第19話 業 【Pain to the Power】
ダルマン・ブラフマンは悪魔に憑かれ親族を己が手で皆殺しにした。その後デーヴァによって取り憑いた悪魔を払われ贖罪のため仏塔入り。以後デーヴァにとってのアナンダとなる。最初の五大悟天であり【梵天のブラフマン】と名乗ることをデーヴァに許された。
レジーナ・チャンドラは親族を悪魔に取り憑かれたダルマンに皆殺しにされ更には慰み者になった。ダルマンが処女フェチだったので幸いにも処女膜は無事だった。のちに逃走を果たす。しかし縋る当てがなく黒い
ブーミヒ・プリティヴィーは生まれついての悪魔憑であり醜悪な形相とボールに手足頭を生やしたような異様な体型をしている。生まれた時からそうであるため、出身教会であるエデン東協会にブーミヒの味方はいなかった。同い年の子供からは呼ばれ苛められ両親からは虐待を受け悪魔のせいでまさしく生き地獄を味わってきた。そんな地獄から救ってくれたのがデーヴァだった。ブーミヒが悪魔憑だとバレて袋叩きにされ殺されようとしていた時にふらっと現れ、あっけに取られる神父たちをかき分けブーミヒを担ぎ仏塔へと持ち帰ったのだった。もしデーヴァが現れなければブーミヒは今も黒い大地に打ち捨てられた死体の一つとして風の吹くままに転がっていたであろう。己の内に眠る仏性に目覚めた正義の悪魔憑としてデーヴァに認められ、【地天のプリティヴィー】の名を拝命し3人目の五大悟天となる。
バガディーン・マハーカーラはヒーナヤーナ小乗仏塔の生まれで優秀な僧戦士であった。「悪魔に苦しめられし全ての衆生の救済」というヒーナヤーナの理念を実現するため若いころから闘いに闘いを重ねてきた。しかし、救えなかった命は一つまた一つと増えるに従い精神は疲弊し、30を過ぎる頃(これはかなりの長寿)にはただ日々の糧にありつく為だけにただ機械的に使命をこなすだけのどこにでもいる腐れ僧戦士の一人となっていた。そんな折、【王冠教団】撲滅の任に失敗し【魔教祖】パイモンに殺されかけるも、デーヴァに救われる。【魔教祖】を倒す程の法力とその暖かな人徳に触れたバガディーンはブッダガヤかつての高潔な理想を取り戻しブッダガヤ仏塔に帰依した。帰依して直ぐ4人目の五大悟天【大黒天のバガディーン】の名を拝命し4人目の五大悟天となる。
ナラク・ヤマは【閻魔教団】出身の僧戦士であった。閻魔教団は過激な教祖トゥルダクの方針により頻繁に魔教祖率いる邪教団へ攻撃を仕掛けた。トゥルダクはデーヴァ程ではないが並外れた法力を持つ僧戦士で過去実に三匹もの魔教祖を倒した英雄であった。ナラクはそんなトゥルダクの右腕とも呼べる存在であり邪教団率いる軍勢にいつも先陣を切って飛び込み敵を薙ぎ倒した。ナラクはトゥルダクの部下であることを誰よりも誇りに持っていた。ある日ナラクが【淫獣教団】討伐の遠征から帰ってくると閻魔教団があるべき場所に廃墟があった。瓦礫の上に四肢の千切れたトゥルダクが巨大な鳥の羽で地面に串刺しにされていた。ナラクが急ぎ駆け寄るとまだ息があるようで瞳がギョロリと動いた。震える唇に耳を近づけると――――災鳥、ジ、ズが、来、た――――それだけ言って琴切れた。その後ナラクは最強最徳と言われる僧戦士デーヴァのいるブッダガヤ仏塔を訪れる。ナラクはデーヴァに徹底的な苦業を授けて貰い自分を鍛えなおした。そして仏塔で日々を過ごす内にその法力をデーヴァに認められ、またナラクもデーヴァを天人師として敬い、やがて【焔摩天のヤマ】の名を拝命し5人目の五大悟天となる。
五大悟天は皆デーヴァに救われた者。それゆえデーヴァへの忠義は地獄より深く涅槃より高く、ディーヴァに対する裏切りを許容することなど出来よう筈がない。バガディーンはデーヴァを疑いながらもデーヴァを疑う自分自身をこそ何よりも憎んでいた――――
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