夏休み

第4‐1話 夏の思い出作り その1

 連休から時が過ぎるのは早くも夏休み。

地元の七夕祭りは8月なので、まだ行われていないけど規模の小さく、商店街のちょっとした

催し物って感じなので行くかはわからない。


 夏休みに入ってからは夕は私の家に入り浸りだけど、昼間は両親は仕事で居ないので、まだ夕は家族と会った事がない。

 お姉ちゃんはバイトか、付き合ってる彼氏さんとデートやお泊りで家にいない事が多い。

なので、いつも夕と2人きりである。

入り浸りといっても遊んでいるだけではなく、同じ高校に行くため、夕に勉強を教えている。


「成績は上がったけど、これじゃ私と同じ学校に行くのは難しいわね…」


 夕はギリギリで特別進学クラスに入れたから、クラスの中では最下位。

最下位と言っても学年トップ25の中での最下位だから、学年では25位なので上位の方ではあるけど。


「遊ぶの我慢して勉強したけど~11位までしかいかなかったよ~。もっと勉強して、温海ちゃんと同じ学校に行きたいよ~」

「まだ試験には間に合うわよ。今のクラスに入るのがギリギリだった所から、ここまで上げたのはすごいわよ」

「うん、がんばるよ~」


 夏休み前の試験でも私はクラス1位を維持しているが、クラス1位と言う事は学年トップを維持している事でもある。

 夕は成績は上がったが、まだ学年トップ10には一歩届かない。

今の夕は私と同じ学校に行くどころか、試験を受けれるかどうかのライン。

試験を受けるにはトップ10位以内は必須で合格するなら3位以内にならないと厳しい。

ただ、3か月で25位から11位まで成績を上げたのだから、夕なら出来るはず。


「勉強の話はここまでにして…夕、せっかくの夏休みだからどこか遊びにいかない?」

「行きたいけど~遊んでる暇はあるかな~」

「たまには息抜きも大事だわ。それに、中学最後の夏休みだから、夕との思いでもつくりたいし」

「思い出作りなら~ここでもできるよ~」


 夕が顔を私の顔を近づけたと思ったら、夕の唇が軽く私の唇に触れたのだった。


「!!!」


 私は驚いて、言葉がでなかったが、これってキス、キスだよね?

っというか、私のファーストキスだけど、こんなあっさりでいいの?

いや、これは挨拶見たいものだから、ノーカン、うん、ノーカンね。


「キス・・・しちゃったね・・・」


 夕は元からちょっと垂れた目がさらに垂れて恍惚の表情になっている


(なに!なに!なに!これ!夕ってこんなに積極なの!?そして表情エッッッロ!)


 不意を突かれて、エロい表情の夕を見たら色々たまらないが、これは反則!

でも、ここで慌てては駄目、大人なの余裕を見せないと思って


「これぐらいのキスは挨拶と変わらないから、ノーカンよ、ノーカン」


っと言ったが、実際は全く余裕がない。


「だったら、これならファーストキスに入るかな?」


 今度は夕が身を乗りして、私のかを押さえてまた夕の唇が私の縊るに触れたがさっきよりも本格的なキスをしてきた。


「!!!!!!」


 私はあまりに本格的なキスをされてさらの驚いたけど、これは本格的なキスはでいいのかな?

