貴方に協力して差し上げましょう

 もともと旅人であるログは、カルメ達の住む村に何の縁もゆかりもない。

 しかし村長を初めとする村人たちは皆よそ者に優しく、急に村に住みたいと言い出したログを仲間として受け入れた。

 だが、ログが村人となるには避けては通れない問題があった。

 それはログが何処に住んで生活していけばよいのか、という問題だった。

 あいにく空き家はないし、家を造るにしても時間がかかる。

 仕方なく、村長の家に一時的に住まわせてもらうか、野宿をするかの二択に迫られていたのだが、ログを助けた老人、ミルクが条件付きで彼を診療所に住まわせることを提案した。

 条件というのは、ログがミルクの弟子となって医学を学び、村の医者としての立場を引き継ぐことだ。

 幸い、ログには治療魔法の強い適性がある。

 自分の怪我ならば、たとえ瀕死の状態であっても治すことができるし、他人の怪我でも大怪我くらいなら治せた。

 あの日、魔物に追い詰められた時に怪我を治せなかったのは、その前に何度も瀕死の重傷となった自分の体を治したせいで、魔力が枯渇していたからだ。

 ログに魔法の才が無ければ、カルメに会う前に帰らぬ人となっていただろう。

 ここまで治療魔法を扱える者はなかなかいない。

 カルメも、ログも、ミルクも、それぞれ多少の違いはあれ、確かに魔法の天才だ。

 通常なら片田舎の小さな村に集まることなどないような、豪華な顔ぶれである。

 これまで、村で怪我による死者がほとんど出なかったのは間違いなくミルクのおかげなのだが、彼はこの状況を前々から危ぶんでいた。

 というのも、ミルクにふさわしい後継者が現れなかったからだ。

 ミルクは高齢であり、いつ老衰してしまうか分からない。

 後継者がいないままにミルクが亡くなってしまったら、村はまともな医療を受けられなくなってしまう。

 そんなミルクにとって、ログは非常に貴重な人材だった。

 それに、この提案はログにとっても悪いものではなかった。

 一気に家と職が手に入るからだ。

 治療魔法は元々使えるから、急に農業などをやれと言われるよりも受け入れやすい仕事であるし、ミルクは村の中でも数少ない知り合いだったからあまり抵抗感がない。

 そのため、ログは二つ返事でその提案を受けた。

 そして現在、ログは診療所の一室を自室として使い、そこに住んでいる。

 ログとサニーが会話をするのに選んだ場所は診療所の談話室で、普段は村人たちが暇つぶしにお茶をしに来ている場所だった。

 談話室には四人掛けの席がいくつかあって、壁際の棚には絵本や小説、医学書が並べられている。

 部屋の隅には、使い古させた人形などが入ったおもちゃ箱もあった。

 二人は四人掛けの席のうち一つを使い、向かい合って座っている。

 今はもうすっかり日が落ちてしまっているから、二人以外には誰もいない。

「ログさんが言っていた好きな人って、カルメさんだったんですか」

 サニーはすっかり疲れ切った、ため息交じりの声で言った。

