第16話 実の妹と恋バナかよ…

「ただいまー」

「おにい、おかえり。最近本当に帰り遅いね」


帰ると、妹の友恵が出迎えてくれた。


「ちょっと最近学校でテスト勉強してるからな」

「そうなの、そんなこと言って彼女とかできたんじゃないの?」


彼女ではないが、こいつ意外と鋭いな。


「んなもんじゃねーよ」

「だよね、おにいがモテるわけないもんね」

「おいそれってどう言うことだよ」

「なんもなーい」


相変わらずなやつだ。

それにしても、あいつもこの時代では中3だからな。

もう、恋愛の一つや二つしてるのだろうか…。

未来では、あいつに結婚先越されたからな…。

結婚式でのスピーチでは、祝福したい気持ちと焦ってる気持ちでいっぱいだったけか…。

それで、三十路みそじ手前でも独身情けないな。


「おにい、何階段で突っ立って考え事してるの?」

「いや、なんもない。それにしても友恵、結婚相手は慎重に選ぶんだぞ」

「は、何言ってんの?結婚相手?」

「なんもない、部屋戻るわ」

「変な、おにい」


はあ。やっと今日も生還して、部屋に戻ってきたか。

やっぱりこの部屋が一番落ち着くな。


「分かりました。でも自分でも勉強してくださいよ」


ふと三河さんの言葉を思い出した。

自分でも勉強してくださいか…。

10も下のガキにこんなこと言われるなんて情けないな。

よし、テスト勉強するか!


〜2時間後〜


「あー疲れた」


まあ、出来ないとは言え三河さんと神様に教わったからだいぶ解けるようになったな。

て言うか、家庭科もテストあるとか言ってたな。

タンパク質とかビタミンとか栄養素とかやるんかな。

正直、やる意味あるんか…。

三河さんは、家庭科の成績もいいのだろうか…。今度聞いてみるか。


1人で考え事をしていると、妹が部屋に入ってきた。


「おにい、入るよ」

「おう」

「おにい、勉強してたの!?」


めちゃくちゃ驚くじゃねーかよこの妹。

そんなに、この時代の俺は勉強してなかったのか…。

情けない。


「そりゃ、勉強ぐらいするさ」

「こりゃ、明日雨だね。折り畳み傘用意しなきゃ」

「失礼なやつだな。でなんだよ用事あったんだろ」

「ただ、お風呂だよーって呼びにきただけ」


こいつが、結婚するのか。

て言うか、中学時代こいつ彼氏とかいたんかな。

当時は、全く無関心だったからどうなんだろうか。


「そうか風呂か。そう言えば友恵」

「何?」

「お前、彼氏とかいんの?」

「え、急に何言い出すの!」

「いや、ただ気になっただけ。どうなんだよ」

「いないけど…。何が言いたいの!?」

「いや、なんもない。んじゃ風呂いってくるわ」

「ちょっと待って」


お風呂に行こうと、部屋を出た瞬間妹に止められた。


「なんだよ」

「おにいが、彼女いるか聞かなきゃフェアじゃないでしょ」


めんどくせーなこいつ。

まあ、年頃だから聞きたのか…。


「いないよ。以上」

「つまんない、好きな人とかいないの?」


つまんないってなんだよ。

て言うか、実の妹と恋バナ始まってんじゃん。

中身は27のおっさんだぞ。つまんないのはこっちだわ。


「いない。以上」

「嘘、絶対いる」

「なんで、お前がそんなこと分かるんだよ」

「最近、帰りが遅いから」


こいつ鋭い。でも好きな人でもないから適当にはぐらかすか…。


「帰りが遅いのは勉強してるから。以上」

「嘘だ。ともえ、決定的な証拠持ってるからね」

「なんだよ」

「前、神保さんが家に来ておにい待ってる時聞いたんだ」

「何聞いたんだ」

「友恵ちゃんの兄ちゃん最近帰り遅いのは女の子と遊んでるからなんだよって」

「はああ!」


あいつ何言ってんだ!あの貧乏神!次あったらしばかなきゃな。

て言うか、あいつが頼んできた任務じゃねーかよ!ふざけんな!

て言うか、何妹に話してんだよ!あいつはバカか!

て言うか、なんで妹とそんなに仲良くなってんだよ!


俺は、心の中でツッコミまくった。


「何、おにい動揺してるよ。本当なんだね」

「友恵、あいつの言うことは信じるな!あいつの言うことは全部冗談だ」

「本当かなあー?」


こいつ、あの貧乏神に洗脳されてしまったか。

いや、でもこれはチャンスか…。

もっと三河さんと仲良くなるには、年頃の女の子のアドバイスも役立つかもしれない!


「んー気になる人はいるかな…」

「ほーら」

「で、お前に相談なんだがその子とどうやて仲良くなればいいと思う?ほら女性の意見も必要だろ」

「うーん、とりあえずともえは結構話したいから話聞いてくれる人とかがいいかな。あと、相手のことをもっと知ることも必要なんじゃない?」


こいつ、ガキのくせにやりおるな。


「相手のことをもっと知るか…」

「そう、やっぱり相手のこと良く知らなきゃ。深い話は出来ないし深い関係にはなれないよ」


確かに俺、三河さんのことあんまり知らないな…。


「ほーん。なかなか良いアドバイスだな。やるじゃないか我が妹よ」

「たまには役立つでしょ」

「うん、参考なった。褒美に一緒に寝てやってもいいぞ」

「キッモ。引いた。これじゃ彼女は一生できないねこの変態」

「いや冗談、冗談。冗談に決まってるだろ!ユーモアだよユーモア」

「あ、そう。じゃあともえ寝るから。おやすみ」


あいつゴミを見るような見る目しやがって。

冗談も通じないのかあいつは…。

て言うか、なんで神様と妹が親密になってんだ!

問いたださないとな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る