第3話 女子達の噂
何か横山がおかしい気がするのだが。
一体何がどうおかしいかと言えば俺に相当なアタックをしてきている気がする。
卑猥な事まで言ってきながら。
流石の俺も誰でもそんな事をしたらダメだぞ、とは言ったが。
それに対して横山は意味深な顔をする。
「.....やれやれ。訳が分からない」
そんな事を言いながら授業を受ける。
そうして授業が終わるとクラスメイトでクラス委員の石塚杏奈(いしずかあんな)が話掛けてくる。
俺は、どうした、と聞くと。
石塚は、うん、と頷く。
「若宮くんともしかして何かあった?」
「.....何かとは?」
「若宮くんと喧嘩したのかなって」
「喧嘩.....ね。いや。そうじゃ無いけどな」
喧嘩の様に見えるのか。
まあそうだけどな。
俺は考えながら石塚を見る。
すると石塚は、何時も仲が良かったから、と心配げな顔になる。
俺は、そうだな、と言葉を発する。
こういう所が石塚の良い所だよな、と思う。
だけど。
「.....今回はお前は関わらない事をお勧めする。.....俺達の関係.....今は歪だから」
「.....!」
「すまないが」
「分かった。じゃあ今は.....あまり関わらない様にするね」
「ああ。そうしてほしい。すまな.....」
そこまで言うと龍騎がやって来た。
それから、どうしたんだ、と聞いてくる。
俺はその言葉に一瞬だけ真顔になりながらも。
何でもない、と答えた。
そして龍騎を見る。
すると代わりに石塚が俺達を交互に見ながら答える。
「えっと.....若宮くん達は喧嘩しているんじゃ無いかって話をしていたの」
「喧嘩なんかしないよ。.....寧ろ仲が良いぐらいだしな」
「.....」
俺は仲は良くは無い。
そもそもコイツが浮気したしな。
俺の彼女を寝取ってしまった。
そうなった以上コイツとはもう仲が良いとは見れない。
思いながら龍騎から目を逸らして石塚を見る。
「石塚。取り敢えず俺達は大丈夫だから」
「う、うん。なら私はこれで.....」
そのまま引き下がる石塚を見てから龍騎に目線を戻す。
すると龍騎は肩をすくめる。
それから石塚さんは首を突っ込むタイプだからな、と笑みを浮かべる龍騎。
俺は、まあな、と答えながら龍騎を見る。
そうしていると龍騎がこう聞いてきた。
「今日は放課後に何処か行かねぇか?」
「.....塾があってな。それで忙しい」
「あ、ああ。そうなのか。じゃあ仕方が無いな」
「そうだな。仕方が無い、んだ」
俺は笑みを浮かべる。
それから俺は切り上げてからチャイムの音を聞く。
そして、?、を浮かべる龍騎を目線だけで見送ってから。
そのまま次の時間の準備をした。
龍騎もそうだが地獄に堕としたい気分になる。
☆
「石塚」
「あ。何?宮藤くん」
「さっきはその。すまない。切り捨てる様な感じで」
「ううん。気にしないで。.....でもその。大丈夫かな、って思った」
放課後になってから目の前を歩いていた石塚に声を掛ける。
石塚は笑みを浮かべながら俺を見ている。
俺はその石塚を見ながら、お前とも龍騎とも3年ぐらいの付き合いだけど、と言いながら周りに人が居ない事を確認する。
それから石塚を見る。
「.....アイツ。何というか龍騎な。不倫したかもしれないんだ。それで俺はアイツとの接し方が曖昧になっている」
「.....そうなんだ.....」
首を捻るがあまり驚かない石塚に俺は、?、を浮かべる。
それから、何だ。あまり驚かないのな、と言うと。
石塚は、うん。.....その。若宮くん。彼は1年ぐらい前から噂があってね、と話す。
そして、最近、この学校では女関係に関しては酷いみたい、と言葉を発する。
俺は、!、と思いながら石塚を見る。
「.....でもそれは私達、女子の中では噂程度だった。.....そんなハッキリしたのは初めてかも」
「.....そうなんだな」
「うん。だから宮藤くん。さっきこれを言おうとしたけど.....彼との付き合い方は気を付けて」
「.....有難うな。石塚」
「うん。じゃあ行くね」
それからこの場から去って行く石塚。
俺は小さく手を振る姿に手を振りながら.....顎に手を添える。
そして、女子達の中でもだんだんと噂が蔓延しているんだな、と思ってしまう。
そうしてから俺は歩き出した。
その中で考える。
まさかこれも計画のうちか?、と。
開き直っている訳じゃ無いよな?、とも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます