小型玩具店「リトルピニャータ」
<登場人物>
・店主
地下商店街4、5階にある小型玩具店リトルピニャータの店主。
無邪気でとても子供っぽい。
年齢不詳、性別不問。
・客
地下商店街へ単独で捜査をしに来た警察官。
男性口調で書いているが、口調変更、一人称変更可。性別不問。
・清掃員
地下街の清掃員。基本的に敬語で話すが愚痴が多い。年齢不詳、性別不問。
※上演時間目安15分前後。
※内容が変わるような改変不可。
話の内容をよくご確認の上、
上演や録音の判断をお願いします。
----お話はここから----
客:署の上層部から「歌舞伎町地下商店街、立ち入り禁止」と言われているが…
気になって仕方がなかった。
S区K町四丁目十三番地地下商店街は警察官だけでなく、区役所の人間も入れない。
私は何故ここが立ち入り禁止とされているのか非常に気になって、過去の事件や立ち入り等のあらゆるデータを閲覧したが
ここに関しては所在も何も警察庁のデータベースには一切記載されていなかった。
署に配属されてから単独捜査が可能な地位へくるまで時間はかかった…が、ついに来た。
やっとこの地下商店街を調べることが出来る。
……だが、おかしなことがあった。
上司は何故、私にここの捜査をあっさり許可したんだ?
-地下5階、小型玩具店リトルピニャータ
清掃員:「もう少しどうにかなりませんか?」
店主:「何が?」
清掃員:「何が?って、これですよ!これ!!
何のために玩具の試し部屋を作ったと思ってるんですか?」
店主:「ボクのお店の売上を上げるため!」
清掃員:「それも一理ありますが…私が言いたいことは違います!!
この地下商店街のオーナー様も試し部屋以外の店内での商品使用はやめてくださいと何度も言ってるじゃないですか!!」
店主:「仕方ないじゃん
このドローン型粉砕機はこのアプリから信号送るとすぐ作動しちゃうんだから」
清掃員:「はぁ(ため息)…
天井、壁紙、棚、床…全て新調した方が良いレベルの汚れですよ、まったく…」
店主:「だめだよ!資源は大切にしないと!すぐに新調するなんて、不祥事やらかした国会議員がやってることと同じじゃん!」
清掃員:「汚れたらすぐに新しいものに取り替える…
あなたにしては、分かりやすい例えですね」
店主:「それほめてないよね?
清掃員さんが言いたいのはあれだよね、
えーと、SDGs??」
清掃員:「持続可能な開発目標なんて掲げておきながら、その為の予算は国会議員の収入を増やすために減額されましたが」
店主:「そうそう!」
清掃員:「国民から徴収した血税で政治家たちが海外で観光ツアーをしてた…なんて時代もありましたし」
店主:「昔はしょっちゅうあったみたいだねーそういうの
大日本帝国になる前のこの国は国会議員がヤバいことしたらすーぐ辞職だよ?
辞めても元国会議員だからっていう職歴は一丁前にあるから
たーっくさん退職金や議員年金もらってるんだよ〜
ボクたち善良な国民よりもお金もらってるの、本当に笑っちゃうよね!あはははは(笑)」
清掃員:「あなたが善良な国民…(笑)
冗談はこの店の小型玩具の売れ行きだけにして欲しいものです
なんでこんな稚拙なものが売れるのでしょうね…」
店主:「店主であるこのボクが小型玩具を厳選してるから売れてるの!!
このドローン型粉砕機なんて、アプリで操縦出来る優れものだよ♪
それに、ドローンの清掃なんてほら!スマホワンタップ!
凍結洗浄で落とせちゃうんだよ!ねえ、すごいよね!!」
清掃員:「あ!また店内の床が汚れたじゃないですか!!追加料金割増にしますね」
店主:「ケチなこと言わないでよ〜
でもまあ?追加料金払うだけで店内がキレイになるならボクは良いかなあ」
清掃員:「…このことはオーナー様に報告します」
店主:「本当にケチだなあ」
清掃員:「ただでさえここの清掃は大変なのです!
……まあ、給料は良いですし?あなた以外の店主様は清掃員への負荷を極力減らすように対応してくださっています
(ため息)あなたにもそのような気遣いをして頂きたいものです…」
店主:「ボクはこの地下商店街のエコ&リサイクル推進委員会の会長なんだけど!
その手に持ってるワイパー使って肉片とか骨とか回収すれば火力発電用の資源に出来るでしょ?」
清掃員:「粉砕されている分、発電効率は良いですが……
集めるのがものすごく大変で面倒です!!!」
店主:「ごめんって〜!あはははは(笑)」
客:(M)…噎せ返る血の匂いはここからするな
にしてもなんなんだ、あいつらは…
あの血と死体を見て何とも思わないのか?
