第58話 私は…

 私が学園創設史上初めて、1年生で学園序列1位となって幕を閉じた学園序列決定戦。


 スレイン様の怪我の事もあって、祝勝会などはしないでセレン様と女子寮へと帰って行った。


 気になるスレインの容態は、傷は完全に癒せたけど、失った血液だけは回復する事ができない為に、当面は静養して体力の回復に努める事になったの。


 無能な医療班は学園から追放処分となり、今後は治癒職に就く事は無いだろうとの事だった。


 そして、私達はセレン様の部屋へと戻ると直ぐに、セレン様の方法から話しかけてきたの。


「レン、本当にありがとう。自分の秘密を知られる危険を犯してまで、スレインの事を助けてくれたのよね」


 セレン様の言葉に私は頷いてから口を開いた。

 

「セレン様に、スレイン様を必ず助けると誓ったから。もう判ったと思うけど私はシルヴァニアの者で、私のママは第一聖女だったから、私は聖帝の孫にあたるのかな?」

「レオーネ王国に一族は全て滅ぼされたと聞いていたけど……難を逃れていたのね」

「その辺りは記憶に無いんだよね。ただ、レオーネ王国が私を探してる事は間違いないの。だから国交断絶をしてる帝国へ移って来たんだよ。目立つつもりは無かったけど目立っちゃったね」

「帝国の国内なら、レオーネ王国からの刺客が来る事は無いと思うわ」

「うん、それに姿は偽装をしてるからね。私の本当はこんな感じなの。シルヴァニア家の特徴は全て偽装してるから、普段の私を見ても気付かれる事はないと思うんだ」


 私は自分にかけてる偽装を解除して、セレン様に本当の姿を見せたの。


「プラチナブロンドに紫の瞳に透き通る様な白い肌、レンって教会の教えに出てくる女神様みたいな容姿だったのね。でも、私に全てを見せても良かったの?」


 セレン様の質問に、私は『コクリ』と頷いた。


「セレン様を信じてるからね。自分の心を信じての行動だから、帝国に捕らえられても恨まないよ。セレン様は皇帝の娘で帝位継承権を持ってるんだから、帝国の為に報告するのは仕方ないもん。それでも私はセレン様をから」


 私のの言葉を聞いたセレン様は、涙を浮かべながら口外しないと言ってくれた。


「私はこの秘密を生涯口外しないわ」

「ありがとう」


 これが正しいのかは判らない。この世界に転生して初めて出来た親友なので、信じたいと思ったの。  

 これが私の人生の分岐点になるとは思ってもいなかったの。

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