第8話 敵の反撃

何か知らないがかなり歪だ。

どれぐらい歪かというと.....天候が変わるぐらいに歪。

俺は空模様を見ながら昼休みに入る。

そして龍騎を見てから気晴らしに屋上に行こうとした時。


「なあ」


そんな声がした。

背後を見ると龍騎が笑みを浮かべて立っている。

俺は、.....どうした、と反応すると。

龍騎は、今日こそ一緒に飯食わないか、と言ってくる。

その言葉に、ああ、と曖昧に返事をする。


「.....そうだな。.....一緒に食うか」


「ああ。お前と一緒に話すのは楽しいしな」


「.....」


自分の身もある。

その事を思いながら爽やか笑顔を避けながら居ると。

それは待って下さい、と声がした。

背後を見るとそこに横山が。

俺は、?!、と思いながら横山を見る。


「.....私は貴方と一緒に先輩を居させたく無いです」


「.....横山?」


「.....横山ちゃん?それはどういう意味だい?」


「言葉通りです。.....私は.....先輩をお借りしに来ましたので」


「.....?」


龍騎は全く意味が分からない、という感じで横山に触れようとする。

イケメンスマイルで、だ。

だが横山はそれを避けながら、物凄い形相になる。

眉を顰めるとかそんなんじゃない。

メチャクチャに警戒する感じになる。


「貴方は痛みとか感じた事はありますか」


「.....痛み?それはどういう.....さっきから訳が分からないな」


「先輩の痛みですよ。苦痛とかです。.....それすらも感じた事が無いなら貴方に先輩を誘う資格は無い」


「.....」


龍騎は何かを察した様な顔になる。

そして、へぇ、という感じになっていく。

俺はその姿を目線だけで追う。

どうやら龍騎は遂に何かを察した様だ。


「.....まさかと思うけど」


「お前の考えと俺らの考えが一致しているか知らないが。そういう事だ。龍騎。お前のやっている事を反省するんだな」


「.....やれやれだね」


そんな事を呟きながら肩を竦める龍騎。

それから、まあ良いや。じゃあ他の人を誘おう、と去って行った。

俺達はその姿を見送りながら横山を見る。

横山は震えていた。

怒りか何か分からないが。


「.....横山。大丈夫か」


「.....大丈夫ですよ。.....行きましょう。先輩」


「.....ああ」


そして俺達は成り行き上だったが。

そのまま屋上に向かう。

それから上がった屋上のベンチで何かを渡される。

それはお弁当箱だった。

何か分からなかったが.....どういう事だ?


「.....これは?」


「先輩の分のお弁当です。.....是非ご賞味下さい」


「.....そうなのか」


それからお弁当を開けてみると。

そこには卵焼き、タコさんウィンナー、ポテトサラダ、小さなハンバーグなど色々なおかずが入っており白米があった。

俺は、すまないな。こんなもの作ってもらって、と言ってみる。

横山は、気にしないで下さい、と言ってくる。


「私は好きでやっています」


「.....そうか」


「先輩に食べてほしいので作りました」


「相変わらずなこったな。お前も」


「そうですね。.....私は先輩に感想を聞きたいですから」


ところで何でこんなに俺に集中しているのか。

それは分からないが.....まあ良いや。

取り敢えずそう言うなら食べてみるか。


思いながらそのまま食べてみる。

良い味付けだった。

俺好みである。

特に塩加減が絶妙である。


「.....美味しい。サンキューな」


「美味しいですか?えへへ。有難う御座います♪」


「.....」


俺は嬉しく跳ねる様な感じの横山を見る。

何というか俺も柔和になった。

そして横山を見ていると。

横山は、ねえ。先輩、と言ってくる。

俺は、どうした?、と聞いてみると眉を顰めながら横山はこう話した。


「若宮ですが。.....どうなるんでしょうね」


「.....龍騎には完璧に反省してもらわないといけない.....だからこれで終わりにしない様にしないといけない」


「そうですね.....」


そんな感じで会話をしてから昼休みを過ごして教室に戻る。

すると横山の教室で.....とんでもない事態が起こった。

何が起こったかというと横山に陰口が叩かれる様になっていたのである。

一体何が起こっているのか分からなかったが。

横山がクラスメイトをイジメていた、という事になっていた。



「.....何が起こっているんだ」


ちょうどその昼から3日が経った。

横山はかなりショックを受けた様で休んでいる。

俺は顎に手を添えながら考える。


そして悩むが.....全然答えが見えなかった。

いきなりの事態だ。

正直当て嵌まる奴は居るが。

だけどそいつがやった、という明確な証拠が無い。

だが.....。


「.....龍騎がやったのかこれは」


そんな事を呟きながら俺は悩む。

それから放課後になってしまった。

俺は少しだけ考えてから立ち上がる。

すると龍騎がやって来た。


「やあ」


「.....」


俺はゆっくり立ち上がる。

それから龍騎を見た。

全く悪辣と思ってない感じだ。

証拠も無いままでは聞きようが無い。


「.....龍騎。お前さ。何かしなかったか」


「.....?.....何かってのは?」


「つまりは横山の周りに何かしなかったか」


「.....何もしてないよ?.....どういう意味だ?」


「.....」


まあそんな事よりプリントの用事があったから。

渡しておくな?んじゃ、と去ろうとする。

俺はその姿を見つつ、龍騎、と言う。

それから龍騎を見据える。

龍騎が俺を見てくる。


「.....お前の悪事はいつかは全てバレる。.....だから今から言った方が良いぞ」


「.....悪い事はしてないぞ?バレるもクソも無いだろう」


「.....」


何だろうか。

コイツの事はマジに信頼出来ない。

思いながら俺は、そうか、とだけ返事をした。


そして俺達は別々に帰る。

そんな感じの日々がもう既に3日。

どうなっていくのか、だが。


「和歌」


「.....?」


「.....一緒に帰らない?」


「.....」


全てが地獄の有様だな。

この地獄がいつになったら収まるか。

全く分からないが嫌気がずっとして仕方が無い。


本当にどうなっていくのだろうか、と思うが。

空は曇り。

そして雨が降りそうだ。

その中で俺の心も.....土砂降りだった。

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