「小型玩具店リトルピニャータ」…玩具店らしい名前の割にとんでもないものを売ってそうだ
店主って呼ばれてる方はガキみたいであまり頭は良く無いだろう。
問題は清掃員の格好をしてる方だ
店主と会話しつつ常に周囲への警戒をしていやがる…
それとあの大きな清掃道具入れ…
物騒な物が入っていてもなんら不思議なことは無い…か、
店主:「あ、電話きちゃった!
5階の清掃お願いね、ボクは4階の売場に戻るから」
清掃員:「…チッ
追加料金割増請求しますからね!!」
客:店主は地下4階へ行ったか…
にしても…あの清掃員はヤバい、5階は後回しにして先にあの店主のことを調べるか
清掃員:「………」
-地下4階
客:店構えは普通に玩具店、プラモデルやらその辺が売られてる感じか
それなら、普通に客として入店すればいい
店主:「いらっしゃいませ!小型玩具店リトルピニャータへようこそ!」
客:「ど、どうも…」
店主:「お客さん、来店予約した?」
客:「予約はしていません」
店主:「へぇー、誰かからの紹介かな?」
客:「いえ、地下商店街があるって話を聞いたので気になって来てみました
小型玩具店ということは、プラモデルやカプセルトイなどを売ってるんですか?」
客:「あ、もしかしてお客さん
カプセルトイの収集家さん?」
客:「ええ、最近カプセルトイに興味を持ちまして…」
店主:「そうなんだあ!」
客:「あのー、カプセルトイは売場のどの辺にありますか?」
店主:「お客さん、運が良いね!
昨日入りたて、再販のカプセルトイがあるよ!」
客:「再販のカプセルトイ…!」
よし、このままカプセルトイの収集家として振舞おう…
店主:「入り口の左側にあるでしょ?」
客:「ああ、消毒液の近くにありますね
…1回千円か、、」
店主:「お客さん、大日本帝国のカプセルトイは
クオリティがどんどん上がってるんだよ!
このカプセルトイには、千円以上の価値がある♪
「動物絶対絶命!」って商品名がボクのツボに入っちゃってさー、前入荷したときにすーぐ売れちゃってね」
客:一見何処にでもあるカプセルトイの台だな…
商品名しか書いてなくてどんな物が出てくるかは分からないが
店主:「何が出るかな〜?」
客:カプセルトイ…
出てくる物の大きさは大体予想がつく
まずは一回、回してみるか
店主:「カプセルトイって回してる時のワクワク感がクセになるよね♪」
客:「そうなんです
私はそれがたまらなくてカプセルトイが好きになりました」
千円札を入れて…普通に回せてるな
商品が出てくる音もした。
取り出し口もよく街中で見るものと変わりないな…商品を取り出して…
客:「…っぐ…!!」
店主:「何が出たの?」
客:「…これは、、何だ…?」
店主:「やっぱり切り口がキレイだね〜」
客:「……人差し指が…無い……!!
な、なんだ?この回転音………」
-回転音とともに客の中指、薬指、小指が切断され、床に落ちる
客:「うぐっ……!」
待てよ待てよ待ってくれ!!
指を切られてるのに痛みが無い…!
どういうことだ!!!
店主:「あははははは(笑)!!
以外と叫んだりしないんだね〜、お客さん♪」
客:「……っ…!!」
利き手がやられた!
もう、親指しか残って無い…!!
店主:「そろそろかな〜♪」
客:「何が…そろそろなんだ…?」
店主:「まあ、焦らないでよ」
客:「……これは……なんなんだ??
……指が切られてこんなに血が出ているのに、…痛みが無い」
店主:「でしょ?!すごいよね!!
こんなに小型で切れ味抜群のハンドスピナー型オートナイフが千円だよ!!
日本人の物を小さく出来る技術の賜物だね♪
ボク、大日本帝国に生まれて本当に良かったあ
麻酔を惜しみなく使って刃の加工をしてるから痛みはほとんど無いとか
本当に作りが神対応すぎるカプセルトイだよね!「動物絶対絶命!」血ドバドバ出過ぎ〜!あはははははは(笑)」
客:「…ああ、本当にふざけた名前していやがる……」
視界がぼやけてきたな……血を流し過ぎたか…
さっきより大きい、回転音が…する……
店主:「あ!!糸ノコギリの登場だあ!これ、レア物だよレア物!!これね、チェーンソーと同じ原理の刃物になるんだよ♪
ハンドスピナーに見せかけてこんな仕掛けもあるなんて、さすが再入荷商品♪」
客:!!なんの冗談だ?!
