第9話 王太子の葛藤

 天子を見つけて殺す指示を出したが、【闇】と【刻】から報告が上がってこない。長を呼び現状説明を求めても『【闇】は国外の活動を行ってない。』『【刻】も帝国では厳しい監視で思うように活動出来ない。』等と言い訳ばかりだ。

 

 そこで俺は動く、帝国へ侵攻して我が国とすれば、全ての女を調べれば済むからだ。軍を動かし攻め込もうとするが、国王の側近どもに『国内で魔物の動きが活発化して、平定するまでは侵攻は不可能。』等と言われたのだ。


 地方の魔物を処理すれば侵攻が出来るなら、地方の兵力を増強して鎮圧に動くが、魔物共は突然現れて破壊し尽くすと、そのまま消えてしまって追跡出来ないのだ。

 この奇妙な現象が繰り返されて俺の頭に天子が浮かんだ。天子は王国内に潜伏し、何らかの方法で魔物を操っている。あれは悪魔だ魔物を操るなど簡単な事だろう、地方の都市を1つずつ調べ尽くすように指示を出す。これで天子を捕らえるのも時間の問題だ。

 そう思った矢先、国王より中止命令が下されてしまったのだ…これ以上の国民への迫害は、レオーネ王国の存亡に関わると言うのだ。

 確かに、数年前に国内の幼女とその親に対して、精神魔法を使用して深層心理を覗いた。その結果、心が壊れた者が多数出たがそれは過去の事だ。馬鹿な国民共が覚える筈がない。


 国王は、俺の行動力に王の地位が危ういと思ってるのだろう。俺には時間が無い、国王と話す場を持って【命のカウントダウン】の事を伝えて、今回の行動を認めさせるしかないな。


 そう思ってると、良いタイミングで国王から呼び出された。俺と天子の因縁を話して、速やかに天子を捕らえて殺してやる。


➖➖➖レオーネ国王視点➖➖➖

 デイビッドの動向がおかしい…

 家臣達の助言にも耳を傾けないらしい、更に地方で起こってる魔物の強襲を気にして、地方の兵力を増強する始末なのだ…


 国を治めるには強引過ぎる。以前にも天子を探す名目で、国中の幼女に精神魔法で深層心理を覗き、国中から非難された事を忘れたのかと思う程だ。


 デイビッドを呼び出して、国王になる者の責務を全うするように注意するか…

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