噤むうた

噤む時 何が頭を泳ぐのか

紡ぐ時 それは真の音なのか


日が照り鳥が鳴き暗幕は取り去られ

これが朝だとせかいは叫ぶ

そのときひとびとはどこにいるだろう

それぞれの朝にいるのだろうか

それぞれの闇にいるのだろうか


いくらせかいが輝けど

照らせぬものがここにあり

掬えぬものがそこにあり

溺れる者の瞳に宿る

光沢のない尊い真


紡ぎたい心根を

飲み込んで沈黙を

深く足元あもとをただ眺め

噤むうた 噤むうた 噤むうた


暗い扉のむこう 重いカーテンのむこう

伸び刺す光の庭がある

強く強く蓋を絞め決して隙間のないように

暗闇は鎧 愚かな鎧

光は刃 無知なる刃


誰が泣いても笑っても

ひとつのみらいは開かれず

座標はずっと変わらない

問われたときにふと紡ぐ

それは真を噤む音


ちいさなペテンの

おおきな連鎖

遠くむこうをただ眺め

噤むうた 噤むうた 噤むうた

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