ただ、これをファーストキスと認めてもいい事だけは確かだけど。


「またしちゃった・・・。今度こそ、ファーストキスでいいかな?」

「これは認める・・・」

「良かった~温海ちゃんのファーストキスを奪えた~」


 夕は何時も通りのしゃべり方になるが、そういえばさっきは普通にしゃべってた。

もしかしたら、夕ッてエロい事すると普通にしゃべるって事なのね。

普通にしゃべるって夕はとっても大人っぽいな。

しかし、こちらも一方敵にやられのは嫌なので、今度はこっちからする。


「夕、今度は私からする」

「うん・・・」


 夕がいわゆるキス顔をなるけど、エロいなもう。

夕が同じ年齢と思えないけど、夕とキスできるなんて私は幸せだな。

唇をゆっくり近づけると、物音がしたので私はとっさに夕から離れた。


「温海ちゃん、しないの?」


夕が不思議がるが、ノックオンがして答えはすぐに分かった。


「温海ちゃん~開けていい?」


姉の声が聞こえたが、いつ間にか帰ってて来ていた。


「いいよ、開けて」

「お邪魔しま~す。珍しく来客があったと思ったら、温海ちゃんのお友達ね、いらっさい。初めまして、温海の姉の成子なるこです、よろしくね」

「初めまして、飯塚 夕です。温海ちゃんのクラスメイトです、何度もお邪魔しています」

「温海ちゃんがクラスの子と仲良くなったってよかったわ。でも、本当にただのクラスメイト?」


 私はドキっとするが、夕とはあくまでも友達付き合いで恋人じゃない・・・はず。

いや、さっきキスをしたけど、恋人として告白した訳じゃないから、彼女じゃないよね。

さっきのキスは、スキンシップの一環であって、恋人としてのキスではないわ。

ただ、それがたまたファーストキスであっただけだわ、うん。


「お姉ちゃん、それってどうい意味?仲のいい友達だってば」

「なんか、2人で雰囲気だしてるからね~。どう見ても友達以上よね~」


 そういえば、お互いテーブルの上に身を乗り出して、顔を近づけたままだった。

こんな状態なら疑われても仕方がないが、別に夕とそういう関係である事が姉に知られても問題はない。

ただ、夕を彼女と呼んでもいいのかわからないので、友達と言っている。


「こ、これは、夕がわからない問題があるって言うから教えたの」


すぐわかる言い訳をするけど


「そう言う事にしてあげる。ただ、誰も居ないからって変な事しちゃだめだよ、まだ昼間だし。あ、夜ならしてもいいってい意味じゃないからね」


 この姉はなんてこと言うのかな。っというか、この辺りが夕に似てる気がする。

半分からからかい、半分天然で言ってるけど。


「変な事してないって勉強をしてたの、勉強をね」

「勉強も色々あるからね~」

「受験勉強だって」

「そういうことにしておくね。2人とも頑張ってね。夕ちゃん、ゆっくりしていってね」

「はい」


  お姉ちゃんが部屋から出て行ったが、普段は優しくて面倒見がいい姉だけど

時々、こんな風にからかったりする。

ただ、私が女の子を好きな事を一番最初に受け入れてくれたのはお姉ちゃんだった。

もし、お姉ちゃんが居なかったら他の家族が受け入れてくれたわからないから、とっても感謝をしている。

 

「温海ちゃんのお姉さん、面白いね~」

「そうかな?からかってるだけだって」

「そうだとしても、一人っ子のわたしからしたらちょっとうらやましかな~」

「そうなんだ。私はお姉ちゃんの上にお兄ちゃん2人がいるわ」

「4人兄妹なんだ~」

「ただ、お兄ちゃん2人はもう家を出ているし、年が10歳以上離れててあまり話もしてなかったわ。ただ、部屋にある漫画やラノベはお兄ちゃん達の部屋から持ってきたのだけど」

「だから男子向けの作品が多いんだ~」

「少女漫画もあったけど…私はどちらかというと、ここにあるのが好みだったから」

「確かに、温海ちゃんが好きそうな、おっぱうが大きいキャラが出る作品が多いよね~」


 やっぱり、気づいてましたか。

ただ、それは偶然で、おっぱいが大きいキャラが出るから選んだのではなくて

面白いと思った作品のキャラがおっぱいが大きいキャラだっただけだからね。


「ところで、夕ってお父さん意外に遊んだり、出かけたりする人っていないの?」

「お父さん以外だと、前にちょっと話した幼馴染の子と親戚の月ちゃんかな~」

「そうなんだ」

「わたしって、温海ちゃんと同じで友達がいないからね~」

「私はあの事があるまで、友達は居たわよ」

「でも、温海ちゃんを守ってくれなかったよね~」

「うっ・・・」


確かに、友達と思ってた子はいっぱいいたけど、あの件で私を守ってくれた子は1人もいなかった。

つまり、真の友達は1人も居なくて、私と付き合ったのではなく、私の親目当てだったって事。

薄々気づいてはいたけど、実際にわかった時はかなりショックだった。


「わたしは何あってもずっと温海ちゃんと一緒に居るから、安心ね・・・」

「夕、ありがと・・・」


 2人で見つめ合ってまたいい雰囲気になる。

さっきは夕からキスをしたから、今度は私からかな。

夕みたく上手くできるかわからないけど、やられぱなっしは悔しいし。

お互いの唇と唇が近づい時・・・またドアが開く音がしたけ。


「あらあら、お茶とお菓子を持ってきたけど、お邪魔だったわね」

「お、お姉ちゃん、ノックしてよね!」

「したけど、返事がなかったわよ。勉強に集中してると思ったけど、こっちの勉強だったのね」


 確かに、お姉ちゃんがノックしないで開ける事はないので、こっちが気づかなかったようだ。


「温海ちゃんは奥手だと思ったけど、ちゃんと大人の階段を上っててお姉ちゃんうれしいわ」


そ、その先ってつまり、あんな事やそんな事だよね。

キスは・・・まだいいけど、これから先は私には無理!無理!無理!

自分でも判るぐらい、顔が真っ赤になった。


「あら、やっぱり温海ちゃんにはこの手の話はまだ無理みたいね」

「いいから、お茶とお菓子を置いて出て行って!」

「わかったわ。でも、そう言う事はお姉ちゃんがいない時にやってね」


 お姉ちゃんはニヤつきながら部屋を出て行った。

お姉ちゃんも私と夕がこんな事してると思ってないから、悪くはないけどあと少し遅かったらキスをしてる姿を見られるところだった。


「面白いお姉さんだね~」

「そうだけど、キスしてる所を見られれなくてよかったわ。」

「わたしは別にいいけどな~」

「私は一緒に暮らしてるから、そういう訳にはいかないのわ」

「そうか~。やっぱり、家族に見られるのは恥ずかしいよね」

「そうよ」


 お姉ちゃんに見られて恥ずかしいけど、怒られるよりはいいんだけどね。

でも、夕とキスしようとしてる所を見られのはやっぱり、恥ずかしいな。

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