第65話 赤薔薇と白百合 2
「なぁ正樹ー」
「うん?なんか問題でもあったか?」
「いや、純粋に聞きたいことがあってさ。生徒会ってなんでこんなに男子少ないんだ?」
作業がひと段落着いたところで正樹に気になったことを聞いてみる。すると正樹は「やっぱり気になるかぁ」という顔をしながら俺の質問に答えてくれた。
「拓人は
「……あぁ、赤バラ姫って呼ばれてる人か」
「そうそう」
この学校には白雪姫のほかにもお姫様が何人かいる。そのうちの一人が2年の赤バラ姫こと
この赤坂先輩、赤バラ姫と呼ばれてはいるものの実際のところはお姫様というよりも王子様的存在である。
女子の平均身長よりも高い身長にすらりとした体型、ばっさりと切られたスポーティなショートヘア。女の子としての可愛さを残しながらもかっこよさが溢れ出ているきりりとした顔。
これだけでもそこら辺の男子よりも女子にもてる要素を持っているというのになんと声までもイケメン。これは完全にお姫様ではなく王子ですね、将来は某劇団で主役を務めてそうだもん。
「それで?その赤坂先輩がなんでいきなり出たんだ?」
「実はその赤坂先輩は生徒会に入っておりまして」
「……あ」
「もう分かったか?もう一つ言っておくと赤坂先輩はファンクラブが出来るほどに女子からの人気が高い」
「つまり赤坂先輩とお近づきになりたいから大量の女子が入ってきたってことね」
憧れの先輩とどうにか仲良くなりたいという不純な理由だったか。
「いや仲良くなりに来てるというか、こき使われに来てるというか……」
「いやまじもんのファンじゃん」
もっと不純な理由だったよ。いや、この場合は不純ではないのか?逆に純粋だったりするのか?ちょっと俺もうわかんなくなってきちゃった。
「まぁそういうわけで生徒会の枠のほとんどが女子で埋まっちゃったってわけだな。よし、じゃあ生徒会室戻るか」
「あいよ」
「失礼します、備品の点検とか諸々終わりましたー」
「失礼しまーす」
正樹の後ろに続いて肩身を狭めながら生徒会室に入る。すごいアウェイ、めちゃくちゃ居心地悪い。俺みたいな陰キャは他クラスに入るのも難しいのに、生徒会室に入るとか普通にハードル高すぎなんだが?
「正樹か、お疲れ様。特に問題はなかったかい?」
「はい。大丈夫でした」
頬を吊り上げて正樹を出迎える赤髪の少女、いや王子様。なるほど、これはファンクラブ出来ますわ。
うわさに聞いていた赤バラ姫を目の当たりにして、男の俺も思わずかっこいいと思ってしまった。え、普通に宝〇じゃん。
「ん?正樹、彼は?」
「俺の友達です。ちょっとお手伝いを頼んでました」
「そうか。君、名前は?」
「佐藤です」
「佐藤君、手伝ってくれてありがとう。とても助かったよ」
ぐわあ!!目がぁ!!
赤坂先輩のイケメンスマイルがあまりにも眩しすぎて目が潰れそうになる。何だこのイケメン……ただの笑顔なのに破壊力がありすぎる!
「彼には今後もちょくちょく手伝ってもらう予定です」
「え、何それ。聞いてないんだけど」
「まぁ言ってないからな」
「えぇ……いやまぁ暇な時なら全然手伝うけど」
今日限りかと思ったらまさかのお手伝いさん延長。これもう外部の人間をお手伝いとして雇うより生徒会の人数を増やした方が良いんじゃないかなって俺思うの。
「あ、すまない。自己紹介がまだだったね。私は赤坂彩華、よろしくね」
「よろしくお願いします、赤坂先輩」
「それとありがとうね、男手が足りないからすごく助かるよ。それとあんまり無理しないでね?部活とか自分のこと第一でいいからね?」
「あ、自分部活は言ってないんで大丈夫っすよ。一応図書委員会に入ってますけどそれ以外は基本家帰るだけなんで」
帰宅部だし、クラスの中心にいるような人物でもないただの陰キャなので基本的に暇なんですよ。こんな奴が正樹みたいなやつと友達なの意外だって?分かるわぁ。
「あれ、ってことは佐藤君は
「葵?」
「そう、
「ああ、そうですね。まぁ白百合先輩と直接喋ったことは無いんですけど」
この学校のもう一人のお姫様、白百合葵先輩。彼女を一言で表すとマスコットである。ゆるふわな銀色の髪に、小さな身長と、その小柄な体にベストマッチしているあどけなさが残る童顔。そして鈴のように綺麗な声。かっこいい赤坂先輩とは真逆の可愛いという言葉がとても似合う。それが白百合先輩だ。
白百合先輩と赤坂先輩は同じクラスで基本ずっと一緒にいる。そのせいか白百合先輩は赤坂先輩の影響で白バラ姫と呼ばれていたりする。
「葵は結構人見知りだからね。文化祭図書委員会も何かしらイベントをするはずだからその時良かったら助けてあげて」
「りょ、了解っす」
この人、自然に肩叩いてきたぞ!?危うく声出そうになったわ!!
予備動作もなく自然と繰り出されたイケメンムーブに俺は俺は動揺する。え、何この生まれながらにしてのイケメンは。そらファンクラブ出来ますわ(2回目)。
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