【進歩と代償】
文屋治
進歩と代償
私達人類は気が遠く成る程に長い歴史の中、一歩々々着実に、屋根の瓦から落ちた微小な雨水が大きな岩を穿つかの様に進歩し続けて参りました。
二本の腕を振り、二本の足で器用に歩く私達人間の形容…敢えて、強いて申し上げれば肉体と云うものは次に
第一の形容、
第二の形容、
第三の形容、
第四の形容、
現代型の人類である
代償、其れ即ち感情であります。
早すぎる科学の進歩が私達人間の精神の進歩を瞬く間に追い越してしまい、今では感情の歳が幼い人間で溢れ返っております。
感情と云うものは不定形なものであり、此れを培うには唯々努力し、誰かを思い遣り、数多くの悩みや苦悩を乗り越える他ありません。ですが、今の時代はどうでしょう。大概の事は努力せずとも答えが得られ、思い遣りよりも警戒を強める様になってしまい、常日頃の暮らしの中から悩みや感動を見出す機会がほとんど無くなってしまった現代において、世界から
進歩と代償、此の二つは切っても切り離せません。其れ故に、両者の繊細な均衡を私達人間は細心の注意を払って調整し、保ち続けて行かなければならないのです。まぁ、そうは申し上げましても、其れが至難の業なのでありますが。
【進歩と代償】 文屋治 @258654
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