最近になって思う。

乗り物が欲しいと。乗り物といっても、車や飛行機を作ることではなく。

この世界で乗り物といったら、馬。

子供が憧れる乗り物はドラゴン。

ドラゴンになる騎士は竜騎士と呼ばれている。


「ドラゴンじゃなくて、グリフォンが欲しい。」


「とってくればいいじゃない?」


「グリフォンは結構強いんですよ。嫌です。」


「勝てないの?」


「一対一ならギリギリ勝てますよ。森の中限定で。」


「卵を盗んでくればいいじゃない?」


「それこそ無理難題ですよ。グリフォンは高い所に巣を作るから、辿り着けませんよ。」


「じゃあ、騎士団から貰ったらいいじゃない?」


うちの公爵家には、ドラゴンになっている騎士とグリフォンになっている騎士がいる。


「頼んでみたんですけど、断られました。お嬢様が行ってください。」


「しょうがないわね。」


お嬢様の力を借りて、恨みがましい目で見られながら、グリフォンの卵を譲ってもらった。


「なんで、ドラゴンじゃなくて、グリフォンなの?」


「ドラゴンは火の魔法を使うから、森では不都合なんですよ。」


「グリフォンは風の魔法を使うもんね。」


「そうです。それにしても流石お嬢様です。10億リンを積んでも貰えなかったものが、無料で貰えたんですから。」


「それは、騎士団が公爵家のためにあるからよ。」


「それはそうですが、態度が違いました。」


「グリフォンの卵は、美味しいからね。料理に使うと思われたんじゃない?」


「ちゃんと説明しましたよ。」


「まあ、日頃の行いよ。」


それから、毎日卵に魔力を注ぎ込んでいたら、2週間で孵化した。


「ピ!!」


「どうしたんだ?グリ?」


生まれたグリフォンはメス。名前はグリ。

グリは魔物なので、魔力の濃いものを好んで食べる。

成熟するまで3年はかかるらしい。

グリを抱っこしていたら、急に俺をつつき出した。お腹減ったのか?

紫オークのお肉をあげると、喜んで食べてた。


「早く大きくなるんだぞ。」


「ピ〜」


グリは食べて眠くなったのか、俺の腕の中で寝てしまった。

可愛いやつだ。


「いつも、ずっといるわね。」


「当たり前ですよ。生き物を育てるということはそういうことです。」


「そう、結構人懐っこいグリフォンだし。」


「メスだかららしいですよ。オスは人見知りなんですって。」


「へ〜。狩りにもついて行かせるの?」


「それは、もう少し大きくなってからですね。せめて、自分で飛べるようにならないと。」


「それはそうね。」


グリは俺のことを親と思っているので、俺が色々躾けてあげないといけない。

お腹を見せて俺に甘えてくるこいつは、いつから魔法が使えるようになるんだろうな。

グリのお腹を撫でながら、少し不安になる。まあ、可愛いからいいか。


こいつは、夜泣きがひどいから、俺と一緒じゃないと寝れない。手間がかかるやつだ。

そんなこいつも1月経ち、ついに飛べるようになった。

これで、狩りについていける。ただ、ついて行かせるだけだが。

攻撃手段は、もっと後だな。


そんな時、ある知らせが届いた。

俺の故郷の村に盗賊が出たらしいのだ。ただ、その盗賊達はアリシアパパ達が撃退できたらしい。

アリシアパパは村の守衛にしては過剰に強い意志、俺が使わなくなった武器のお下がりあげてるから、盗賊には、負けない。


「それにしても、村に盗賊被害か。」


他に村の盗賊被害がなかったので、怪しいと思い。一旦、俺は村に帰ることにした。


「盗賊というよりは冒険者みたいな奴らってことですか?」


「そうだな。戦ってみた感じだと。」


盗賊と冒険者に違いなんてないが、戦い方が違う。盗賊は対人用の戦いで、冒険者は対魔物用の戦い方をする。

特に、ダンジョンでレベルを上げてきた奴らや、魔物の依頼しか受けてこなかったやつはその傾向が強い。

能力は高いが、そこまで強くない。

今回はそんな感じだったらしい。ますます怪しい。


村に帰って、一週間目、


「ん?おかしいな。」


森がいつもと、少し違う。その原因員に近づいてみると、よくわかる。

隠蔽系の魔法かなんか使ってやがる。


「この森は、俺の庭だぞ。バカが、死ね。」


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