 というのも、ログは村長に村に住みたい理由を聞かれた時、馬鹿正直に「好きな女性と恋人になるために村に住みたい」と答えていたのだ。

 元々この小さな村は定住者を常に歓迎していたから、ログの思想が危険極まりないものでもない限り、彼は村人になれただろう。

 それに加えてログが村で結婚する可能性すら出てきたので、少々気は早いが村長は大喜びで彼を村に迎え入れたのだ。

 村ではログの好きな女性とはいったい誰なのか、というのがホットな話題になっていた。

 ログはサニーの質問に少し照れて答えた。

「そうですよ。俺が好きなのはカルメさんです。でも、残念です。カルメさんはこの村に住んでいるわけではないんですね」

 礼を言いに行った時点でカルメが村に住んでいないことには薄々気が付いていたが、それでもそのことに確信を持つと、ログは落ち込んだ。

「あ、カルメさんは一応この村の住人ですよ。人里からちょっと離れたところに住んでいるだけです。それにしても、信じられませんね。『あの』カルメさんですよ」

 サニーが「あの」を強調して言うと、ログはムッとした。

「あの、ってなんですか。カルメさんのどこが悪いんですか」

「逆に聞きますが、どこがいいんですか。確かにあの人、顔はかなり可愛いけど、睨んで舌打ちして、態度も最悪だからプラマイからの大幅マイナスでしょう。無駄に強いみたいだし、なんかもう、怖いじゃないですか。何考えているかも全然分からないし」

 苦手で仕方がないカルメの悪口を語るサニーはイキイキとしていて、ログは嫌そうに彼女を睨みつけた。

「そこがいいんでしょう。あの綺麗な瞳はずっと見ていられるし、容姿はもちろん、悪態吐くのだってかわいいじゃないですか。あの棘だらけの心の中に俺を入れてもらえたら。そして、俺にだけ見せてくれる優しい顔があったら、なんて思ってしまいますね!」

 言語化できる好きもあれば言語化できない好きもあって、ログ自身も何故そんなにカルメに惹きつけられるのか、その全てを知ることはできない。

 けれど、今話したことは紛れもない本心だった。

 ログが興奮気味に話すと、サニーはドン引きして彼の瞳をまじまじと見つめた。

「全っ然わかんないです。あの人にそんなデレた心があるわけないでしょう。全身氷のナイフみたいな人ですよ。なんかもう、人間じゃないんですよ。村人たちもあの人だけは怖がってしまって、必要が無ければ近づきませんよ」

 この村では、カルメに恋心を抱く猛者はいなかったようだ。

 それもあって、ますますサニーはカルメに好意を抱く人間の存在を理解できなかった。

 サニーの言う通り、彼女を含めた村人たちにとって、カルメは基本的に恐怖の対象でしかない。

 しかし、そんな彼らの心が理解できないログは、相変わらず首を傾げている。

「そうなんですか? 俺にカルメさんが怖いって感覚は分かりませんし、まるで化け物とでも言うかのようなサニーさんの発言には腹が立ちますが。まあ、ライバルがいないなら、そこはいいことかもしれないですね」

