第10話 戦果
「(〖レベル〗は15になったか)」
ゴブリン四匹を倒したオレは戦果を確認する。
四匹倒しても四つしか上がらなかったが、〖レベル〗が高くなるほど上げ辛くなるらしいから仕方ない。
強い奴を倒せばより早く上げられるらしいが……それはまたの機会に考えよう。
「(エグみが強ぇなぁ)」
ゴブリンを食べながら〖ステータス〗を見て行く。
新〖スキル〗の取得は無し。
けど、持ってる〖スキル〗について詳しくなれた。
具体的には〖連撃〗の適用条件がかなり緩い、ってことが分かった。
途中で他のゴブリンに攻撃したり、〖ウィップ〗と〖投擲〗を交互に使ったりしても効果は継続していた。
この〖スキル〗がカウントすんのは攻撃対象に対し、直近の一分か二分ぐらいの間に何度攻撃を食らわせていたか。その一点に尽きる。
対象に中てた攻撃の回数に応じ、〖連撃〗は攻撃の威力を補正してくれるらしい。
てな感じに考えていく中で、とある事に気付く。
「(そういや【ユニークスキル】の確認も後回しにしてたんだったな)」
邪魔だったゴブリン達ももういない。
早速意識を集中させる。
~ユニークスキル詳細~~~~~~~~~~
【
・収穫量を最大にします。
・大地を強化する雷を扱えます。(NEW)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おおっ、能力が増えてる!
新能力では雷を操れるっぽいな。
これは新しい攻撃手段になるかもしれねぇ。
「(【
──バチチチッ。
体の内側から〖マナ〗が抜け出る感覚の後、雷光が目の前を駆けて行った。
雷はゴブリンの死体にぶつかり、そいつの皮膚を焦がす。
「(スゲェーッ! 本当に使えたっ、魔法みてぇだ!)」
オレは興奮のあまり飛び跳ねた。
『大地を強化する雷』って文言が不安材料だったけど、普通に攻撃能力としても使えそうだ。
威力はゴブリンを焼ける程度。弾速はオレの〖スピード〗じゃ影も追えないほど。
強力な手札が加わった。
「(よっしゃ、雷撃! 雷撃! 雷げ、き……?)」
舞い上がったテンションのまま、【ユニークスキル】を連発してゴブリンを焼いて行く。
が、四発目を放ったところで謎の倦怠感に襲われる。
こ、この感覚は……っ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
マナ :2/14
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やっぱ〖マナ〗切れか!
〖マナ〗が減り過ぎると怠くなるってのは聞いちゃいたが、これまで〖マナ〗消費とは無縁だったからすっかり失念してたぜ。
クソ、これじゃしばらく【ユニークスキル】は使えねぇな。無駄遣いするんじゃなかった……いや、ここは発想を逆転させるんだ!
雷撃一発につき〖マナ〗を3消費するって分かったんだから、有意義な行いだったと考えていいはず!
完璧な理論武装が完成した。
『大地を強化する』の詳細を確かめられてないが、察するにこれは肥料代わりの効果なんだと思う。
雷が落ちると土の栄養が増える的な話を聞いたことがある。
つーことでこれについては保留。
確認するには地面に雷撃を落とし、それから他の植物との成長度合いの差異を観察しなきゃなんねぇし、いつか時間ができた時にやったんでいいだろう。
一応、さっきの雷撃乱射の際に一発だけ地面に当たったが、その周辺の植物が急成長し出す、何てことも起きてないしな。
戦闘での有効活用は不可能と見て良い。
「(焼いてもあんま味は変わんねぇな)」
雷撃で焼いたゴブリンを溶かしつつ、思考を進めていく。
次の問題は、武器だ。
このゴブリン達が持っていた武器はとても粗悪な物だが、あるのと無いのとじゃ戦闘力が全く違ってくるだろう。
とはいえ、あんまり重い物を持ち歩くのは疲れるし、移動速度も落ちるから避けたい。
少し悩み、斧とナイフを貰っていくことにした。
斧は鞭の先端に取り付けた時に最も威力が高そうだったが故の採用。
そしてナイフはなくてもいいかなと思った──錆びが酷いしちょっと欠けてる──のだが、軽いし捨てて行くのも勿体なく感じたのだ。
「(ふう、満腹だ)」
焼けたゴブリンを半分溶かしたところで食事を終える。
まだ二匹半残っているが、〖食い溜め〗出来る限界に達した感じだった。
あんまり長くいると他の魔獣が嗅ぎつけてくるかもしれないし、速やかに離れるとしよう。
「(よいしょっと)」
オレは鞭を伸ばし、斧とナイフを体の上に乗せた。
そんじゃあ行きますかね。
~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~
・・・
>>不破勝鋼矢(ジュエルスライム)が〖スキル:運搬〗を獲得しました。
・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガサガサと茂みの中へ入り、ふと荷物が軽くなったなと感じたその時。
背後から声が聞こえて来た。
「ဟွာ၊ ဂေါ်ဘလင်တွေ သေဆုံးသွားပြီ!」
声。そう、声だ。
獣の鳴き声とは違う、確かな意味を持った長く複雑な音の連なり。
聞いたこともない言語であったがしかし、その声は人間のものに違いなかった。
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