店主:「そーれ!すっぱーん!!」
-客の首が音を立てて床に落ちる
客:………
店主:「あ、目開けたまま首落ちちゃった」
-清掃員がやって来る
清掃員:「また店内を汚したんですか?!!」
店主:「えー?お客さんが来たから仕事してただけだよ〜」
清掃員:「…まったく、、、
血の処理もですが、何より大変なのは清掃後の消臭消毒なんですよ
……まあ、下の階よりもここの清掃はすぐ終わりそうですが」
店主:「ここの清掃もお願いしま〜す♪」
清掃員:「チッ……先にこちらから終わらせます
ほら、準備中の看板を店頭へ出してください!」
店主:「…はーい、めんどくさいなあ〜」
清掃員:「何言ってるんですか!!
それくらいはやってください!
あなたのお店じゃないですか!!」
店主:「ちぇ〜、わかったよ」
清掃員:「あなたも清掃の邪魔ですので、看板出し終えたらどっか行っててください」
店主:「ちょっと、命令しないで!
ボクはこのお店の一番偉い人!店主だよ!」
清掃員:「この地下商店街で一番偉いのはオーナー様です!!」
-清掃開始
清掃員:「ったく…、あの店主…
一回千円のカプセルトイにいくらの清掃費払うんでしょうか
まあ、これくらいならすぐ終わりますけど」
-清掃完了
客:……ん?
意識が、、ある……
振動があるな…車輪の音もする、
…さっきのは悪い夢だったのか?
少し眠気はあるが…痛みは特に無いな…
清掃員:「…ふぅ、今日はあの店主にこき使われ過ぎでしたね、、あぁ!!忌々しい…!!!」
客:ここはどこだ…?
清掃員:「今日の電気の売価は…っと、
……地上は梅雨入りして太陽光発電が出来ない日が続いているため
連日高値を更新してますね
世界食糧危機以降、あらゆる物の価格が高騰しましたから
エネルギーの売買でもしないとこの国では生きていけません」
客:清掃員か?…あの店に行く前に聞いた声だ…
清掃員:「(ため息)、このS区K町四丁目の警察は馬鹿が多くて多くて…
この地下商店街では警察手帳なんて、ただの紙切れなのに…
あ、警察手帳も可燃ゴミだからエネルギー資源ですね」
客:…可燃ゴミ?
エネルギー資源…??
清掃員:「「エコ&リサイクル」
見た目はどうであれ、燃えるものならこの発電焼却炉で電気が作れます」
客:な、なんだ…?!!熱い…!、
清掃員:「あれ?」
客:見られてる!!
清掃員:「瞳孔が少し動いてますね
…あれですか、先程のカプセルトイ」
客:どんな状況なんだよこれ…!!
清掃員:「麻酔がガンギマリしちゃったみたいですね、…かわいそうに(笑)」
-清掃員の笑い声がだんだん大きくなり、突然笑いが止まる
客:あ…!熱い!!……炎が近い!!
清掃員:「職場で受けたストレスはこういう時に発散しておかないと」
客:目…が…!…火花が目に入る!!
清掃員:「炎ってリラクゼーション効果があるんですよ
あと、この燃える時のパチパチという音も入眠に最適でして…」
客:…目が焼ける!!!
清掃員:「この発電用焼却炉は勤務中の私にとって唯一の癒しスポットなんです
あなたのように麻酔ガンギマリの肉塊の表情が変化する様は
これ以上無いくらいにたまらなくて…(笑)」
客:ここにいる人間は…
清掃員:「どうやってあなたを処理するか、地下5階の清掃をしているときからずっと考えていました
いつもの様に頭へ紙袋等を被せて頸動脈を裂くか…オーナー様から頂いたこの注射器を打ってみるか…この二択までしぼれたのは私にしては及第点ですね」
客:全員狂ってる!!
清掃員:「本日の焼却炉もパチパチと、良い音です」
客:し、視界が!!
清掃員:「最終的にはあの店主が下処理した感じになってますけど、先ほどのカプセルトイにこんなに素敵な機能があるなんて…!!
あの店主は嫌いですが、カプセルトイはなかなか良い商品ですね
首だけになった今のあなた、地上では何も出来ない無駄そのものですが…
ここでは火力発電用の資源になれますよ」
客:あ……あぁ………も、もう…何も見え…ない………
清掃員:「目が焼けて白くなっちゃいましたね、焼き魚みたいです
反応は無くなってますね…あーあ、つまらない
それでは5階に散らばっていたミンチと共に火力発電の資源となり
電気として、世のため人のために役立ってくださいね
…無能な警察官さん(笑)」
客:……う、うわああああああ!!
-地下商店街4階、「小型玩具店リトルピニャータ」
店主:「ちぇ〜、本当に清掃費割増されてる
あ、でも電気の売価が高かったから収支が実質プラスになってるじゃん!
それに首と指4本以外は精肉店が買い取ってくれたし…
なんだかんだで儲けちゃうんだよね〜
ボク天才過ぎるでしょ♪
あはははははは(笑)」
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