愛あらぬ部屋
@huega
愛あらぬ部屋
僕はこの前とある変な部屋の中へ招かれた。裏の奥まった道路を通ってたら出会った、僕の背丈より半分あるどうかというドアから目が離せなかったんだ。「招かれた」と語るのはそのためだ。
部屋の中でまず感ずるのは変な感覚、普段僕の中で当然の如く働く臓腑のどれかがまともとは異なるよう働こうとする感覚。ほんのわずかなこと、だけど根本から全てが覆るようなことが異なる、空間、世間へ投げ込まれたような感覚。
僕では現行どこが変なのかがわかるような感はあらぬ。…やっぱなんか変な感覚があるな。…ダメだ、どこが変かまるで見当もつかん。
この部屋の中で喉が渇くとふと浮かんだことがあるのだが、なんだか様々なことへの心動かされることがなくなったと思える。もともと僕は飲むものは概ね炭酸が良かった男なのだがなぜだかまるでどうでもよく思える。それでわかったんだがどうやら僕はこの部屋の中では様々なものへの好感度が抑えられるようだ。もともと好んでるものへの感情が抑えられることは炭酸のことでわかったが、どうやら恨むような思いも抑えられることが分かった。だが、それでもどこが変なのかは、まったくもってつかめなかった。部屋を出よう、と思うことすら僕の住むアパートへ戻る、帰ることを欲する感情を持てず、そこそこの分数が経った。どれだけ経っただろうか、僕の身体が空腹を訴えだすので、ようやくドアを開け外へ出た。その瞬間早く帰りたい、家が恋しいという気持ちがあふれてきた。時間を確認すると予想外に部屋に入ってから二時間もたっていた、あまりのことに驚いているうちにだんだんとわかってきた。あの部屋で物事への関心が薄れたのは愛がないからなのではと思い至った。家とかへの愛着がないから帰ろうと思えなかったのだと思う。きっと嫌いなものもそう思わなかったのは愛がなければ憎むこともないんじゃなかろうか。しかし、なんだかいつもより喋りにくかったのはなぜだろうか。愛がないこととなにか関係があったのだろうか?
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