第2話碩学の研究2 ~碩学の本質は温故知新~
古文漢文は「国学」といって本居宣長が完成させた日本の古代言語。日本語のルーツでもあります。言語の歴史、本質を理解していない皮相的な連中は安易に国学を廃止せよなどと主張しますが。言語を捨てるということは日本人のアイデンティティーを捨てる事と同義なのです。
生前のジャック・デリダが20年以上前に「きっと後悔しますよ」と予言していた。欧州諸国などを見ても英語を国語化してうまく行ったケースの方が少ない。英語のルーツはラテン語です。そして英語圏の大学では現代でもラテン語は必修科目。
いずれは世界中の人々が同じ言語を話し同じ通貨を使い同じ地球連邦として共生していく。その理念自体が間違っているとは言いませんが。つまりリベラル化が急すぎるのです。このままでは時代に取り残される人たちが出てくる。多文化共生のための下準備。
つまり、日本語を含めたあらゆる言語を現代に復活させ、人類の足跡と叡知を集大成する。そういった研究者、特別な知恵を持った学術者たちが必ず必要となる。よしんば大学受験から国学を外すのは可能でも、国学自体の研究者たちを排斥してしまっては日本語も日本文化も日本人が積み上げてきた叡知も死んでしまうのです。
大切なのはゆっくりゆっくり、しかも周到な準備をして全体を変えていくことです。最終的に一般大衆は忘れても日本文化の研究者たちは国学を連綿と受け継いで行ける体制を作り上げておかなければいけない。これはお金には換えられない価値のある仕事。公共事業として赤字を出してでもやるべきこと。
分かるかね?ザイム真理教徒の諸君。キミたちが大和魂云々言ってる割に日本文化を破壊している張本人だと指摘している訳だ。厳粛に受けとめたまえ。
つまり、わたしの考えでは、英語を含めた多言語話者。国学を含めた日本語、日本文化の研究の専門家。あるいは他の国、他の分化でも同様ですが、基本的には専門領域のの深い所は専門家がこれでもかと深く掘り下げていって。全体を把握するのは少数の碩学。そして一般人は生きていく為の何らかの専門性を身につけて生きていければ十分かと。別に全員が全員、英語を使える必要も古文漢文を身につける必要もない。現代は少し義務教育のカバーする領域が広すぎるのかもしれない。
当然、数学や物理、化学、生物、歴史や地理の専門家も必要。大学、大学院レベルとなればさらに専門領域は複雑化していく。医学、心理学、法学、経済学、哲学、政治学等。到底ひとりの人間がすべてを「知る」というのは不可能な時代。
本当に少数の、伊東乾、茂木健一郎、左巻健男クラスの碩学が全体を広く浅く把握できていればそれで上等なのだと思います。そこから先。温故知新。古きを訪ねるタイプと新しきを知るタイプにも分かれる。どちらも重要。
ただ、過去に何度も触れていますが「碩学」は温故も知新も得意なタイプが多い。本当に、過去から誰も気付かなかった真理を見つけ出し、新しい創造をしてしまう。当然それは専門家たちの多大な努力の土台があったればこそなのですが。まあだから嫌われるんですけどね(笑)
ひとりの人間がすべてを知り尽くすなんて無理だ。人生に限界はある。でもそれでいいんだと思います。間違えた部分は後世の研究者たちが是正すればよいこと。アリストテレスもプラトンも間違えた。伊東乾だって間違いはある。正解だった研究は伸ばし間違えた研究は正していく。その繰り返しで進歩する。
また、ここからは「碩学」の研究の話になりますが。「碩学」の本質は「温故知新」であるといえる。目先のトレンドや偏狭な専門性に囚われず、悠久の歴史の文脈から浅く広い見識で誰も読み取れていなかった真理を見抜き、そこから碩学的にいくつもの分野を横断、応用していくことにより乗数倍の効用を得ることができる。
創造とは決して無から有を生み出すことではなく、他者が、専門家が気づかなかった真理を碩学的な視点で見抜き、それをさらに複数分野に応用していく。一粒で3度4度おいしいといいますか。美味しい所を根こそぎ奪っていく貪欲性も碩学の特長であると。
これは、伊東乾、左巻健男、茂木健一郎。あるいは東浩紀、宮台真司のやり方を見ていても通底していると確信している。また、人間は年齢を重ねるごとに碩学的になっていくという共通性を持つ。どんなレベルの仕事でも年寄りの知恵を侮れない理由のひとつでもある。
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