第7話

 「山口さん??」


「狩物・・・」


気まずい空気が流れる。


 「とりあえず、狩物は娘の恩人よ。恩返しさせて」


「いいよ、いいよ。止めただけだし」


「でも、それが私の一番大切の人を助けてくれた。私が恩返ししないと気が済まない。とりあえずじゃあ私の家来て」


「えっ??」


ーーーーーーーーーーー


 「先輩、今日も公園来ないな。やっぱり私から誘うしかないなか?うーん、うーん、まぁ先輩は友達も居ないし、いつか寂しくなって私に誘いに来るか!!」


ーーーーーーーーーーー


女の子の家初めて来た。


 「そこ座って、」


「はい!!」


  座布団に座る。


 「アンタ、アレルギーとか大丈夫??」


「大丈夫です。」


「わかった。」



 カレーの匂いがする。


 「ねぇ、アンタさ。」


「はい?何ですか??」


「そのぉさ」


「うん」


「アンタのこと虐めて、悪かったね。」


「え、うん。」

女の子の部屋に居るせいで反応が遅れる。


 「私さ、中学卒業前に、最後にまさか、みんなに虐め返させれるとは思わなかった。」


「・・・そんなことが」

知らなかった。 似たような誰かを思い出すな。

 

「それで辛さを知ったのもあるけど、娘を助けてくれた恩人にいつまでも虐めっ子のままじゃあ母親として失格だからさ」


「確かに、」


「今日改めて本当にありがとうね」


「いいよ、いいよ。それより娘さん可愛いね」

無理矢理話をずらした。


 「でしょー!!花って言うの!!可愛いでしょ!!もう可愛くて可愛くて」


 いつの間にか、カレーを置いて、俺の前で赤ちゃんを撫でている。


キャラが一瞬で変わった。


 「だから、こんなに可愛い娘を守ってくれた、アンタに本当に感謝してる。ありがとう」

山口さんは頭を下げる。


 これは、しっかりと許して感謝を受け取るべきなのだろう。母の感謝として


 「うん、許すよ」


「・・・ありがとう・・・ありがとう」


山口さんは泣いている。


 「え、やま」


 「あの時、本当に娘が死んじゃうと思って、本当に怖かった。だから、あの時助けてくれて本当に嬉しかったのありがとう。」


泣きながら、謝り娘に優しく撫でる姿は昔の山口さんから程遠い姿だった。


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