南宮愛奈(なんぐう あいな)の日記 その21
●三月三十一日
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
ああ、あの女性が傘を返しにきて、ずっと鳴っていましたわ。
なんて素敵な鳴き声なのかしら。
ずっと聞き入っていたいですわ。
明日、あの女性が傘を返すついでに連れて行ってくれるらしいですわ。
救急車が来なくて、サイレンが鳴らない場所に。
どこかしら?
あの女性が連れて行ってくれるんですもの。
きっと素敵な傘がある場所ですわ。
明日が待ち遠しくて、また傘を返してもらいましたわ。
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