第28話 〖進化〗の結果
──よし、人間達は撒けたな。
この辺りには他の魔獣も居ないし、早速〖進化〗を済ませよう。
オレが進化先を決定すると、体内に充満するエネルギーが循環を始める。
三回目の〖進化〗。肉体を変異させる熱は回を追うごとに強まっている。
熱量に押されるようにして膨張して行くオレの身体。
内在エネルギーの奔流が細胞単位で新生させて行く。
~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~
・・・
>>不破勝鋼矢(ジュエルウェポンスライム)が〖進化〗を開始しました。
>>種族がジュエルアーマリースライムに変化しました。
>>〖進化〗に伴い〖スタッツ〗が変化しました。
>>〖スキル〗が追加されました。
・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オレが選んだのはジュエルアーマリースライムだった。
他の二択に比べてクセが無く、現在使える能力を伸ばせそうだからこれに決めた。
「(ふぅぅ、終わったか)」
一度、伸びをするみたく体を縦に伸ばす。
象の子供並のサイズとなったオレの体は、それだけで木の枝に届いてしまった。
「(ん……?)」
そこで、違和感に気付く。
何か体がいつもと違うような──。
「(──って、四角くなってやがる!?)」
そう、体がいつものお餅型から立方体へと変貌していたのである。
全ての辺の長さが等しい正六面体だ。
「(こんな風になるんならちゃんと説明しといてくれよ……)」
心の中で愚痴る。
でもまあ変形能力は健在のようだし、問題はないか……。
「(ふぅ、そろそろ見てみるか)」
急激な成長による解放感と全能感。
それも落ち着いて来たのでそろそろ〖ステータス〗を確認する。
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種族:ジュエルアーマリースライム
獣位:豪獣
スタッツ
ライフ :457/481
マナ :413/476
パワー :215
タフネス:2488
レジスト:268
スピード:163
スキル
溶解液 自己再生 方向感覚
カバー 投擲 登攀
ブロック 完璧の守勢 逃走本能
不退転 柔軟運動 ウィップ
コンパクトウィップ 連撃 愚行
隠密 意思理解 スラッシュ
コンパクトスラッシュ ジェスチャー 意思伝達
ウェポンボディ 流転の武芸 身体修復
噛みつき 踊り 水泳
遁走 転瞬 クロスカウンター
挑戦 集中 空中跳躍
突進
輸送(NEW) 武具格納(NEW) レプリカントフォーム(NEW)
蠱惑の煌めき(NEW)
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す、〖スタッツ〗の上がり方がエゲツねぇな。
〖進化〗前は100台中盤に差し掛かったところだった。
それが一足飛びで200台に突入しちまった。
力が滾々と湧いて来るのにも納得だ。
〖スタッツ〗の配分は〖進化〗前とおおよそ同じだが、地味に〖マナ〗の量が大幅に増えてやがる。
……まあ、何にせよ多いに越したことはない。
考えても答えは出ないので〖スキル〗を見て行こう。
~スキル詳細~~~~~~~~~~~~~~
墜撃 自重を利用して直接攻撃を行った時、威力に補正。落下速度を上昇させられる。
貯蓄 蓄えられる栄養の量を増加させる。〖ライフ〗と〖マナ〗を最大値以上に保持できる。
輸送 運搬時、運搬物から受ける荷重を軽減する。運搬時、運搬物の損傷を軽減する。
武具格納 武器を自身の体で完全に覆うことで、異空間に収納できる。
レプリカントフォーム 武器を解析、記録することができる。自身の肉体を記録している武器に変化させられる。
蠱惑の煌めき 〖スキル〗所持者を視認中の生物を対象とし、〖スキル〗所持者への攻撃意思を激しく引き出せる。〖スキル〗所持者が殺害された時、殺害者が収奪できる〖
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は大盤振る舞いで新〖スキル〗が六つもあるぜ。
つっても〖
上位化(?)〖スキル〗から見て行こう。
〖墜撃〗は純粋に効果が上がってて使いやすいな。
落下加速も役立ちそうだ。
〖貯蓄〗は〖食い溜め〗から変化した〖スキル〗と思われる。
〖ライフ〗や〖マナ〗も蓄えられるようになっており、今後とも活躍が期待できる。
〖輸送〗は〖運搬〗の上位〖スキル〗だろうか。
あんま使う機会はないかもだが、まあ、あって困る物でもない。
最後の〖蠱惑の煌めき〗は〖魅惑の輝き〗の上位化だな。
ヘイト寄せ効果が強化された他、〖経験値〗増加の『大幅に』が『劇的に』にグレードアップしてやがるが、気にするこたぁ無いだろう。
今更である。
「(んで、こっからが本当の新〖スキル〗だ)」
まず、〖武具格納〗。これがあればゴブリンとかの魔獣を倒した後、その武器を頂戴することができる。
オレの体の方が固いから滅多に使うことは無いだろうが、〖投擲〗の弾にできそうだぜ。
その他にも、武器を持ち歩き手札を増やせるのは有用だ。
生身で戦うことで不利になるような〖スキル〗持ちの敵も居るかもしれねぇ。
例えば大熊の〖スキル〗が『生物の強度を無視する』って能力だったのなら、普通の盾を持ってればもっと簡単に攻略できただろうしな。
お次は〖レプリカントフォーム〗に注目する。
これはまた……何とも評価し辛い〖スキル〗だ。〖ウェポンボディ〗と若干被り気味な気もする。
ただ、武器の解析ってのは面白そうだな。
近くの小枝を拾って使ってみる。
「(小枝も子供に取っちゃ武器だしいけるだろ、〖レプリカントフォーム・解析〗! ……あ、ホントにいけた)」
結構ザルだな、武器判定。
ちなみに、木の枝は棍棒扱いらしい。
「(ほうほう、なるほどなるほど)」
小枝の情報が頭の中に浮かび上がって来る。進化先の情報を確認するのと同じ感覚だ。
解析作業が完了し、次は変化効果の方を確かめる。
「(〖レプリカントフォーム・模倣〗!)」
体の一部が枝に変形した。
大きさから表面の質感、細かな曲がりの位置まで完璧に模倣している。
「(おぉー、すっげぇ
どこからどう見ても木の枝そのものだ。
そう思って撫でていると、乾いた音を立てて枝が折れた。
「(あっ)」
力を入れ過ぎてしまったらしい。
折れた枝はドロリと形が崩れ、水色の液体になった。ジュエルスライムの身体が壊死した時と同様である。
「(耐久力まで模倣しちまうのか……)」
そして壊れると模倣が解け、使っていた分の体が壊死する、と。
「(体がデカくなったから〖ライフ〗の消耗は少ねぇが、考え無しに使うのは不味そうだな)」
多分、今のオレの〖タフネス〗なら鉄の武器より素の肉体の方が強ぇ。
思ったほど便利じゃないかもなぁ……と思いつつ、取りあえず〖レプリカントフォーム〗のことは保留にし、ピョンと一跳ねする。
「(うっし、そんじゃ狩りに行くか!)」
〖進化〗して得た力を試してみてぇ。
心の中で頬を叩き、オレは〖マナ〗の濃い方へと進み出したのだった。
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