 多少の怒気を込めて言ったが、サニーはログの態度を気にも留めずに首を振った。

「いるわけないでしょう。そんなの……」

 互いに憤ったり疲れたりしながらも、なんだかんだと二人はおしゃべりを楽しんでいた。

 そろそろ喉が渇いたな、なんとなく両者がそう思った時、談話室のドアがコンコンと二度程ノックをされた。

 ログがドアを開くと、廊下からティーカップを二つ持ったミルクが顔を覗かせた。

 カップからは白い湯気がゆらゆらと揺れている。

「楽しそうだね。今、大丈夫かい? 喉が渇いただろう。お茶を持って来たから飲みなさい」

「あ、師匠、ありがとうございます」

 ログはミルクを師匠と呼び、素直に尊敬していた。

 ミルクも素直に自分を慕うログを孫のようにかわいがって、時に優しく、時に厳しく医学を教えていた。

 ログはすぐにミルクの側へ行ってコップを二つ受け取ると、丁寧に礼を言った。

「熱いから気を付けてね。僕はもう帰るけれど、君たちもあまり遅くならないうちに帰るんだよ。それと、ログ君は戸締りをよろしくね」

 ミルクはログと違って診療所には住んでおらず、別の場所に家をもっていた。

 そのため、日が暮れるとミルクは自宅へ帰って行く。

「はい、また明日」

「じゃあね」

「さようなら」

 三人がそれぞれに別れの挨拶を済ませると、今度こそミルクは部屋を出て行った。

 ミルクがいなくなると、ログは席に戻ってサニーにカップを一つ手渡した。

 サニーはお茶を受け取って、乾いた舌を湿らせようとカップを口元へ近づけ、中身を口に含む。

 すると、茶を口に含んだ瞬間に眉間にしわを寄せ、ゴクリと飲み込むと今度は舌を出した。

 ミルクのお茶は茶というよりも薬のようで、かなり苦くて渋い。

 それでも体に良いことは明白なのでログは毎日茶を飲んでおり、最近では、その独特な味にもだいぶ慣れていた。

 しかし、飲み慣れていない人間がミルクのお茶を飲むと、大体はサニーのような反応になる。

 ログは苦笑いしながらお茶を口に含んだ。

 平然と茶を飲むログを化け物でも見るかのような目で見てから、サニーは言葉を出した。

「まあ色々と文句を付けましたが、ログさんがカルメさんに恋愛感情を抱いていることは理解しました。何故なのかは、やっぱり理解できませんが」

「本当に分かりませんか?」

「分かりませんよ」

 サニーは額を抑えてフーっと息を吐くと、一度、じっとログの瞳を見つめた。

 そして、もう一度息を吐く。

「ログさんが本気でカルメさんを好きな事も、おそらく私に何を言われてもカルメさんを諦めないだろうことも、本当に、よく分かりましたよ……ん? 不思議そうな顔をしていますね」

 急にログの恋心を理解したサニーに、ログは怪訝な表情を浮かべていた。

「はい。なんでこんなに急に物分かりがよくなったんだろう、と。魔法ですか?」

 魔法は通常、カルメのように水を操ったり、氷を生成したり、他にも火を操ったりというような自然に働きかけるものや、ログの使う治療魔法が基本だが、それ以外にも人の心をよんだり、老化現象を食い止めたりといった様々な魔法が存在している。

 ログはサニーが魔法を使って、自分の心の内を知ったのではないかと疑ったのだ。

 しかし、それに対してサニーは首を横に振った。

「いえ、私のコレは魔法じゃありません。目を見て話すと、なんとなくその人の本質が見えるんです。魔法ではないのでより正確な事は分かりませんし、読み取ったことが必ず当たっているわけでもありませんが。ただ、その人が強く思っていることに関してはちゃんと読み取れるんです」

 そう言って、サニーはもう一度ジィッとログの瞳を見つめたが、ログはそれを気にするでもない様子で眺めてお茶を飲んだ。

「へえ、面白い力ですね。ところで、カルメさんの心は」

「読み取れませんよ。カルメさんは心を閉じ切ってますし。大体、あの人の瞳を真正面から見られる自信が無いです」

 ログの発言を、サニーは呆れを含んだ言葉で断ち切った。

 カルメの瞳は濁っている。

 おまけに他者への嫌悪で揺らめき、イライラと睨む。

 サニーはそんなカルメの瞳を覗く自信が少しもなかった。

「そうですよね。カルメさんが俺のことをどう思っているのか知りたかったんですが」

 少し残念そうに笑うログを、サニーは呆れたように眺めた。

「そんなの心をみるまでもなくわかりますよ。ウザがってます。嫌がってます。そして、貴方を大変嫌っています」

 淡々とサニーが言うと、ログはウッと呻いて胸を抑えた。

「わかってはいますが、傷つきますね」

 苦々しく言葉を出す表情は辛そうで、本当に傷ついているようだ。

 瞳が切なく揺れていた。

「わかってたんですか。あと、貴方に傷つくとかあったんですね」

 サニーが意外そうにそう言うと、ログは苦笑いを浮かべた。

「まあ……会いに行くと毎回嫌な顔されて追い出されますし。というか、好きな人に嫌われて傷つかない人なんています?」

 そう問いかけるログの顔は寂しげだ。

「いえ、そういう特殊な方かと。大体、嫌がられているのが分かっているなら会わなきゃいいじゃないですか。そんなに嫌われたいんですか? それともいっそ、嫌がらせをしたいんですか?」

