(ちょこっと短い話)夏の「推し活」ミステリー。なぜ、あの店はつぶれない?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「元高校球児が推し活仲間になりたかったら、異世界の八百屋にいけ!」うん、うん。と思っていたら、やばいことに巻き込まれますた。

 「推し」が、異世界で、夏のミステリーに変わるってよ!

 シューショクできなかったマツダイラは、40歳超え男性になっていた。

 甲子園を目指してバットを振るい、本当に甲子園大会に登りつめた、高校の野球部時代が、なつかしい。

 「野球のドラフトには、かからなかった。シューショク、したい…。異世界にでも、いくしかない!」

 異世界にいく方法は、知っていた。

 「 BBAのはだかを、見ること」

 かなり、きつい方法だった。

 が…。

 やるしか、なかった。

 リアル日本で、「既卒」の「氷河期男子」が、勝つために!

 「老人ホームの風呂をのぞく、40歳男子」

 いると、思います!

 彼は、無事に、異世界に飛んだ。

 「はい、採用」

 異世界日本での彼は、すんなりと、シューショクができてしまった。

 天井の破れかかった古びたアーケード街にある「八百屋・ミナミカゼ」に、入社。

 リアル日本の友人たちは、仕事が終わればリアル日本に戻ってくる彼を、たいそう、心配した。

 「マツダイラ?マジで、異世界なのか?」

 「給料とか、良いの?」

 「ホワイト企業?」

 が、心配はいらなかった。

 彼は、金持ちだったようなので。

 なぜ、彼は、その八百屋で、働き続けられるのか?

 いくつもの、ミステリー。

 八百屋は、天井から雨漏りのするような、アーケード街の中にあった。

 書店に洋品店やら、いくつものくたびれた先を進んでいくと、店が、見えてくる。

 「どうして、そんな店が、続けていられるのか?」

 そうした謎に、ある男が、立ち向かった。

 オオクマという、男だ。

 オオクマは、彼と、同じような体格の男。体力が、自慢系。

 ただ、彼よりも20歳は年下の、過保護教育で育てられた世代。

 オオクマは、配達の仕事で、その八百屋には何度もきていた。店先に立つ彼とは、すっかり、顔馴染み。

 「…おっと。また、あの八百屋から、集配の依頼がきたぞ」

 みかんだかりんごの箱の中につめられた何かを、八百屋で働く彼から受けとり、中央配送センターに持っていく。

 最終的に、どこに運ぶのかなんて、知らない。

 「毎日、毎日、依頼が入る。この八百屋って、そんなにも、いそがしいのか?」

 配送の依頼の時期も、疑問。

 「オオクマさん?」

 「何でしょう、お客様?」

 「この配送の依頼は、夏だけですから」

 期間限定?

 「…まさか、やばい金でも運ばされているわけじゃあ、あるまいな」

 それでも、八百屋のマツダイラと配送のオオクマは、仲の良い関係でいられた。お互いに、この共通趣味が、あったからだろう。

 「推し活」

 好きな物を、熱い気持ちで、推して、推して、大切にする。

 「推し?それって、オタク系ですよね?マツダイラさん?」

 「うん。まあ、そうかもね」

 「自分は、アイドル推しです!マツダイラさんは?」

 「オオクマさんは、元気だな」

 「オオクマ君で、良いっすよ」

 「そう?」

 「自分、お客様よりも、20歳も年下なんですし」

 「それなら、そちらも、お客様でなく、マツダイラさんって呼んでよ」

 「良いんですか?」

 「同じ、推し活仲間じゃないか」

 ここまでは、良い感じだったのになあ。


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