小さい頃、私はフリルの着いた可愛い洋服が大好きだった。色はピンクに水色、パステルカラーのまるでお姫さまみたいな可愛いお洋服が、とても好きだった。

 でも、大きくなって中学生くらいになった頃。身長も伸び、肩幅が人より広いことに気がついた。手足も長いし、顔には沢山の青春のにきび。沢山のかわいい服は似合わない、そう自分で思ってしまった。そして着るようになったのは、シンプルな少し大人びた服。その時は飽きないからそれでいい、そう思っていた。

 高校生になると、かっこいい系、ストリート系が気になり着るようになった。そうすれば身長も肩幅もカバーできるし、客観的に見ても似合ってると感じた。友達にもそう言われるようになったし、満足していたはずだった。

 大学生になって、彼氏が出来た。「可愛い」、そう言われる度に私は思った。そんな可愛い人間じゃないんだけどな、と。それでも可愛いって思われたくて、服をよく見るようになった。いつも通りのかっこいい、ストリート系を見ても、心が動かなくて。動くようになったのは、ほんとに小さい頃好きだった、フリル、レース、リボンが着いた服になった。「可愛い」「着たい」そう思っても、「似合わないだろうな」「肩幅大丈夫かな」そんなネガティブな感情が出てくる。迷いに迷って、1着買ってみた。紺色のチュールのロングスカート。着て、お出かけしてみたら、気分は上々。くるりと回ればヒラヒラまうチュール。ふと見たウィンドウに映った自分はニコニコのただの好きな服を着て喜ぶ女の子だった。「似合わない」そう思って下を向いていたあの子はいなかったのだ。

 それかは私は決めた。好きな服を着ると。もし、「あんたには似合わないよ」そう言われても「私が好きだからいいの」そう言い着れるようになりたい。

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