第22話 特別授業

 オバさん家で、水瓶への水入れを済ませてから家に戻ると、マリー先生はすっかり落着きを取り戻していたの。私は『ホッ』とした表情をしてママの隣に座ると、マリー先生が笑顔で話し始めたの。


「セレンさん、あれから直ぐに私の体調が戻ったので、お母さんに色々と話を聞かせて貰いましたよ」

「そうなんですね、ママとの話が終わったのなら、もう家庭訪問は終わりなの?」

「そうねお話が終わったからね。でも、セレンの事でママから先生にお願いした事があるのよ♪」


 ママが私の顔見てから『にこっ』と笑顔になりながら頭を撫でてくれたの。


「えっ、なになに?」

「私からセレンさんは非常に優秀だと話をしたの。するとお母さんの方から、セレンさんに特別授業を受ける事が出来ないか相談されたのよ」


 ママが私の為に特別授業を頼んでくれてたの!


「ふふっ、セレンはとっても賢いからね」

「ダレンは他の生徒の授業があるから、特別授業を教える事は無理なんだけど、私なら特別講師としてセレンさんに教えられるかも知れないと言ったの。これはセレンさんが望めばだけどね」


 私が望めばマリー先生が特別授業をしてくれるという事なので、直ぐに返事をしたの。


「受けたいです。マリー先生お願いします♪」

「はい判りました。次の授業からは私が特別授業として教えます。私の授業は少し厳しいものになりますが、一緒に頑張りましょうね♪」

「はい、よろしくお願いします♪」


 こうして私はマリー先生から特別授業を受ける事になったの。ダレン先生も凄い人だと思うけど、マリー先生はもっと凄い人だと思ってるので、特別授業を受ける事が凄く嬉しかった。

 マリー先生の授業がどれだけ厳しくたって構わない!私はママを幸せにする事が出来るのなら、どんなに厳しい事にだって耐えられるんだもん。


➖・➖・アンナマリーの想い・➖・➖

 私はカルメンお嬢様から完全に赦された訳ではないが、セレスティア様に冒険者として基礎を教える役目を頂いた。この役目が終わればお嬢様とセレスティア様は何処かへ移られてしまう。


 何処へ行くのかは教えてはもらえないだろう。それでも、お嬢様の役に立つ事が出来るのだ。愛娘のセレスティア様にしっかりと基礎を教えて、私の事を覚えてもらえればそれだけで十分だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る