アンナレッタと大剣の女騎士/銀の森に来た刺客
月杜円香
第1話 姫だって剣を習いたい!!
「出来ませぬ。主に刃を向けるなど!!」
そう言ってハルアは、アンナレッタに土下座をした。
「そうか、そうか。ハルアは、主命に背くのだな。残念だ」
アンナレッタは、小さな体で威圧をかけてハルアに言った。
従っても従わなくても叛意を疑われてしまう威圧感だ。
ハルアは180テール(cm)もある身体を縮こまらせて、額を地面に擦り付けるようにしている。
「もう1度言う。真剣で剣術指南をしろ。ハルア、これは命令だ」
ハルアは、大きな溜息をついた。
「仰せのままに」
ここは、世界の聖地、銀の森の最奥。
神の子孫たる一族が、神殿などを運営してその直系の本家は、神殿に多大な権限を持っていた。
アンナレッタは、本家のひとり娘だ。
銀色の瞳と銀髪の多い、親族に対して赤茶色のくせ毛と青い瞳は、母方の外見を継いでしまった。
神の一族らしく魔法の力は、神殿からも一目置かれている。
10歳の時に契約した、風の精霊リカルドとは上手くやっていた。
<あ~あ!!とうとう、力でねじ伏せたな……>
アンナレッタの頭上で、リカルドもハルアに負けないくらい大きなため息をついて言った。
「何か言ったか!?リカルド?」
<いや、何も……お前が主命なんて言い出すの珍しいと思ってさ>
「仕方が無いだろう!!お前が教えてくれないのが悪いんだ!!」
<精霊に剣術を習う馬鹿は、いないだろう!!剣も握れないのに!!>
150テールしかないアンナレッタのことは、ハルアから見たら子供が上を向いて癇癪を起こしているようにしか見えなかった。
「姫、誰とお話で!?」
「ん!?見えないか?精霊だ。お前を見つけたのもこいつだぞ」
アンナレッタは、もういつものアンナレッタに戻っていた。
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