70回は二作同時受賞と朔太郎と

 10日に70回乱歩賞の結果が出ました。今回は二作受賞。


 ちょっと萩原朔太郎と乱歩について知りたくて乱歩の『探偵小説四十年』などを読み返していました。

 萩原朔太郎は乱歩の「二銭銅貨」や「心理試験」を今までどおりのよくある推理ものとしてあまり評価しなかった一方で「赤い部屋」や「人間椅子」を認めていたようです。

 乱歩は稲垣足穂が間に入って萩原朔太郎と知り合ったと一度はしながらも、朔太郎からコンタクトがあったと記憶違いを告白しています。

 当時はさほどお酒を飲まなかったのでもし飲めていたら、とお酒を嗜む萩原朔太郎との関係にどこか悔いがあった様子の乱歩。

 萩原朔太郎関連の文献にあたってみると、乱歩と親しくし始めた頃の萩原朔太郎は奥さんとうまくいっていなかった模様。

 自宅の一部をダンスホールのようにして若い男性とすごしていた配偶者が嫌だったのか、萩原朔太郎は外で飲んでいたらしいのです。

 なんだか急に萩原朔太郎が人間臭く思え、「猫町」など作品に触れてみました。

 ネガティブという字面だとデオドラントされすぎている気がしますが、けっしてほめられたわけではないような感情もモノを創る人間は作品の糧にできるのではなかろうか、と感じている深夜です。

 幸福より不幸のほうが寄り添えちゃう気がして仕方がないのですが「それは危ないですからね」と小さな声が聞こえる気がするので眠ることにします。

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