は頬を膨らませて、片足を宙に浮かせた

やれやれ……と溜息を吐く暇も無く俺の耳に伸びる手


「くっ……隙ありだと思ったのに!」

「甘いんだよ」


それを俺はしっかりと掴み、耳を守る

しかし、もう片方の腕が更に俺の耳を狙った


「話が違う……そろそろ触らせてくれても」

「それはお前が俺を守った時の話だろが。

ドラゴンに軽くあしらわれた様な奴には

お預けだい」

「ぐぬぬ……でも我慢が……もう」

「落ち着け……目がヤバいって」


美子は目から光が消えつつあった。多分、この耳の魔力だろう。つーか力が強すぎんだろ

腕の骨が折れそうだ


「うふふ、このままだと腕が折れちゃうね。

もう諦めたらどうかしら?」

「くそっ……そこまで耳に触りたいかよ」

「触りたくさせたのよ!あんたがね」


お終いだ。もはや俺の腕か耳のどちらかは

美子によって弄ばれてしまう。耐えられ無い

こんな時にモンスターとか来ないんかよ!


「あの〜つかぬ事をお伺いしますが」


うるせえな、誰だよ。今それ何処じゃねぇんだ


「あっちいけ……!お前も狙われるぞ!!」

俺は野犬を追い払う様に叫んだ。そんな事してる内にも腕が!耳が!


「え……あなたまさか?!」

「あぁ?!」

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