19のぼんやり

野坏三夜

将来なにしてるのかな

 バイト中。倉庫でのバイト。社員さんに頼まれたマスキングテープ張りの仕事をしながら考えた。

「将来、大学を卒業したら私何をしてるんだろう。そもそも仕事して、自立できているのかな」と。

 一応何かしらの資格は取っておこう、そう思い必修以外に講義は取っていたりする。しかし、周りの友達に視線を向ければ、大学以外に資格のための夜間学校に通っていたり、私が目指している以外の資格を自力で取ろうと独学している。その様を見ると、将来について何も考えず、ただ大学の講義を聞き、課題をしているだけの私は果たして自分ひとり生きていけるだけの給料をもらって生活することができているのだろうか不安になった。

 誰かに相談したいが、上記のような友達にはできないし、はたまた親にでもした日には重く捉えられすぎて私が話を聞くのに飽きてしまいそうだった。第一、今はバイト中だし、相談する時間も相手もいない。

 手を動かしながら、ぼーっと考える。考えれば、なりたい職業は決まっていてそれになるために学校に通っている高校の同級生はたくさんいる。しかし、私はそれに当てはまらない。やりたいこと、小説を書きたいというのはある。しかし、小説家なんて夢のまた夢。社会人になって、どのくらいの期間になるかはわからないが、しばらくは二足のわらじ生活になるだろう。その本業となるのが何になるのかが、今の私には見当がつかないのだ。会社に入って働けばいい、大体の人はそう考えると思う。しかし、長年の経験によって、私は団体行動というのが苦手であることがわかっている。表面上はにこやかに、明るく、人付き合いできる人物のように振る舞うことはできる。しかし、それだと本当の自分をさらけ出せずストレスが溜まり、最終的には自滅してしまうことが安易に予想できてしまう。果たしてどうするべきなのだろう。どんな仕事を選べば、私は社会を生きる上で最低限なストレスで過ごすことができるのだろうと、またぐるぐると思考が進んでゆく。

 考えるのに疲れた私は少しだけ背伸びをする。座ったまんまでは腰が疲れるのだ。一息ついて、水分補給して、止まっていた手を動かし始める。

 まあでも、幸運なことに、そう深刻に急ぎでどうにかしないといけないというわけではない。まだ時間はあるはずだ。この不安を心に抱えながら、軽く周りの人に聞きながら過ごすしかないんだろうなあ。いつか来る、社会人になったときにこの胸の重みが解消されているといいな。将来の自分に丸投げして、この日は考えるのをやめた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る