 シレッと酷いことを言うと、サニーは額を抑えつつ、ログを半目で睨んだ。

 それに対し、ログはムッとしながらも真剣な表情で言葉を出した。

「どっちでもありません。カルメさんと付き合いたいんです。こう、温かな関係に」

「カルメさんから一番遠い関係じゃないですか」

 真面目に言葉を紡ぐログを、サニーは冷たく断ち切った。

「なんてことを!」

 サニーは、信じられない、という顔をするログを一瞥して、再び額を抑えた。

「村で久々の人様の恋愛イベント、本来ならワクワクしながら見守るんですが、相手がカルメさんってところが最悪ですね」

「俺の好きな人に最悪とか言わないでくださいよ」

 ログが目つきを悪くして睨みつけると、サニーは力なく首を振った。

「カルメさんというか、ログさんの好きな人がカルメさんなのが最悪なんです。ログさん、相当嫌われてますし。多分カルメさん、人から好かれるの、嫌いなんですよ。だからログさんのことも嫌いなんだと思います」

「そうなんですか? というか、嫌われてるって二回も言わないでくださいよ。傷つきますから……」

 ログは自分がカルメに鬱陶しがられているのには気が付いていたが、それは単純に自分が嫌われているとか、ウザいとか、人間が嫌いとか、そういう理由によるものだと思っていた。

 ましてや人に好かれることを嫌がる人間がいるとは思わなかったため、つい首を傾げてしまう。

 それに対し、サニーはこくりと頷いた。

「目は見られないから、結局のところはよく分からないですけど……あの人お礼とか言われると舌打ちするんですよ。照れ隠しとかじゃなくて心底嫌そうに。そういうとこ、ホントわけわかんなくて怖いんですけど」

「ふむ」

 半信半疑ではあるものの、ログはとりあえず頷いておいた。

「ともかく困るんですよ、カルメさんにとってこの村に嫌なことが起こるのが。最悪、出てかれちゃいますし」

「その時は、俺はカルメさんについて行きますけどね」

 ニコリと微笑むログにイライラとして、サニーはつい大きな声を出した。

「あんたの心配はしてねえ! 私は村の心配をしているんです。村にとってどれだけあの人が大切か」

 サニーが机をガンと叩くと、だいぶ減ったカップの中身がタプンと揺れた。

「カルメさんは水に対しありとあらゆる働きかけができます。雨を降らせるなど天気を操ったり、洪水を食い止めたり、自然の恵みだけで生きているこの村にとって、カルメさんの存在がどれだけ貴重か、ログさんよく分かってないでしょ」

「まあ、俺、都会育ちですし」

 ログは、都会の中でも結構規模の大きな都会に住んでいた。

 故郷は物で溢れていたし、ログ自身の家も裕福だった。

 そう時間をかけずに近隣の町に行くこともできたし、おまけに故郷の気候は安定していたので、この村のように自然にすべての運命が左右されてしまうという感覚は今一つ理解できなかった。

 ログの反応を、サニーは呆れたような目で見た。

「やっぱりね、そんな気はしてました。とにかく、水をすごく操れて魔物も狩りとれるカルメさんの存在は村にとって、とても重要なのです。だからこそ私たちは媚び諂って、貴重な食料やお金だって、惜しみなく支払ってでも彼女にこの村にいてもらうんです。そして、そんなカルメさんは他の同じような村にとっても必要な存在です。より取り見取りなんですよ。カルメさんにとって、この村は、無理をしてまで居るような場所じゃない」

 サニーは怒りを起爆剤に早口でまくし立てる。

 カルメの重要性に初めに気が付いたのは村長で、村長は娘であるサニーにこのことをよく言って聞かせていた。

「はじめはお父さんに、カルメさんと親友になるように言われていたんです。カルメさんが村に居つく理由を少しでも増やしたいって」

 ちなみに、カルメが男性だったり、反対にサニーが男性だったりしたらカルメの恋人になるよう命じられていた。

 ログの手前、そんなことは言わないが。

「どうだったんですか? って、聞くまでもないですよね」

「はい、惨敗です。正直、カルメさんと仲良くなるためにカルメさんにくっついて歩いていたあの日々は、地獄でしたよ。すぐ舌打ちするし、睨むし、怖いし、脅すし、怖いし」

 サニーは「あの日々」を思い出して、ブルリと体を震わせた。

「あの日々の中で、気が付いたんです。カルメさんは人から好かれたくないんだな、と。カルメさんのことを考えるなら、やっぱりカルメさんに関わらない方がいいと思いますよ」

