第37話 ママと私の秘密

 私が討伐依頼のクエストから帰宅して、ママと夕食を取っている時にその話は始まったの。


「セレン、これから大事な話があるのよ」

「ママどうしたの?」


 いつもの柔らかい表情でなく、少し眉間にシワを寄せて深刻な雰囲気だったので不安になったの。


「ママとセレンに関する事の説明なんだけどね。きっと驚くと思うんだけどママの話を最後まで聞いて欲しいの」

「うん、判ったよ」

「ママの本当の名前は【カルメン.Z.シルヴァニア】と言って、今は滅んだけどシルヴァニア聖教国の第一聖女だったのよ。そしてセレンの本当の名前は【セレスティア.Z.シルヴァニア】なのよ。あなたはママが穢れなき受胎で身籠った事で、この世のものに産まれた天子と言われる存在なのよ」

「私の名前はセレスティア……天子」


 私の出生についての真実を聞いた後も、天子である私を欲しがるレオーネ王国から圧力掛けられたけど、当時の聖帝はそれを断った事でレオーネ王国からの侵攻されて、シルヴァニア聖教国が滅ぼされた事や、私とママは【影】に守られながらシルヴァニア聖教国の大聖堂から避難したけど、今でもレオーネ王国からの追っ手から逃避しながらの生活を続けてる事、クリチェート町で私達の生存をレオーネ王国に知られた恐れがある事、私達が国外へ避難する可能性があるから国境警備が厳しくなるかも知れないので、その前にレオーネ王国の国外へ避難する事になると聞いたの。


 私は驚愕の真実を聞いて少し気分が悪くなったの、そしてママに抱きしめられながら泣き続けた。

 私がママの元に産まれたしまった事で、ママを苦しめてしまったのだと判ったから。私さえ産まれなければシルヴァニア聖教国は滅んでいなかったのだと……私は自分の存在を認めたくなかった。


「ママ、ごめんなさい……私が産まれたから……ママに辛い思いをさせて……ママの祖国を滅ぼされて……本当にごめんなさい……」


 その言葉を口にするのが精一杯だったの……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る