第84話 親友よサ・ヨ・ナ・ラ
ミスティーク先生の家には、私とママとセレン様にブラッドの4人が机を囲む。
「他所へ移る事になるのですか?」
「居場所を特定されたのでスピカ市から離れるのは確かね。」
「帝国に残る道はあるのですか?」
セレン様は私達の今後が気になるみたい…
「帝国に残るのは危険過ぎる。王国と帝国に追われると対処しきれない。」
「セレスティアは何か考えがあるのかしら?」
「私は…レオーネ王国へ戻って崩傾させて行きたいかな?」
「レン、貴女の存在を認識してる場所に戻るのは危険過ぎない?」
セレン様は危険だと主張するけど、ブラッドさんも私の意見に賛成みたいで持論を話したの。
「確かに危険ですが、王国はセレスティア様を探す為に、同世代の女児全てに精神魔法で深層心理を覗く暴挙にでて、国民の不満が溜まってる。更に、王太子はセレスティア様の魔眼の力で、命のカウントダウンが始まり死の恐怖に襲われている。」
「地方から小さい拠点を作り、セレスティアの転移魔法で転々と移動して、少しずつ崩傾して行くのね?」
「私達は魔物の軍隊を持ってるからね。」
「そう…帝国から出て行くのね…」
「うん…もっと学園で楽しい時間を過ごしたかったけど…逃げずに王国をぶっ壊してくる♪」
明るく振る舞ったつもりだったけど、目からは涙が溢れていて、それに気付いたセレン様も泣きながら近寄って来たので抱き合った。
そして翌朝、スレイン様とカンテラがやって来たので、私が帝国から離れる事を告げたの。
「そうか…帝国から離れるのか…」
「レン…俺は…」
2人ともやるせない気持ちでいっぱいみたいで、言葉が続かない…楽しかった日常が突然消えてしまうんだからね。
「永遠の別れじゃないんだし、再会した時に凄く成長した姿を見せてね!私も恥ずかしくないように成長するからさ♪」
「それで、王国へはいつ発つの?」
セレン様が率直に聞いてきたの。
「簡単な準備で移動するので、4日後にはここを発つ事になります。」
ブラッドさんが応えた。
「4人でゆっくりと過ごしたいわね。」
「うん、いっぱい話そうよ♪」
それから4人で色んな事を話したの。私は偽装を解除して本来の姿でみんなに接した。楽しい時間は直ぐに過ぎて…遂に出発の日を迎えたの。
「スレイン様にカンテラ、本当に楽しい1年をありがとう♪また会える日を楽しみにしてるね♪」
「僕が皇帝になって、必ずセレスティアの力になるから待っていてくれ!」
「俺は学園を卒業したら、セレスティアの元へ駆け付けるよ。」
「ふふっ…2人共頑張ってね♪」
最後にセレン様に歩み寄って声をかける。
「セイレーン様…あなたに逢えた事が奇跡でした…終生の友よ、サ・ヨ・ナ・ラ!」
「セレスティア、必ず…必ず再会しましょう。再会する日までサ・ヨ・ナ・ラ!」
ふたりとも泣かずに笑顔で別れの挨拶を交わして、私はママ達と王国へ向けて出発したの。
➖➖➖第三章 学園編 完➖➖➖
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