「嫌です。カルメさんと付き合いたいので」

 キッパリと言うログに、サニーは呆れてため息を吐いた。

「カルメさんのこと、考えているようで考えていないんですね、あなた」

「考えてなくはないですが、やっぱりどうしても恋人になりたいんですよ。あの人が欲しいんです。でも、俺だって嫌われたくはないし、カルメさんを困らせたいわけじゃない。ただ、好きだからこそ好かれたい。どうしたらいいんでしょうね」

 ログは遠い目をして、明後日の方向を見つめた。

「知りませんよ。私に聞かないでください」

 嫌そうな顔をしてそっぽを向いた後、不意に、サニーは「あっ」と声を出した。

「ログさん、結局何を言われてもカルメさんのことは好きだし、アタックし続けるんですよね?」

「最初からそう言っていますが」

 ログが呆れ交じりで返すと、

「やっぱり、お二人の恋を応援しますよ」

 と言って、サニーはパッと両手を広げた。

 しかし、ログは不審そうな目でサニーを見ながら、体をのけ反らせた。

 完全に警戒しているようだ。

「何を企んでいるんですか」

 ログはサニーを半目で睨んでいる。

「まあ、企んではいますが。何もそんな顔をしなくてもいいじゃないですか。応援するのも本当ですよ」

 そう言うサニーの笑顔はどこか黒っぽく、完全に腹に一物抱えているようだ。

「本当ですか?」

 ログが顔を引きつらせながら問うと、サニーは頷いた。

「本当ですよ。ログさんがカルメさんにアタックし続けるならそれを利用して、昔お父さんが考えた計画に再挑戦しようと思っただけです」

 先程までとは打って変わって、サニーはニコニコと笑みを浮かべている。

「計画?」

「はい。村人の中からカルメさんの恋人をつくりだすという計画です。村人は全員嫌がったし、成功しないことは私の親友計画の失敗からわかっていたので、もうずっと動いていない計画だったんですが」

 明るく説明するサニーに対し、ログは露骨に嫌そうな顔をした。

「不満ですか?」

「まあ。そんな堂々と、人の恋心を利用されたくないですね」

 意外そうな表情になるサニーに、ログは溜息を吐いて前髪を掻き上げた。

 応援は嬉しいが利用されたくはない、というログの複雑な感情がその表情に滲み出ている。

 それを見て、サニーは苦笑いを浮かべた。

「仕方ないじゃないですか。それだけカルメさんは重要なんです。それに、この計画にのるなら応援してあげますよ。アタックするなとも言いません」

「具体的に何をしてくれるんですか」

 ログは胡乱な目でサニーを見つめた。

「毎回カルメ当番にしてあげます。カルメさんの情報も集められる限り集めますし、村のデートスポットとかも教えます」

 誇らしげに胸を張るサニーに、ログは苦笑いを浮かべた。

「デートスポットなんてあるんですか? この村」

「今バカにしましたね!? 確かに都会には劣るでしょうが、自然派なデートスポットがちょくちょくあるんですよ。とにかく、あなたが賛成しようとしまいと、ログさんがカルメさんに対し行動を起こし続ける限り、この計画は動くので! よろしくお願いしますね」

 胡散臭そうな目を向けるログに対し、サニーはポコポコと怒りながらも手を差し出す。

「うわぁ、嫌だな……」

 サニーが元気よく差し出した手を、その言葉通りの嫌そうな顔をしたログが握り返した。

 こうして、ここにカルメを巡る一種の協力関係が構築された。

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