ナナちゃんとランプの精
ある明け方の頃、ナナちゃんの枕元に、白いターバンを頭に巻いた怪しの人影。
「ナナちゃん、ナナちゃん、お願いがございます」
寝ボケまなこのナナちゃんシパシパと眠い目をこすりながら、
「ちょっとぉー!
アンタ誰よおーっっ!
いくらナナが宇宙一キュートで、愛らしくて、素敵でセクシーでも、レディーの部屋に勝手に入るなんて、非常識よぉーーっ!
アルソックの警備員に突き出すわよぉ、幸運の女神にお仕置きして貰うわよおっ!!!」
「いやいや、私、怪しい者ではありませぬ、、、。」
「怪しい人は、みんなそう言うのよねぇ」
いや、ごもっとも。
枕元の男は、頭のターバン搔き掻き続けます。
「いやいや、最後まで話をお聞き下さい。
私は人ではありません。
ナナさんのお家の納戸に仕舞われている古いランプの精なのです」
「ふうん、たしかにアラジンとナンチャラの絵本で見た様な風体ねえ。
んで、ランプの精が何の御用?」
「はい、私も永年窮屈な職場で暮らしておりましたので、そろそろ自由の身となり自分探しの旅に出ようかと、、、。」
ランプの精、なんかくたびれた中年のオジさんみたいです。
「んで、ナナになんのお願い?」
「はい、ランプを納戸から出して頂き、蓋を開いて私を解き放して頂きたいのです」
あれあれ、ナナちゃん、お顔がまたまた悪代官と悪だくみ中の越後屋みたいになってるよ。
「ふふん、事情は分かったわ。
して、心付けは何とする?」
ああ、ああ、ナナちゃんとうとう自分から要求しちゃったよ。
「はい、ナナ様。
勿論、もちろんでございます。
お礼に、何でもお好きな願い事を三つ叶えさせて頂きます。
ただし、人を殺めるとか、犯罪に手を貸す様な事は出来ません」
「分かったわ。
ありがとう!」
ナナちゃん、白い歯を見せてにっこり笑うと
「一つ目のお願いは、三つのお願いを叶えてくれること」
「え?」
「二つ目のお願いは、一つ目の三つ叶えてくれるのを三つ叶えてくれること」
「えっ、え?」
「三つ目の
お願いは、二つ目の三つ叶えてくれるのを三つ叶えてくれることを三つ叶えてくれること」
「えっ、えっ、えーーーっ!」
ああ、3の3乗地獄、無限のお願いが続きそうです。
ランプの精は、いつの間にやら納戸の奥に消え去りましたとさ。
めでたくなし、めでたくなし。
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