『先生』への手紙

藤 悠希

序章

「拝啓、あなたの見る世界が、どうか光に満ちた世界でありますようにー」

 朝、『私』宛に届けられた手紙の一文だった。

 母が『私』宛だと、朝食を食べながら眠りまなこを擦る『私』に言った。

 その手紙の裏面を見てみたが、差出人の名前は一切書かれていなかった。

 一体誰が、『私』宛に手紙を書いたのだろう?

 古くからの友人?それとも親?はたまた遠い親戚?

 そんな考えを巡らせながらも『私』は身支度を整える。

「行ってきまーす」と軽い言葉を『私』は母に言って、家を出た。


 家を出て上を見上げると、澄んだ青空が広がっていた。

 しかしその空と相反して、『私』の心は未だに曇ったままだった。


 今の『私』は高校1年生。あと一ヶ月もすれば高校2年生になる。そう、心の曇りの原因は進路である。

『私』は、将来自分が何になりたいかという明確な目標が無かった。高校もとりあえず親を心配させたく無いからという理由で近くの公立高校に進学したくらいだ。そのタイミングを見計らってなのか、この手紙が届いた。差出人は不明だし、何故『私』宛に届いたのかも分からない。


 そんな気持ちのまま、『私』は通学路をトボトボと歩いて、高校へと足を運んだ。 

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